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トーセンラーなど《平林雅芳 2歳観戦記》(11/6・7)
2010/11/9(火)
土曜京都5R
2歳新馬・牝
ダ1400m
勝ちタイム1.26.4
勝ち馬:クィーンズバーン(牝2、栗東・浅見厩舎)
今日も新馬勝ちを上積みの福永J。確かこれで17勝目のはず。スタート良く好位につけたクィーンズバーン。直線に入って残り1ハロンあたりから追い出す。ステッキを3、4発入れてうながし先頭へ。そこからはしっかりと伸びて、4馬身差の楽勝のデビュー勝ちとなった。
やはりスタートが肝心。ダッシュ良く出て行ったのがトウケイカガヤキ。すぐにクィーンズバーンも取り付く。内めではマイユクールもいいゲートの出だった。芝からダートへと入って、トウケイカガヤキが先手を取って行く。3コーナーのカーヴを回る時には、2番手クィーンズバーンが1馬身ぐらい後ろ。その直後半馬身差でグランスも続く。さらに半馬身でアルボランシー。そこから2馬身ぐらい開いて、外にフラムティード、内がメロウメロディ。前半3ハロンが35.6だからそんなに速くもない。
4コーナー手前では、先頭のトウケイカガヤキの外にクィーンズバーン、グランス、アルボランシーと4頭が横並びに近くなり、その後ろもまた3頭が並ぶ。一番内がメロウメロディ、中にフラムティード、外がプリンセスヌビアである。4コーナーのカーヴを回ってきた時には、もう前の7頭にはほとんど差がない状態。その後ろも数頭が接近している。
先手のトウケイカガヤキに馬体を寄せたクィーンズバーンが直線へと入って来た。もう各馬が追い出しているのに、福永Jの手綱は動かない。残り1ハロンが見えてきたあたりでゴーサインを出した様子。アッという間に後続を離していく。
2着争いは、グランスとその内に入ったフラムティードが並んでの追い合いとなっている時に、後ろからマイユクールが接近してきて内をすり抜けて前へと出て行った。抜け出たクィーンズバーンは、ゴールが近づくにつれて鞍上はもう流し気味となっていた。最近活躍中のダノンカモンの妹、クィーンズバーン。危なげない勝ちっぷりで初戦を飾ったが、最後の1ハロンが12.5。少し強め程度のフィニッシュだっただけに、あとコンマ5は縮まっていたか。悪くない内容だったと思える。
土曜京都6R
2歳新馬
芝1600m
勝ちタイム1.34.4
勝ち馬:コティリオン(牡2、栗東・橋口厩舎)
アドマイヤカーリンが、安藤勝Jから福永Jに乗り替わった。ディープインパクト産駒が3頭出ていたが、人気はコティリオンとアドマイヤカーリンの一騎打ちムード。スタートでハンデを背負ったアドマイヤカーリンと、完璧に力を出し切ったコティリオン。その差が勝敗を分けた初陣であったが、レベルの高い戦いとなったのは間違いなかった。
コティリオンがスッと出て行ったのに、隣りのアドマイヤカーリンは出が今ひとつだ。先手でも取れるぐらいのスタートだったコティリオンだが、内を見ながらの武豊Jだ。その間に外からイイデステップが出て、それを内からテイエムエビスオーが抜いて先手となる。外からグラッツィアもスッと出てきた。2ハロンを行ったあたりでコティリオンは5番手、ベンジャミンの直ぐ後ろだ。
アドマイヤカーリンもコティリオンから2馬身差の後ろまで上がって来ている。内回りの坂を下って行く先頭集団。残り800メートルのあたりでは、前の3頭がピタッと並ぶ形だ。その直後1馬身のところに内にベンジャミン。外にコティリオンと続き、キクノアジオにオオトリケンジャ、そしてアドマイヤカーリンもいる。
4コーナーから直線に入るあたりで、コティリオンは4番手で、前のグラッツィアの真後ろにつけて回ってきた。そのすぐ後ろにアドマイヤカーリンも忍び寄る。残り2ハロンの標識では、グラッツィアが先頭に踊り出た。しかしコティリオンも射程圏内に入れて直線となった。
前で粘るグラッツィアを、残り1ハロンで抜いたコティリオンだが、その外からアドマイヤカーリンが急接近してきた。手綱だけで押している武豊Jコティリオンに、福永Jのステッキに応えて伸びて際どく迫るアドマイヤカーリン。前を行くコティリオンが、クビ差だけ先にゴールしていた。
審議ランプが点いた。ビデオを見ると、4コーナーで内から外へとアドマイヤカーリンが出て、直後のタッチドヘヴンリーの進路を横切っている。二度も外へ逃げ気味となったアドマイヤカーリン。ゲートの出と4コーナーから直線でのロスといい、アドマイヤカーリンのハンデはかなりなもの。コティリオンが綺麗な競馬で勝ったのだが、まともならと思わせるものでもあった。
だがタラ・レバは勝負事では禁物。コティリオンは持てる運で初陣を飾ったものであり、武豊Jの評価も『いいよ』であった。まだ返し馬から頭をかなり振ったり、ゴール過ぎてから武豊Jを振り落としたあたりとわがままな様子。いわゆる若いといったもの。これでシャキッとするでしょうから、次走はもっと真面目になって良くなるはずだ。
日曜京都5R
2歳新馬
ダ1800m
勝ちタイム1.56.4
勝ち馬:タナトス(牡2、栗東・森厩舎)
例によって遅い流れとなったダート新馬戦。みんなが持ったままで行く流れで、3コーナーに入る手前で1頭だけもう手が動いていたタナトス。馬群から離れてしまい完全に終わったと思えたのだが、4コーナー手前あたりからまた盛り返し気味。直線でもただ1頭だけ脚色が違っていたタナトス。ちょっと驚く勝ち方であった。
最初の1コーナーのカーヴは入っていくまでが速いのはいつもの事で、ここらが11.8のラップ。しかし、その後はもう14.1とペースダウンしていた流れ。先頭は最内枠からフィオリア。スタートが良かったテーオーブユウデンを内から抜いて先頭に立って行った。2番手テーオーブユウデン、3番手がカネトシマーシャルが内で外にドリームマキシマム。その後ろにホワイトアルバムで、この内めにタナトスがいた。
向こう正面を過ぎて3コーナーへかかるあたりで、2番手に内からカネトシマーシャルが、外からドリームマキシマムが、テーオーブユウデンを挟む様に接近しだす。その後ろでホワイトアルバムはそのままだが、内のタナトスが鞍上の手応えも悪くなってやや下がり気味となってしまう。
4コーナーへの中間地点では、後ろのローレルマキバオーにも抜かれて、後ろから3頭め。前からは2秒近くも離され位置となってしまう。
前の5頭は固まりながら、手応えも残して4コーナーを回って行くが、先頭はテーオーブユウデンが楽な手応えで取りそうだ。
そして直線へと入って来て、テーオーブユウデンはまだ追っていない楽な手応えで後続4頭を引き連れている。そこからまだ6馬身ぐらい後ろにローレルマキバオーがいて、タナトスが外へ出して接近したのが見えた。
残り1ハロンの標識を見て、福永Jがテーオーブユウデンにステッキを入れてゴーサインを出す。やっぱりこの馬の鞍かと思えた瞬間に、外から一気にタナトスの脚が違って抜き去っていった。最後は4馬身もの差をつけて、テーオーブユウデンが2着。そこから2馬身離れてホワイトアルバムであった。
タナトスが使った上がりは37.3。レースの上がりを2秒近くも上回るものだ。ビデオで見ると、残り800でステッキを2発、4コーナー回ってから5発、直線半ばでスタートのゲートの轍に驚いて外へ逃げたのを矯正するのに1発。後は手綱でしゃくりながらのゴールであった。
《気が小さいのでゲートも出ていかないし、道中もはあんな感じになったが、手応えが悪くなってた訳ではないからね》とレース後の武豊Jのコメントであった。
しかし、このレースでこの馬を1番人気に支持するハードなファンの目には驚く。そしてその勝ちっぷりにも驚いたものであった。
日曜京都6R
2歳新馬
芝1800m
勝ちタイム1.51.4
勝ち馬:トーセンラー(牡2、栗東・藤原英厩舎)
4コーナー手前で、もう手応えが悪くなっているトーセンラー。ディープインパクト産駒で圧倒的1番人気。もう万事休すと思えたが、直線半ばからまた渋太く伸び出す。それでも内ラチ沿いを逃げ込まんとするハーバーコマンドを交わせないと思ったが、途端にゴール前で加速して首差先んじてのゴールしたあたり、非凡なものを感じるトーセンラーの初陣の走りっぷりであった。
ゲートの出は、内でサクラライジング、大外のハーバーコマンドは良かった。中からエスカナールが前に出てくる感じだったが、大外のハーバーコマンドがジンワリと先頭となる。トーセンラーも好位置の5番手の外めにいる。
向こう正面に入って、あんまり遅いのを嫌ったのか、武豊Jのトーセンラーが3番手に上がり、エスカナールの後ろにつけて3コーナーを回り坂を下って行く。淡々と流れて、1000メートルがやはり遅く、1.04.6といつもどおりの緩いペースだ。
4コーナーへと入ってくる前は、先頭のハーバーコマンドに2番手エルカナール、3番手トーセンラーがそれぞれ1馬身の間隔だったのだが、カーヴに入る寸前にはかなり接近してきた。トーセンラーの外にはマコトサンパギータが接近し、外にカレンミロティックと、5頭が横並びの感じとなってきた。
カーヴを回る時には、トーセンラーの手応えがかなり怪しい。むしろその内のエスカナールが持ったままだ。
トーセンラーの外のマコトサンパギータが、コーナーリングがやや拙く、外へもたれ気味で回ってきた。
直線へと向かい、最内をサクラライジングが狙って入った。しかし先頭はハーバーコマンド。その外エスカナール、トーセンラーよりも外のマコトサンパギータの方が前に出た様子だ。
もう各馬が追い出した残り2ハロン過ぎ。先頭のハーバーコマンドがもう一度内ラチ沿いにへばりつき粘っている。いや、もう一度伸びだしている様子だ。1馬身ぐらい差がついて、2番手が横に並び出す。外のマコトサンパギータが伸びそう。トーセンラーはまだ前に出て来れない。と思った残り1ハロンあたり、トーセンラーが急速に伸びだして、2番手グループの中で一番の伸びとなりだす。しかし前を行くハーバーコマンドとはもう3馬身近くある。
ステッキに応えて伸びているハーバーコマンドに急接近はしているが、届きそうもないトーセンラー。と思った瞬間に、ゴール寸前ではトーセンラーの方が前に出ているではないか。ちょっと信じられない伸びを見せてくれた。最後の3ハロンが11.8~11.2~11.0である。そこを差し切ったトーセンラーの威力。
《首さしなんか父とソックリで、柔らかい体だ》と武豊Jが通り過ぎながら馬上から言う。ちょっといい感触を持った様子だ。
馬体の数字が438キロと父よりもかなり小さいが、見た目はそんなにも感じない体だ。実戦に行って渋い印象の馬である。次はどこへ使ってくるのだろうか。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
2歳新馬・牝
ダ1400m
勝ちタイム1.26.4
勝ち馬:クィーンズバーン(牝2、栗東・浅見厩舎)
今日も新馬勝ちを上積みの福永J。確かこれで17勝目のはず。スタート良く好位につけたクィーンズバーン。直線に入って残り1ハロンあたりから追い出す。ステッキを3、4発入れてうながし先頭へ。そこからはしっかりと伸びて、4馬身差の楽勝のデビュー勝ちとなった。
やはりスタートが肝心。ダッシュ良く出て行ったのがトウケイカガヤキ。すぐにクィーンズバーンも取り付く。内めではマイユクールもいいゲートの出だった。芝からダートへと入って、トウケイカガヤキが先手を取って行く。3コーナーのカーヴを回る時には、2番手クィーンズバーンが1馬身ぐらい後ろ。その直後半馬身差でグランスも続く。さらに半馬身でアルボランシー。そこから2馬身ぐらい開いて、外にフラムティード、内がメロウメロディ。前半3ハロンが35.6だからそんなに速くもない。
4コーナー手前では、先頭のトウケイカガヤキの外にクィーンズバーン、グランス、アルボランシーと4頭が横並びに近くなり、その後ろもまた3頭が並ぶ。一番内がメロウメロディ、中にフラムティード、外がプリンセスヌビアである。4コーナーのカーヴを回ってきた時には、もう前の7頭にはほとんど差がない状態。その後ろも数頭が接近している。
先手のトウケイカガヤキに馬体を寄せたクィーンズバーンが直線へと入って来た。もう各馬が追い出しているのに、福永Jの手綱は動かない。残り1ハロンが見えてきたあたりでゴーサインを出した様子。アッという間に後続を離していく。
2着争いは、グランスとその内に入ったフラムティードが並んでの追い合いとなっている時に、後ろからマイユクールが接近してきて内をすり抜けて前へと出て行った。抜け出たクィーンズバーンは、ゴールが近づくにつれて鞍上はもう流し気味となっていた。最近活躍中のダノンカモンの妹、クィーンズバーン。危なげない勝ちっぷりで初戦を飾ったが、最後の1ハロンが12.5。少し強め程度のフィニッシュだっただけに、あとコンマ5は縮まっていたか。悪くない内容だったと思える。
土曜京都6R
2歳新馬
芝1600m
勝ちタイム1.34.4
勝ち馬:コティリオン(牡2、栗東・橋口厩舎)
アドマイヤカーリンが、安藤勝Jから福永Jに乗り替わった。ディープインパクト産駒が3頭出ていたが、人気はコティリオンとアドマイヤカーリンの一騎打ちムード。スタートでハンデを背負ったアドマイヤカーリンと、完璧に力を出し切ったコティリオン。その差が勝敗を分けた初陣であったが、レベルの高い戦いとなったのは間違いなかった。
コティリオンがスッと出て行ったのに、隣りのアドマイヤカーリンは出が今ひとつだ。先手でも取れるぐらいのスタートだったコティリオンだが、内を見ながらの武豊Jだ。その間に外からイイデステップが出て、それを内からテイエムエビスオーが抜いて先手となる。外からグラッツィアもスッと出てきた。2ハロンを行ったあたりでコティリオンは5番手、ベンジャミンの直ぐ後ろだ。
アドマイヤカーリンもコティリオンから2馬身差の後ろまで上がって来ている。内回りの坂を下って行く先頭集団。残り800メートルのあたりでは、前の3頭がピタッと並ぶ形だ。その直後1馬身のところに内にベンジャミン。外にコティリオンと続き、キクノアジオにオオトリケンジャ、そしてアドマイヤカーリンもいる。
4コーナーから直線に入るあたりで、コティリオンは4番手で、前のグラッツィアの真後ろにつけて回ってきた。そのすぐ後ろにアドマイヤカーリンも忍び寄る。残り2ハロンの標識では、グラッツィアが先頭に踊り出た。しかしコティリオンも射程圏内に入れて直線となった。
前で粘るグラッツィアを、残り1ハロンで抜いたコティリオンだが、その外からアドマイヤカーリンが急接近してきた。手綱だけで押している武豊Jコティリオンに、福永Jのステッキに応えて伸びて際どく迫るアドマイヤカーリン。前を行くコティリオンが、クビ差だけ先にゴールしていた。
審議ランプが点いた。ビデオを見ると、4コーナーで内から外へとアドマイヤカーリンが出て、直後のタッチドヘヴンリーの進路を横切っている。二度も外へ逃げ気味となったアドマイヤカーリン。ゲートの出と4コーナーから直線でのロスといい、アドマイヤカーリンのハンデはかなりなもの。コティリオンが綺麗な競馬で勝ったのだが、まともならと思わせるものでもあった。
だがタラ・レバは勝負事では禁物。コティリオンは持てる運で初陣を飾ったものであり、武豊Jの評価も『いいよ』であった。まだ返し馬から頭をかなり振ったり、ゴール過ぎてから武豊Jを振り落としたあたりとわがままな様子。いわゆる若いといったもの。これでシャキッとするでしょうから、次走はもっと真面目になって良くなるはずだ。
日曜京都5R
2歳新馬
ダ1800m
勝ちタイム1.56.4
勝ち馬:タナトス(牡2、栗東・森厩舎)
例によって遅い流れとなったダート新馬戦。みんなが持ったままで行く流れで、3コーナーに入る手前で1頭だけもう手が動いていたタナトス。馬群から離れてしまい完全に終わったと思えたのだが、4コーナー手前あたりからまた盛り返し気味。直線でもただ1頭だけ脚色が違っていたタナトス。ちょっと驚く勝ち方であった。
最初の1コーナーのカーヴは入っていくまでが速いのはいつもの事で、ここらが11.8のラップ。しかし、その後はもう14.1とペースダウンしていた流れ。先頭は最内枠からフィオリア。スタートが良かったテーオーブユウデンを内から抜いて先頭に立って行った。2番手テーオーブユウデン、3番手がカネトシマーシャルが内で外にドリームマキシマム。その後ろにホワイトアルバムで、この内めにタナトスがいた。
向こう正面を過ぎて3コーナーへかかるあたりで、2番手に内からカネトシマーシャルが、外からドリームマキシマムが、テーオーブユウデンを挟む様に接近しだす。その後ろでホワイトアルバムはそのままだが、内のタナトスが鞍上の手応えも悪くなってやや下がり気味となってしまう。
4コーナーへの中間地点では、後ろのローレルマキバオーにも抜かれて、後ろから3頭め。前からは2秒近くも離され位置となってしまう。
前の5頭は固まりながら、手応えも残して4コーナーを回って行くが、先頭はテーオーブユウデンが楽な手応えで取りそうだ。
そして直線へと入って来て、テーオーブユウデンはまだ追っていない楽な手応えで後続4頭を引き連れている。そこからまだ6馬身ぐらい後ろにローレルマキバオーがいて、タナトスが外へ出して接近したのが見えた。
残り1ハロンの標識を見て、福永Jがテーオーブユウデンにステッキを入れてゴーサインを出す。やっぱりこの馬の鞍かと思えた瞬間に、外から一気にタナトスの脚が違って抜き去っていった。最後は4馬身もの差をつけて、テーオーブユウデンが2着。そこから2馬身離れてホワイトアルバムであった。
タナトスが使った上がりは37.3。レースの上がりを2秒近くも上回るものだ。ビデオで見ると、残り800でステッキを2発、4コーナー回ってから5発、直線半ばでスタートのゲートの轍に驚いて外へ逃げたのを矯正するのに1発。後は手綱でしゃくりながらのゴールであった。
《気が小さいのでゲートも出ていかないし、道中もはあんな感じになったが、手応えが悪くなってた訳ではないからね》とレース後の武豊Jのコメントであった。
しかし、このレースでこの馬を1番人気に支持するハードなファンの目には驚く。そしてその勝ちっぷりにも驚いたものであった。
日曜京都6R
2歳新馬
芝1800m
勝ちタイム1.51.4
勝ち馬:トーセンラー(牡2、栗東・藤原英厩舎)
4コーナー手前で、もう手応えが悪くなっているトーセンラー。ディープインパクト産駒で圧倒的1番人気。もう万事休すと思えたが、直線半ばからまた渋太く伸び出す。それでも内ラチ沿いを逃げ込まんとするハーバーコマンドを交わせないと思ったが、途端にゴール前で加速して首差先んじてのゴールしたあたり、非凡なものを感じるトーセンラーの初陣の走りっぷりであった。
ゲートの出は、内でサクラライジング、大外のハーバーコマンドは良かった。中からエスカナールが前に出てくる感じだったが、大外のハーバーコマンドがジンワリと先頭となる。トーセンラーも好位置の5番手の外めにいる。
向こう正面に入って、あんまり遅いのを嫌ったのか、武豊Jのトーセンラーが3番手に上がり、エスカナールの後ろにつけて3コーナーを回り坂を下って行く。淡々と流れて、1000メートルがやはり遅く、1.04.6といつもどおりの緩いペースだ。
4コーナーへと入ってくる前は、先頭のハーバーコマンドに2番手エルカナール、3番手トーセンラーがそれぞれ1馬身の間隔だったのだが、カーヴに入る寸前にはかなり接近してきた。トーセンラーの外にはマコトサンパギータが接近し、外にカレンミロティックと、5頭が横並びの感じとなってきた。
カーヴを回る時には、トーセンラーの手応えがかなり怪しい。むしろその内のエスカナールが持ったままだ。
トーセンラーの外のマコトサンパギータが、コーナーリングがやや拙く、外へもたれ気味で回ってきた。
直線へと向かい、最内をサクラライジングが狙って入った。しかし先頭はハーバーコマンド。その外エスカナール、トーセンラーよりも外のマコトサンパギータの方が前に出た様子だ。
もう各馬が追い出した残り2ハロン過ぎ。先頭のハーバーコマンドがもう一度内ラチ沿いにへばりつき粘っている。いや、もう一度伸びだしている様子だ。1馬身ぐらい差がついて、2番手が横に並び出す。外のマコトサンパギータが伸びそう。トーセンラーはまだ前に出て来れない。と思った残り1ハロンあたり、トーセンラーが急速に伸びだして、2番手グループの中で一番の伸びとなりだす。しかし前を行くハーバーコマンドとはもう3馬身近くある。
ステッキに応えて伸びているハーバーコマンドに急接近はしているが、届きそうもないトーセンラー。と思った瞬間に、ゴール寸前ではトーセンラーの方が前に出ているではないか。ちょっと信じられない伸びを見せてくれた。最後の3ハロンが11.8~11.2~11.0である。そこを差し切ったトーセンラーの威力。
《首さしなんか父とソックリで、柔らかい体だ》と武豊Jが通り過ぎながら馬上から言う。ちょっといい感触を持った様子だ。
馬体の数字が438キロと父よりもかなり小さいが、見た目はそんなにも感じない体だ。実戦に行って渋い印象の馬である。次はどこへ使ってくるのだろうか。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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