-ファンタジーS-平林雅芳の目

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土曜京都11R
ファンタジーS(GⅢ)
芝外1400m
勝ちタイム1.22.3
勝ち馬
マルモセーラ(牝2 栗東・木原厩舎)

※神様からのご褒美、田中健Jの初重賞制覇だ!!

浅見厩舎所属であるが川村木原厩舎をも手伝う田中健J。特に木原厩舎のナリタクリスタルは、彼が追い切りをいつもつけている馬。この馬を一番知っているのは田中健Jであるといっても過言でない。そんな地道にコツコツとやってくれている彼を、神様が見逃す訳がない。重賞5戦目の騎乗での初勝利。木原師も嬉しそうであった。しかし、4コーナーで内回りの方へマルモセーラが行きそうになる内容のビデオを見てしまうと、まだまだと言った感じ。それも良く知っているはずの田中健J。これからもコツコツ行きましょう…。

スタートはサクラベルが速かった。その後からどれが行くのかと伺っていると、マルモセーラが馬の間から出てきて先頭に出だす。外からハピシンケイティーズジェム、内からツルマルワンピースと続く。
武豊Jホエールキャプチャは、あまり出も良くなかったのか行く気もないのか、いちばん後ろへとなる。

1ハロンぐらいまで、先頭はマルモセーラ、サクラベルとの2頭が並んでの先行となる。しばらくそのままだったが、2ハロンめあたりで内のマルモセーラの方が引き気味となっていく。ここらで3番手、外ルリニガナでハピシンと並んでいたが、マルモセーラと入れ替わる。
直後が、ツルマルワンピースがいて外にホーマンフリップ、ケイティーズジェムもいる。

坂の下りの中間地点では、完全に2番手にルリニガナが上がっている。流れは淡々と進み、やや平均ペースで推移している。先頭からいちばん後ろのホエールキャプチャまでが、そんなに差がない各馬が詰まった状態で、4コーナーへと入ってきた。

先頭サクラベル、その真後ろがマルモセーラ、さらに後ろがツルマルワンピースと、内ラチ沿いの縦一列だ。最後方のホエールキャプチャも直ぐ傍にいるぐらいに見える。ケイティーズジェムは5番手の馬群の中にいる。
カーヴを回る時に、一番外を、マイネイサベルとその外のエクメーネがやや回りづらそうな感じで膨れ気味だ。後はほとんどがそんなに差がない状態で、直線へと入ってくる。

外回りコースから内回りコースの4コーナーの間が、かなりな空間となっている。先頭のサクラベルがいちばん内へと入って来たが、その内を狙ったマルモセーラが、田中健Jの左ステッキに反応して、さらに内へと行きかける。ちょうど、内回りの4コーナーのカーヴあたりだ。
サクラベルと後続が少し離されていた瞬間でもあり、かなり隙間があった。
内ラチ沿いから外へ立て直したマルモセーラ。後ろのツルマルワンピースとの差があったから助かった感じで、サクラベルの外へ出す事が出来た。

ツルマルワンピースの外からハピシンが伸びる。直後のケイティーズジェムは伸びが左程ない。むしろその外のホーマンフリップが弾けている。サクラベルを抜いて先頭にマルモセーラが出た。ハピシン、外からホーマンフリップが接近と思ったゴール前で、ホエールキャプチャがグーンと加速して上がってきていた。
ゴール前では3頭が鼻面を合わせるかの様に並んでいたが、僅かに内のマルモセーラが残っていた。ホーマンフリップが外から2着。ホエールキャプチャが惜しくも3着であった。

直線2ハロンが12.1~12.2とかかっている流れ。前半がやや速い流れとなっている。1000メートル通過が58.0と平均に流れていた。だからマルモセーラが下げたのは正解だった。そこで脚が貯まったのが、直線での伸びと粘りに通じたものだろう。
勝ち時計もこのクラスとしては遅く、1.22.3は、翌日の2歳未勝利戦のほうがが内回りとはいえ速かった程。ややドングリの背比べ的なレースだったのは否めないが、そこを勝ち上がる事に意義がある。

若い田中健Jの勝利であったが、パトロービデオを見ているところへ来て、4コーナーのところ反省していたから大丈夫だろう。
これからも、今までどおりコツコツと頑張ってやっていくはずです。まずは、『おめでとう』であった。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。