桜花賞&阪神牝馬S/平林雅芳の目

トピックス


日曜阪神10R
桜花賞(GⅠ)
芝1600m
勝ちタイム1.33.3
勝ち馬
アパパネ(牝3 美浦・国枝厩舎)

■母の夢、アパパネがかなえる。大きく花開く!!

水曜朝に追い切る前に、国枝師と話す機会があった。その時に「もう枠順は絶対に最外枠だけはないでしょう。だってこの3戦とも最外枠なんだから」と。
そのとおり真ん中の枠を貰い、体調も万全、1番人気の支持も安心した軸馬と信頼度も抜群。そんな中での70回桜花賞。道中は掛かりながらも、直線でもしっかりと伸びてキッチリとオウケンサクラを交わして、母ソルティビッドがなし得なかった桜の夢をプレゼントしたアパパネ。2歳女王の芯の強さを感じる桜花賞であった・・。

この桜花賞週は絶好の馬場コンディション。ほとんどのレースで内々での決着が多かった。外を廻る馬は、よほどの乱ペースにならないかぎり辛い競馬となっている。内が前が有利な結果になる流れを感じとりながらの今年の桜花賞となった。
2、3頭の馬が少し出が悪かったようだが、真っ先に飛び出したのはアプリコットフィズ。ゲートが開いた瞬間にもうクビ前に出ていた。
その外にコスモネモシンが続き、2、3完歩行ったところでオウケンサクラが前に出て来て、その外にアパパネがいた。

オウケンサクラが先頭となり、アパパネが2番手となる。内アプリコットフィズが3番手、外からレディアルバローザが上がってきたのを確認した蛯名Jは、アパパネを控えさせた。ここらで1ハロンを行ったあたりだろうか。
外の5番手にエイシンリターンズが上がりアパパネを交わして前に出た。一番前のオウケンサクラは内ラチ沿いへと、縦位置でアプリコットフィズの前に入った。
3コーナーへと入って行った。オウケンサクラが先頭、アパパネがずーっと掛かり気味で鞍上の蛯名Jが抑えに抑えていたのが、ここらでやっとおさまった様だ。

残り1000メートルを過ぎた。オウケサンクラ先頭、約1馬身で2番手にレディアルバローザ、その半馬身後ろの内がアプリコットフィズ、さらにその外半馬身差にエーシンリターンズ。その右後ろがアパパネで、すぐ目の前にアプリコットフィズがいる位置である。

レースの半分の半マイルが過ぎた。アパパネの後ろにジュエルオブナイル、その右後ろにワイルドラズベリー。直後にアニメイトバイオがいた。
内ラチ沿いのアプリコットフィズの後ろにはショウリュウムーン、隣りがコスモネモシンで、アニメイトバイオと並ぶ位置であった。ここらで前から10頭目ぐらいの位置で、5馬身は差はないところか。ラナンキュラスの姿はまだ見えない。
先頭オウケンサクラが4コーナーへと入って来た。1馬身のリードである。そして、2番手レディアルバローザの外へエーシンリターンズが並んできた。内ラチ沿いにアプリコットフィズ、アパパネはレディアルパローザの真後ろにいた。その内へショウリュウムーンが入って来た。

直線に入り、内コースの切れ目を過ぎて、先頭オウケンサクラ、2番手に3頭が横並びだ。一番内アプリコットフィズ、まだオウケンサクラの後ろで内にいた。レディアルバローザとエーシンリターンズが並んでいるが、直ぐ後ろに外へ出してきたアパパネが迫ってきた。
まだ残り1ハロンの標識手前だが、オウケンサクラの安藤勝Jがステッキを入れ出して、2番手にエーシンリターンズが上がってきた。
外にアパパネ。内では馬体を外へ出せたアプリコットフィズが、オウケンサクラに1馬身後ろの外へ迫った。

するとオウケンサクラがまた伸び出して、後続に1馬身差をつけて行った。2番手に内からアプリコットフィズ、エーシンリターンズ、そしてアパパネが並んだ。アパパネの後ろに、外へ出したショウリュウムーンが伸び出して来た。オウケンサクラが逃げ切りかと思えた処から、アパパネが蛯名Jの左ムチでジワジワっと前に接近。そして最後は交わして両方の手で手綱を押してのゴール、半馬身差の勝利であった。
2着はクビと際どい差になっていたが、オウケンサクラがエーシンリターンズの追撃を交わして残った。
ショウリュウムーン4着。アプリコットフィズが5着であった。シンメイフジがゴール前でいい脚を使って6着に入っていた。

前半の2ハロンあたりはかなり行く気になっていたのか、蛯名Jがアパパネを抑えるをの苦労していた感じが見受けられた。
3コーナー半ばになって、やっと折り合っての好位。4コーナーからを廻ってからジワジワっと外へ出して、前を追い上げられる態勢を造れた。ここがポイントなのかも知れない。

オウケンサクラの完璧な逃げ切りペースだったのだろう、それを前半難儀しながらも、後半はいつもの自分のリズムで追い上げたアパパネ。
栗東留学は大きく開花したようだ。ドシッとした重量感ある馬体、そしてエンジンの良さ。今年は美浦からの直前輸送組が4頭いたが、4頭とも馬体減。18頭中馬体減がたったの6頭であったのだから、これは大きく響いたと言っていいだろう。
特にアニメイトバイオ、前走がプラス14キロでいい内容であった。今回の20キロ減は、やはり減りすぎだったかも。
それにしても今までの渋い差し脚が一度も見られずに終わった。

土曜の名神高速の渋滞はかなりひどいもの。そこらの影響がかなりあったものか。今後、折りに触れて聞いてみたいもの。
それにしてもアパパネ。母が同じ様に栗東留学して得た知識と財産を、娘が見事に開花させた。
お見事国枝師。蛯名Jおめでとう。


土曜阪神10R
阪神牝馬S(GⅡ)
芝1400m
勝ちタイム1.20.2
勝ち馬
アイアムカミノマゴ(牝4 栗東・長浜厩舎)

2年前の桜花賞馬レジネッタが賞金除外、その年のオークス馬トールポピーは出走。18頭のフルゲートで、何やら最初から混戦必至の様相を呈していた古馬牝馬の第二勢力群、といっては失礼か。
勝ったのはアイアムカミノマゴ。
力強く完璧に抜け出た脚はちょっと違う感じで、次走ヴィクトリアカップがおおいに楽しみとなるものであった。

最初はウエスタンビーナスが先手、途中からはショウナンラノビアが前に出る流れとなった。前半3ハロンは33.8と、最初だけはけっこう速いペース。
1馬身から1馬身半ぐらい少し離れた位置にデリキットピースが続いた。
ブロードストリート8番手、ラドラーダヒカルアマランサスはもっと後ろの位置どりとなった前半だ。
ブロードストリートの前にアイアムカミノマゴで、後ろにプロヴィナージュが前後する位置であった。

先頭のショウナンラノビアが快調に飛ばした。3コーナーを過ぎて4コーナー手前で、前は半馬身ずつに連なる位置に。先頭は以前ショウナンラノビア、2番手ウエスタンビーナス、3番手デリキットピース。4番手外がグランプリエンゼル。その横内はベストロケーションで、一番内ラチ沿いがサンクスノート。そして直後がアイアムカミノマゴ。ここで前から7番手、ブロードストリート、プロヴィナージュの内にカノヤザクラが位置していた。

そのまま先頭はショウナンラノビアで4コーナーを廻った。前にいたグランプリエンゼルが、ややコーナーリングに手こずり、外へ流れ気味で開いた隙間にアイアムカミノマゴがスッと入って来た。最内ではステッキを入れて粘るショウナンラノビアが1ハロンを過ぎた。
まだ2番手グループも先行勢が何とか粘っているが、アイアムカミノマゴの脚が違う。秋山Jがステッキを4発ぐらい入れただろうか。真っ直ぐに姿勢を低くしたままで伸びて行き、最後は2馬身差をもつける完勝であった。
2着は外から伸びてきたプロヴィナージュが、内で粘るショウナンラノビアらを交わして入った。
カノヤザクラ、ブロードストリートと並んで、ショウナンラノビアを交わして入った。
ラドラーダも最後はかなり詰め寄ってのゴールであった。ヒカルアマランサスにはまったくいい伸びがなかった感じ。

スタートも良く、位置どりも少し下げて7番手のエアポケットに近い様な位置取りとなったアイアムカミノマゴ。道中の位置と4コーナーでポカッと開いた隙間に瞬時に入れる手応えの良さ。そして追い出してからの伸びの良さ。最後の1ハロンが11.8である。そこをやや余力残しでの伸び具合。
昨年桜花賞では武豊Jを背に臨んだアイアムカミノマゴ。むしろ、今が一番いいのではないだろうか。
休む前のレースでも1400で勝ち上がり、今回も完勝。距離も実にあっているのかも知れない。
12戦を過ぎて10人の鞍上を経験している。でも秋山Jがもう離さないかも知れない。そんな切れ味でした。\

ヒカルアマランサスにラドラーダ。特に、ヒカルアマランサスが不発に終わったのは距離もあったのだろうが、ちと意外過ぎた。巻き返しを期待したい。