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【パシフィッククラシック】挑戦あるのみ!フィンガーがハートの強さ武器にアメリカへ
2026/8/19(水)
東京ダービーなどを勝っているフィンガー
パシフィッククラシック
フィンガー
山﨑啓行調教助手
——羽田盃に続き前走の東京ダービーも勝って、ダート2冠制覇を達成しました。レースを振り返ってください。
山﨑助手(以下、山):フィンガーはデビューから初勝利を挙げるまでは「良い馬だけど本当に良くなるのは先だろうな」というイメージが強かったので、3歳春の段階で羽田盃という大きなタイトルを取れたことに我々も驚きました。東京ダービーは距離は違いますが同じ大井競馬場で行われますし、再び羽田盃のような強さを見せられれば、と思っていました。
現時点でのフィンガーの良さを1番発揮できるのはこういう戦法かな、と厩舎スタッフも戸崎騎手もよく分かっていますし、その形を出すためにムリヤリにではなく自然にハナに立つ格好になりました。スムーズにマイペースで走って、そのままスパートしてゴールするというのが彼の競馬の形で、2コーナーから向正面辺りでそれが叶いそうな展開だったので、これなら大崩れはしないだろうと思って見ていました。
普通に考えると厳しいと思われるようなペースで行くのが彼のスタイルなので若干の不安はありましたが、この展開になれば羽田盃でしっかりとした競馬をして負かした相手にやられることはないだろうと思いました。
あとはユニコーンステークスを勝ったシルバーレシオが怖かったですが、4コーナーを回るときのフィンガーの格好と伝わってくる余力、それと相手の位置取りを見て「これで負けたら仕方ないな」と思いました。
競馬ですから他馬が凄い脚を使って突っ込んでくることもあるので、なかなか勝利の確信は掴めませんでしたが、残り100メートルくらいで大丈夫かなと思えました。
「羽田盃の強さを再び見せたい」と考えていたことを実現できた嬉しさを感じましたし、フィンガーの底知れない体力、前に馬がいない状態で気持ちを切らさず頑張り切ると馬は精神的に擦り減りますが、そのなかで勝ち切る彼の精神力の凄さに感服しました。
——今回アメリカのパシフィッククラシックを選択した意図は。
山:春に2冠を取らせてもらって、秋の大目標をどこに定めるかというなかで、秋はブリーダーズカップクラシックに行ければと定めて、そこから逆算してレース間隔や海外遠征での調整のしやすさを考慮して選びました。
2年前にローシャムパークがデルマーで行われたブリーダーズカップターフで2着に好走したように、アメリカ西海岸での競馬は輸送の観点からメリットが大きいと思います。
——この中間の過ごし方を教えてください。
山:いつも通り、栃木県のトゥモローファームへ放牧に出しました。いつもレースまでしっかり間隔を取れるように1ヶ月前には帰厩していて、今回も1ヶ月と1週間前に帰厩しました。彼はとても体が大きく、我々スタッフが「体が動けるようになってきたな」と感じるようになるまで時間がかかるので、これまであまり間隔をあけずにレースを使ってきています。
今回も東京ダービーからブリーダーズカップへ向けて2ヶ月間隔で使いたい、と考えてこのレースを選びました。我々が設定したレース間隔のリズムを馬が分かってきたこともあるでしょうし、牧場でしっかり乗ってきてもらっていることもあって、ダラッとして緩み切るような感じもなく帰厩して調整を進めています。
——この中間の調整テーマは。
山:体力とスピードの持続力を武器に戦う子なのでそれに磨きをかけることと、まだ脚元の弱さを抱えていますが、アメリカでは競馬場のダートコースのみで脚元に優しいウッドで調整できないため、日本で走れる状態に作っていって、もし向こうで調整がスムーズに行かなくても競馬に参加できるようにしたい、ということを考えて調整してきています。
——調整過程の手応えはいかがですか。
山:元々フレームの大きさと体の緩さゆえにハミに頼るところがありましたが、最近は体が成長した分もあるのか、そういう面が緩和されてきた感じがします。
中間は併せ馬を3本やって、最初の2本はフィンガーの良さを生かすために前へ行かせて後ろから相手が来る形でやりましたが、8/13(木)の併せ馬では、あえて彼にとって苦手な前の馬を追いかける形でやりました。
やはりアメリカの競馬はゲートを出てからのスピードが速いですし、彼にとって理想的な形が叶わない可能性も高いと考えて、もし2番手以後になっても頑張らないといけないということで、追いかける形でやりました。
馬の後ろにいて前に並びかけていくとスッと落ち着いてしまって前に出ていこうとしないところがあるので逃げの戦法を選択している面がありますが、今回の追い切りではスッと落ち着くことなく相手に並んでいって頭ひとつ抜け出して、促されてからも脚を使って終いしっかり伸びましたし、これまでと違う良い内容だったと思います。考えていたテーマに沿った調教ができたと思います。
——前走時と比較して状態面はどのような印象をお持ちですか。
山:狙った番組をコンスタントに使っていることもあって調子の波が少なく、多少の体調の上下差があってもごく狭い範囲内での話で、高値安定という感じです。前走の東京ダービーも非常に良い状態でしたし、今回もそれと比べて遜色のない状態です。
——改めて現状で山﨑さんが感じるこの馬のストロングポイントを教えてください。
山:ハートの強さですよね、やっぱり。まだ未完成の現状でこれだけ結果を残しているのは、ハートの強さによるものだと思います。扱っている人間に対して強く出てくるところもありますが、危険のない範囲でそういう特徴を殺さず、彼の良さであるハートの強さを尊重しながら育てていきたいですね。
——今後の成長を期待しているところは。
山:体は大きいですが、まだ幼いというか3歳の牡馬らしいところがあります。急な物音に対してオーバーリアクションを見せたり、先日美浦の輸出検疫に入って隔離されたときは水の飲みやカイ食いが少し減少したり、といったところがあったのでその辺りの精神面の成長がひとつ。あとはもっと走りの収縮性が出てくれば、競馬での自在性も上がると思います。
——この後デルマー競馬場へ移動するまでのスケジュールを教えてください。
山:8/14(金)の午前6時頃に美浦を出発して成田へ。時差もあって成田からロサンゼルス空港に14日の午前4時頃に到着して、空港内の施設における43時間の隔離を終えたのち、陸路でデルマー競馬場へ移動します。
——デルマーダート2000という舞台適性への見通しは。
山:アメリカなのでどこの競馬場でもテンは速いでしょうし、中盤も緩まず消耗戦になると思います。デルマーは直線が長くないですし、特にクセのある競馬場だとは思っていないので、上手にこなしてくれると思います。調教で乗っていても、右左でのパフォーマンスの違いも感じませんし、距離もこなせると思います。
——レースへ向けて意気込みをお願いします。
山:この先に控えている大目標のブリーダーズカップクラシックがありますが、そこに向かうにせよ向かわないにせよ、まず大事になってくるのがこのレースです。
これまでフィンガーは大きなタイトルを取らせてもらっていますが、限定的なメンバーとの対戦のなかでのものですし、それが今回はより門戸が開かれたバラエティに富んだメンバーとの対戦、しかも初海外遠征で果たしてどこまでやれるのか、と我々としても非常に興味深く楽しみにしているところです。
このチャレンジでもやれるだけの下地はあると思っていますし、ガンランナー産駒ということでアメリカでも注目していただけるでしょうから「日本にも強い馬がいるんだな、フォーエバーヤング以外にも強い日本馬がいるんだな」と思ってもらえるような競馬をしてくれたら嬉しいですね。
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