【トレセン珍百景】おしゃれでも滅多に会えない

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調教が終了し、静まり返った昼近くの栗東トレセン。スタンドで休憩していたら、見慣れない自動車がやってきた。ユニークなかたちに興味を持ち、ドライバーに声をかけてみた。


「路上清掃車ですよ。『ロードスイーパー』っていうんです。これは、なかでも小型のもの。通常ならば、飛行場や広い倉庫の掃除などに使われているイタリア製の車種ですね。前方のブラシを回転させてゴミを集め、メインブラシで後ろの収納スペースにかき上げる仕組みです」

親切に説明してくれたのは、JRAより馬場などの施設管理を委託されている共栄建設株式会社の三浦正淳さん


同社では、ハローをかけてコース整備をする専用車を6台を所有するほか、ショベルカーでも作業を行い、運転担当は約20名もいる。三浦さんもその一員で、交代でこのロードスイーパーも操縦しているのだ。重要な役割を果たす貴重な1台とのこと。気になるのはその用途だが、ちょっと意外な答えが返ってきた。

「地下馬道の清掃。つまり、馬糞の回収です」

ただし、以前、実際に馬道を歩き、大量のボロが残されるのに驚いたことがある記者は、なるほどと感心。


「毎日、5時間くらいはかかりますね。ゆっくり進まないと、きれいにはなりません。たまにゴーグルなどの落し物も。発見したら、いったん降りて拾う必要もありますしね」

これまで目に付かなかったのは、ずっと地下にもぐっていたから。スタイリッシュな外見なのに、連日、コツコツと苦労を重ねている。陰で競馬を支える働きものなのだ。