【振り返れば馬券になる!】英国の名手があのレースを新感覚でプレイバック!

12月が始まった。今年も残り1ヶ月。あと3週間で有馬記念と思うと、時の流れは速い。振り返れば今年の競馬予想も反省ばかりであった。逆に考えればまだ1ヶ月ある。各ジョッキーのコメントをしっかり聞いて、次走以降の馬券にキッチリ繋げたいところだ。

日曜の中山開催。チャンピオンズCの裏開催ではあるが、そこに英国の若き名手・W.ビュイック騎手の姿があった。マイルCSで日本初G1制覇を果たし、勢いに乗っている。中山9R・チバテレ杯で騎乗したのはエピックアン(牡3、美浦・大和田厩舎)。レース後、検量室内のモニターを見ながら何やら色々と説明していたビュイック騎手。「いつもよりスタートが良く、抑えずに行きました。ただその後、馬に挟まれたり、砂を被ってスムーズさを欠いてしまいましたね」とここまでは普通の敗因。

しかし興味深かったのはその後。「直線で砂を被っても問題はなかったのですが、映像を見てもらえれば分かる通り、コーナーで砂を被って嫌がっていました」と言うのだ。確かにレースVTRを見ると、1コーナー手前で挟まれた後、2コーナーで砂を嫌がる素振りを見せている。砂が当たる角度によって影響が違うケースがあるとは……。

「隣の馬にプレッシャーを掛けられたほうが逆にいいタイプで、スタート良く、そのまま抑えず前に行ったのは逆に良くなかったかもしれませんね」と言うように、ノープレッシャーだったことも敗因として挙げていた。これまでのエピックアンのレースを振り返ると、5月に500万条件を勝った際は外を走っていたモリトユウブが一度前に出るものの、エピックアンが内から差し返して1着になっていた。なるほど、これは分かりやすい癖である。

「距離が長いかも…」と初めての1800mについても不安を口にしていた鞍上。次回以降、コーナーで砂を被る回数が少ないワンターンの東京ダート1300m~1600mに出てくれば、ビッグチャンスと言っていいだろう。力のある馬だけに、巻き返しが期待できそうだ。


もう1レース挙げよう。日曜の中山3R・2歳未勝利で3番人気に推されながら6着だったピュアヒカリ(牡2、美浦・竹内厩舎)。今回は距離短縮で迎えた一戦だったが、騎乗した北村友一騎手は、レース後の検量室で渋い表情を見せていた。「1200m自体は良かったです。ただ右にモタれてキツかったですね。4コーナーで詰まっているように見えるかもしれませんが、詰まっているのではなく内にモタれて仕方なかったのです。返し馬では問題なかったのですが、厳しい競馬でした」とレースを振り返るように、VTRをチェックすると確かに4コーナーで内にモタれて制御に苦しんでいる姿が捉えられていた。

デビュー2戦目、新潟芝1800mの未勝利戦で前半3F34.1というハイペースで逃げたのがこのピュアヒカリ。新潟芝外回りの2歳戦でテン3F34.1は歴代最速タイにあたる。それだけのスピードを秘めている馬だけに距離短縮はハマると考えていたが、内にモタれるという思わぬ癖を露呈してしまった。今回がデビュー5戦目にして初めての右回りだったことを考えれば、不慣れな条件に戸惑ったと言ってもいいかもしれない。

ジョッキーにここまで「キツい」と言わせる中で6着まで差し込んでいるように、能力は未勝利でも上位なのは間違いないだろう。スピードも秘めている。次走、一変する可能性は十分ある。

レース後、ジョッキーたちから発されるコメントは様々である。
「うまくいった」
「調子が良かった」
「馬が強かった」
etc…

もちろんこれらのコメントも非常に重要ではあるのだが、よりオイシイのは、負けたジョッキーのコメントだろう。検量室に引き上げてくるジョッキーの表情はそれぞれ違う。悔しそうな表情を浮かべて戻ってくるジョッキーも多い。道中の不利、自身のミス、理由は様々だが、彼らのコメントこそ、次に繋がる。このコーナーでは現場にいたからこそ知りえる敗因、そしてジョッキーの表情などを取り上げながら、次走以降妙味のある馬を挙げていきたい。