-ローズS-平林雅芳の目

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日曜阪神10R
ローズS(GⅡ)
芝1800m
勝ちタイム1.45.8
勝ち馬
アニメイトバイオ(牝3 美浦・牧厩舎)

春のパドックではアパパネの姿が必ず目立っていたもの。それがこの秋は、そんなに浮き出ない程に他の馬もいい姿である。そして総じて言える事は、体重が増えているのにまったく太め感はなし。全体に大きくなっているのか、数字と見た目は違うパドックであった。直線の残り1ハロンでめまぐるしく替わった勝ち馬候補、しかし最後のさいごに出て来たのは、いちばん最後の仕掛けとなったアニメイトバイオ。春は馬体の変動の多かった馬だが、今回は前走と同じ数字。栗東滞在が効果を上げたのであろうか。アパパネ時代ではなくなったのか、4着と意外な結末に場内がちょっと唖然となった感じだ。

スタートはほとんど五分、少ししてアニメイトバイオと最内のタガノエリザベートが馬群から離れる。僅かにラガーリンリン、アパパネと前に出た感じだったが、2完歩も行かない内にオウケンサクラが前に出て、直ぐトゥニーポートが続いて、そのトゥニーポートがスルスルといちばん前へと出て行く。アグネスワルツも行き脚をつけて上がってきて、アパパネを交わして3番手に上がる。アパパネの外にレディアルバローザだ。

2ハロンを過ぎたあたりだが、ドンジリは1頭だけ大きく離れてタガノエリザベート。その前がワイルドラズベリーで、前のアニメイトバイオとエーシンリターンズから3馬身ぐらい離された位置である。
3コーナーのカーヴを回っていく。先頭はトゥニーポート。1馬身遅れてアグネスワルツ、その直後が外レディアルバローザ、内オウケンサクラ。半馬身差でアパパネである。

残り800のハロンを通過。アパパネは前から3馬身差の5番手で馬の中、いい位置である。
ニチドウルチルを間に入れて直後の1番外がエーシンリターンズ、すぐ隣りの内へアニメイトバイオ。そこから3馬身ぐらい離れる位置にワイルドラズベリー。ドンジリはタガノエリザベートで2馬身後ろ。
先頭からの差はは縮まってきている。59.1の通過タイムは、馬場がいいしこのメンバーだけに、速いものでもない。

4コーナーのカーヴへとかかる時には、先行集団はもっと凝縮されてきた。カーヴを回って直線に入った時には、後方の2頭も前に取り付いて、12頭がほとんどひと塊である。
直線に入ってまだ先頭はトゥニーポート。2番手のアグネスワルツの方が手応えが悪い。直後にアパパネ、生垣が切れて残り400メートル前後である。
アグネスワルツとレディアルバローザの狭い間を縫う様に、アパパネがこじ開けて前に出ようとする。
外からエーシンリターンズが一気に前に出てきたが、さらにその外のワイルドラズベリーの脚が強烈だ。

残り1ハロンでまだ先頭はトゥニーポート。アパパネがやっと出てきて前を追いかける。外をエーシンリターンズと馬体を併せる様にワイルドラズベリー。やっとアパパネがトゥニーポートを交わして一瞬先頭に立った。しかし大外のワイルドラズベリーの伸びもいいと思った瞬間に、エーシンリターンズの内から黄色い帽子に青い勝負服の栗毛馬が弾ける様に出てきた。アニメイトバイオだ。それこそ一瞬の内にいちばん前に躍り出た。ワイルドラズベリーをも交わして先頭に出ている。アパパネが内ラチ沿いで何とか粘ろうとしているが、エーシンリターンズが交わしていた。

レース後の映像が何度も場内を流れる。アニメイトバイオが手応えがいいがなかなか前に出て来れてない。いちばん最後に仕掛けた格好となり、最後に進路が開いて一気に前に出た、様に見えた。
しかし後でパトロールビデオを観ると、けっこう前がパカっと開いているのがハッキリと判る。
アパパネは体を捻ってこじ開けて前に出てきた。春はそのままゴールまで他馬の追撃がそんなになかったのに、この秋は次からつぎへと後続馬が追い上げて交わしていった。
惜しかったのはワイルドラズベリー。勢いから勝ったと思える伸び脚であった。ところがいくぶん外へ流れ気味だったのか、アニメイトバイオの脚色が凄すぎたのか、追い負けの感じだ。
オウケンサクラにアグネスワルツは、肝心の直線で伸びあぐねている。

春はアパパネが断然であった牝馬路線。それがそんなに差がなくなってきているのであろうか、それとも数字が示すとおり太目だったのだろうか。
ここにアプリコットフィズとか別路線の馬も入ってくる秋華賞。ますます面白い戦いとなるのは間違いない。

そして今回のアニメイトバイオもそうだったが、栗東で最終調整をする馬が好結果をもたらしているのも見逃せない事実。もっともっと関東馬がこれからそれを意識して実行するだろうと思える。
3歳牝馬の秋も、なかなか面白い戦いとなりそうであります・・・ぞ。