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ドナウブルーなど《平林雅芳 2歳観戦記》(11/27・28)
2010/11/30(火)
土曜京都5R
2歳新馬
ダ1200m
勝ちタイム1.15.7
勝ち馬:メイショウツガル(牡2、栗東・武田厩舎)
スタンドの1階、ベンチでゴール少し前で観戦していた私だが、思わず大きな声を出してしまった。《うわー!》とである。もうすっかり楽勝モードに入っていたディナーラッシュ。逃げ切り濃厚と思った瞬間に、馬が急に内ラチを超えようとしてしまった。鞍上の四位Jは、ラチを超えコンクリートの道へ飛んで行った。うまく回転して落ちていったのが良かった様で、あのアクシデントを思えば良く無事だったと思えるものだった。離れた中団の内ラチ沿いを追走して順位を上げつつあるメイショウツガルの勢いがいいなとは思っていたが、まさか1着にまで来れる位置ではなかった。
結局、先頭が落ち、そのアオリを2番手の馬がモロに受けてしまった格好だ。他にもかなり影響を受けた馬が多かったはず。その開いたところを上がってきていたのがメイショウツガルで、勝ち時計が遅いのは当然。
いや~、本当に競馬はゴールに入るまでに何が起きるか判らない。とにかく競馬は無事がいいと実感した。
ユッタリした流れ、前半3ハロン36.7のペースで行っていたディナーラッシュ。直線入り口ではフワーッとして外へ遊び気味。四位Jが注意させているのがビデオでわかる。そして手応えも十分、他に接近してくる感じでもないまま、残り1ハロンあたりでは2番手もシゲルヤクインもそのままの感じだと思えた。
しかしオーロラビジョンを観て馬が驚いたのか、鞍上の四位Jが左ムチをちょうど入れた時のタイミングで、内ラチを跨ごうとして馬場から出ようとするディナーラッシュ。
四位Jは空を飛んでコンクリの上に叩きつけられた。2番手の馬の内にちょうど上がって来ていたマルブツマスター。ディナーラッシュの動きに当然反応してしまい、シゲルヤクインに内からぶつかって弾いてしまう。
ぶつけられたシゲルヤクインは転倒。かくして2頭の落馬となってしまった。
ぶつかってひるんだマルブツマスターの内のラチ沿いを、メイショウツガルが抜いて行って1着。最後の1ハロン14.3が、このレースを物語る数字だと思える。
土曜京都6R
2歳新馬
芝内1600m
勝ちタイム1.36.0
勝ち馬:ナリタキングロード(牡2、栗東・荒川厩舎)
この新馬戦にも、ディープインパクトの子供が3頭出走。どんどんとデビュー戦を迎えつつある。そのうちの1頭、オースミハルカの子供ナリタキングロードが、鞍上のステッキにうながされてから最後のゴール前でひと伸びが利いて、最後は流し気味となるデビュー勝ちだった。
最内枠を利し、エーティーブラボーが逃げる。シルヴァースプーンが2番手。ディープの子供メデタシが3番手。前半3ハロンが36.0とこれまた緩い流れで進む。外々をセレブリティが進む。ナリタキングロードが馬の中で脚を貯めている。結局、そのままの流れで4コーナーまで来ている。1000メートル通過が1.00.7とピッチも上がっていない。
カーヴを回る時に5番手に上がってきていたナリタキングロードが、セレブレティの外へと馬体を出してきての追い出し。しかしカーヴに入るあたりで、すでにステッキを1、2発入れたのがパトロールビデオで確認された。渋いのだろう。
前が4頭並ぶ外からやっと顔をのぞかせたのが、残り1ハロンを過ぎたあたり。そこからさらに2発のステッキでうながされて、最後ゴール板少し前あたりでは抑え気味となっていた。計8発ぐらいのステッキが入ったナリタキングロードだが、ケイコでもあまり一杯に追われた事がない様子だから、武豊Jの《ステッキが利いたね》はまさしくその通りだった。
2着、3着に4着馬までが前々でレースを進めた馬。最後にスターコレクションが少しいい脚を使っていたけれども、目立つ程の脚色でもなかった。
最後の2ハロンだけが11.7~11.6と速くなった程度であり、全般にゆったりめのレースであった。
次はホープフルSあたりになるかも知れないと火曜朝に荒川師が語っていた。まずは初戦を無事にクリアした事で、ほっとした表情だった。
土曜京都9R
京都2歳S
芝内2000m
勝ちタイム2.01.6
勝ち馬:マーベラスカイザー(牡2、栗東・柴田見厩舎)
出走馬10頭のうち9頭、ほとんど固まったままでの競馬。結局、こんな時には内々を回った馬が有利なのか1、2着となった。圧倒的人気のダノンバラードは、遅い流れを嫌がって向こう正面では前を促す様に前へと出かかったが、結局外々を回るロスが痛かったのか、直線入り口あたりから手応えもあまり良くなかった。ゴール前の最後だけは詰め寄っても、交わしそうな勢いではなくクビ、クビの3着であった。
関東から参戦のプレイが好発から先手を取って行く。すぐに遅くなった様子で、2番手サンビーム、内からヴィジャイ。その後にレッドセインツ、ダノンバラードと続くが、ほとんど一団で2コーナーを回る。
向こう正面に入るあたりで、ヴィジャイがたまらず先頭に踊り出て、サンビームもその動きに合わせて2頭並ぶ、しかし、内からまたプレイがもう一度先手を主張して、カーヴを回って行く。
内々の3番手にマーベラスカイザーがピッタリと追走している。ピッチが上がる4コーナー手前では、馬群の中のダノンバラードが、手応えがちょっと悪く見える。あまりいい反応をしてない様子だ。
直線に入ってプレイは最内、サンビームの外へ出してきたマーベラスカイザー、その外めにダノンバラードと態勢が決まり出したが、プレイとその外へ出して並んできたマーベラスカイザーの争いになる。
ダノンバラーはジリジリとしか伸びていない。むしろ、内めをついたレッドセインツ、そしてダノンバラードの後ろの内めから脚を伸ばしてきたゴールドブライアンの伸び脚が眼を引く。しかし前はもうしっかり態勢が決り、マーベラスカイザーがクビ差プレイに先んじてのゴールであった。
マーベラスカイザーは、北海道シリーズで未勝利を勝った時の内容が印象的でその後も注目していたのだが、コスモス賞はジリジリしか伸びなかったし、2歳Sは不利も響いて8着。帰京戦での萩Sも7着とちょっと忘れかけていた。
道中は頭を上げたりフワフワした走りだったが、4コーナーを入る時は待つぐらいの手応え。ペースが速くなっている時にそのゆとりだから、距離が伸びてくるこれからはむしろ走りやすい馬かも知れない。
担当の古川代津雄さんは、父マーベラスサンデーをも担当していたベテランさん。その子供で勝つのは、ひとしお嬉しい限りであろう・・・。
日曜京都5R
2歳新馬
芝内1400m
勝ちタイム1.23.2
勝ち馬:メイショウムース(牡2、栗東・飯田明厩舎)
勝ち時計がかなり遅い。1200でも最近の競馬はゆったり進む事が多い。まして1400となるとほとんどスローな流れとなり、上がり勝負となる。最後の3ハロンが11.8~11.9~11.5となったが、そこを抜けて来たのがシックスセンスの子供メイショウムースで、ゴール前では抑えている余裕まであった。
テイクアベットが逃げて、シゲルセキニンシャが2番手、その外へアースワンキセキが並び、外にラディアーレ、直後がペニーブラック。その内へメイショウムースと、先行グループがほとんど一団となって3コーナーを回って行く。キョウワダフッイーも差なく追走である。前半3ハロンが36.0と、かなりゆったり。
4コーナーを回るあたりでは、抜群の手応えとなっていたのがメイショウムース。直線に向いて、先行馬の勢いとはハッキリ違った伸びで、アッという間に先頭に踊り出て、最後のゴール前はもう流し気味であった。
そのメイショウムースの後を、中団の内めから外へ出したキョウワダッフイーが脚を伸ばしてきて2着を確保。
最後はペニーブラックも伸びてきたが、クビ差届かずであった。
ポリトラックでのケイコでもCWのケイコでも、いい時計と動きをマークしていたメイショウムース。着差以上に強い内容での勝ち上がりと思えた。
流れが遅かったのでタイムは仕方ないかも知れないが、切れのある内容であり、次走でどれだけの走りを見せるかであろう。
日曜京都6R
2歳新馬
芝内2000m
勝ちタイム2.03.6
勝ち馬:アサクサショパン(牡2、栗東・大久保龍厩舎)
前日の落馬負傷で、四位Jから岩田Jに乗り替わったアサクサショパンが、着差は半馬身ながら楽勝モードでの勝利だった。ヴァーミリアンやキングスエンブレムの弟カーマインも、4コーナーで外を回らざるをえない流れでの分で踏み遅れたが、いい伸び脚であり次走に繋げた。
ウィリアムズJ騎乗のアバウトが逃げて、アサクサショパンが早めの2番手追走である。スタートでアストリンジャーが躓いてしまった。流れは淡々としていて、完全に前残りの流れ。1000メートル通過がかなり遅めの1.03.8だ。
4コーナー入り口で後続馬がドッと追いかけてきたが、前有利。逃げたアバウトが粘るところをアサクサショパンはしっかりと伸びて、ゴールまで我慢をする。
2着にはカーマインだが、道中は中団よりやや後ろめ。4コーナーでも馬群の外を回って追い上げて来たが、かなり外めを回って来ている分で届かず。
そしてスタートでややハンデを背負った形のアストリンジャーが、いい脚を使って伸びてきて3着であった。逃げたアバウトが際どく粘っての4着。
アサクサショパンは、この2週が一杯に追っての仕上げ。先週に比べて最後の追い切りとなった今週は、タイムも78秒台をたたき出した。そして常に終いをしっかりと追っているのがいい。やはり実戦で生きて来るし、追われての良さが出てくる。なかなか雄大なフットワークで走る馬であり、先々が十分に楽しめそうだ。
そして2着のカーマインも、やはり血筋か、走る雰囲気を持つ。次走がますます楽しみとなった。
日曜京都9R
白菊賞
芝内1600m
勝ちタイム1.36.8
勝ち馬:ドナウブルー(牝2、栗東・石坂厩舎)
勝ち時計はそんなに速くはないが、直線でのしっかりした伸び。初戦で見せたスピードが溢れすぎていた内容とは違って、今回は追われてからの良さも見せたドナウブルーの2戦目。この勝利は味の濃いものであり、鞍上の福永Jを桜花賞の頃に迷わせることとなっているかも知れない素質馬であろう。
結果的に馬ディープインパクト産駒どうしの一騎打ちとなった直線1ハロンであったが、負けたがケイティーズジェムも、ファンタジーSで見せた若過ぎる道中の行きっぷりからは、今回は実に落ち着いている競馬内容であった。直線ではどちらが勝つのかと思える前半だったが、ゴールが近づけば相手のドナウブルーが強すぎた感じであった。
何せ、このレースの特徴は、最後の1ハロンが言いつくしているだろう。10.9のラップを、ドナウブルーはもう加速がついて流し気味でのゴールであったのだから。
ゴール前の3ハロンが11.8~11.5~10.9の切れ味勝負。前半は3ハロンが37.9であり、1000メートル通過が1.02.6のかなりゆったりな流れである。そこを初戦ではスピードが余りあった感じのドナウブルーが、実に見事に折り合って行けているのを観れば、《ああ、ドナウブルーで仕方がないな》と思える程の素質の高さ。やはり噂にたがわず、直線での爆発力はたいしたもの。
負かされたケイティーズジェムも、若さを露出した前走ファンタジーSの経験が生きた様子で、今日の内容は折り合って実にいい感じ。直線での馬体を接しての追い合いでは負けてしまったが、やはり実り多い一戦となったはずである。
ドウナブルーは、阪神ジュベナイルフィリーズに登録もしなかった。ここらが凄い事。2勝を挙げたら試してみたくなるもの。まずは登録をしてしまうものだが。
来年の桜の咲く頃に話題になる馬のはず。おそらく今年はこれで休憩であろう。関西で貴重な2勝目を挙げた、ディープインパクト産駒ドナウブルーの着差以上に実に強い内容での、白菊賞勝利でありました。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
2歳新馬
ダ1200m
勝ちタイム1.15.7
勝ち馬:メイショウツガル(牡2、栗東・武田厩舎)
スタンドの1階、ベンチでゴール少し前で観戦していた私だが、思わず大きな声を出してしまった。《うわー!》とである。もうすっかり楽勝モードに入っていたディナーラッシュ。逃げ切り濃厚と思った瞬間に、馬が急に内ラチを超えようとしてしまった。鞍上の四位Jは、ラチを超えコンクリートの道へ飛んで行った。うまく回転して落ちていったのが良かった様で、あのアクシデントを思えば良く無事だったと思えるものだった。離れた中団の内ラチ沿いを追走して順位を上げつつあるメイショウツガルの勢いがいいなとは思っていたが、まさか1着にまで来れる位置ではなかった。
結局、先頭が落ち、そのアオリを2番手の馬がモロに受けてしまった格好だ。他にもかなり影響を受けた馬が多かったはず。その開いたところを上がってきていたのがメイショウツガルで、勝ち時計が遅いのは当然。
いや~、本当に競馬はゴールに入るまでに何が起きるか判らない。とにかく競馬は無事がいいと実感した。
ユッタリした流れ、前半3ハロン36.7のペースで行っていたディナーラッシュ。直線入り口ではフワーッとして外へ遊び気味。四位Jが注意させているのがビデオでわかる。そして手応えも十分、他に接近してくる感じでもないまま、残り1ハロンあたりでは2番手もシゲルヤクインもそのままの感じだと思えた。
しかしオーロラビジョンを観て馬が驚いたのか、鞍上の四位Jが左ムチをちょうど入れた時のタイミングで、内ラチを跨ごうとして馬場から出ようとするディナーラッシュ。
四位Jは空を飛んでコンクリの上に叩きつけられた。2番手の馬の内にちょうど上がって来ていたマルブツマスター。ディナーラッシュの動きに当然反応してしまい、シゲルヤクインに内からぶつかって弾いてしまう。
ぶつけられたシゲルヤクインは転倒。かくして2頭の落馬となってしまった。
ぶつかってひるんだマルブツマスターの内のラチ沿いを、メイショウツガルが抜いて行って1着。最後の1ハロン14.3が、このレースを物語る数字だと思える。
土曜京都6R
2歳新馬
芝内1600m
勝ちタイム1.36.0
勝ち馬:ナリタキングロード(牡2、栗東・荒川厩舎)
この新馬戦にも、ディープインパクトの子供が3頭出走。どんどんとデビュー戦を迎えつつある。そのうちの1頭、オースミハルカの子供ナリタキングロードが、鞍上のステッキにうながされてから最後のゴール前でひと伸びが利いて、最後は流し気味となるデビュー勝ちだった。
最内枠を利し、エーティーブラボーが逃げる。シルヴァースプーンが2番手。ディープの子供メデタシが3番手。前半3ハロンが36.0とこれまた緩い流れで進む。外々をセレブリティが進む。ナリタキングロードが馬の中で脚を貯めている。結局、そのままの流れで4コーナーまで来ている。1000メートル通過が1.00.7とピッチも上がっていない。
カーヴを回る時に5番手に上がってきていたナリタキングロードが、セレブレティの外へと馬体を出してきての追い出し。しかしカーヴに入るあたりで、すでにステッキを1、2発入れたのがパトロールビデオで確認された。渋いのだろう。
前が4頭並ぶ外からやっと顔をのぞかせたのが、残り1ハロンを過ぎたあたり。そこからさらに2発のステッキでうながされて、最後ゴール板少し前あたりでは抑え気味となっていた。計8発ぐらいのステッキが入ったナリタキングロードだが、ケイコでもあまり一杯に追われた事がない様子だから、武豊Jの《ステッキが利いたね》はまさしくその通りだった。
2着、3着に4着馬までが前々でレースを進めた馬。最後にスターコレクションが少しいい脚を使っていたけれども、目立つ程の脚色でもなかった。
最後の2ハロンだけが11.7~11.6と速くなった程度であり、全般にゆったりめのレースであった。
次はホープフルSあたりになるかも知れないと火曜朝に荒川師が語っていた。まずは初戦を無事にクリアした事で、ほっとした表情だった。
土曜京都9R
京都2歳S
芝内2000m
勝ちタイム2.01.6
勝ち馬:マーベラスカイザー(牡2、栗東・柴田見厩舎)
出走馬10頭のうち9頭、ほとんど固まったままでの競馬。結局、こんな時には内々を回った馬が有利なのか1、2着となった。圧倒的人気のダノンバラードは、遅い流れを嫌がって向こう正面では前を促す様に前へと出かかったが、結局外々を回るロスが痛かったのか、直線入り口あたりから手応えもあまり良くなかった。ゴール前の最後だけは詰め寄っても、交わしそうな勢いではなくクビ、クビの3着であった。
関東から参戦のプレイが好発から先手を取って行く。すぐに遅くなった様子で、2番手サンビーム、内からヴィジャイ。その後にレッドセインツ、ダノンバラードと続くが、ほとんど一団で2コーナーを回る。
向こう正面に入るあたりで、ヴィジャイがたまらず先頭に踊り出て、サンビームもその動きに合わせて2頭並ぶ、しかし、内からまたプレイがもう一度先手を主張して、カーヴを回って行く。
内々の3番手にマーベラスカイザーがピッタリと追走している。ピッチが上がる4コーナー手前では、馬群の中のダノンバラードが、手応えがちょっと悪く見える。あまりいい反応をしてない様子だ。
直線に入ってプレイは最内、サンビームの外へ出してきたマーベラスカイザー、その外めにダノンバラードと態勢が決まり出したが、プレイとその外へ出して並んできたマーベラスカイザーの争いになる。
ダノンバラーはジリジリとしか伸びていない。むしろ、内めをついたレッドセインツ、そしてダノンバラードの後ろの内めから脚を伸ばしてきたゴールドブライアンの伸び脚が眼を引く。しかし前はもうしっかり態勢が決り、マーベラスカイザーがクビ差プレイに先んじてのゴールであった。
マーベラスカイザーは、北海道シリーズで未勝利を勝った時の内容が印象的でその後も注目していたのだが、コスモス賞はジリジリしか伸びなかったし、2歳Sは不利も響いて8着。帰京戦での萩Sも7着とちょっと忘れかけていた。
道中は頭を上げたりフワフワした走りだったが、4コーナーを入る時は待つぐらいの手応え。ペースが速くなっている時にそのゆとりだから、距離が伸びてくるこれからはむしろ走りやすい馬かも知れない。
担当の古川代津雄さんは、父マーベラスサンデーをも担当していたベテランさん。その子供で勝つのは、ひとしお嬉しい限りであろう・・・。
日曜京都5R
2歳新馬
芝内1400m
勝ちタイム1.23.2
勝ち馬:メイショウムース(牡2、栗東・飯田明厩舎)
勝ち時計がかなり遅い。1200でも最近の競馬はゆったり進む事が多い。まして1400となるとほとんどスローな流れとなり、上がり勝負となる。最後の3ハロンが11.8~11.9~11.5となったが、そこを抜けて来たのがシックスセンスの子供メイショウムースで、ゴール前では抑えている余裕まであった。
テイクアベットが逃げて、シゲルセキニンシャが2番手、その外へアースワンキセキが並び、外にラディアーレ、直後がペニーブラック。その内へメイショウムースと、先行グループがほとんど一団となって3コーナーを回って行く。キョウワダフッイーも差なく追走である。前半3ハロンが36.0と、かなりゆったり。
4コーナーを回るあたりでは、抜群の手応えとなっていたのがメイショウムース。直線に向いて、先行馬の勢いとはハッキリ違った伸びで、アッという間に先頭に踊り出て、最後のゴール前はもう流し気味であった。
そのメイショウムースの後を、中団の内めから外へ出したキョウワダッフイーが脚を伸ばしてきて2着を確保。
最後はペニーブラックも伸びてきたが、クビ差届かずであった。
ポリトラックでのケイコでもCWのケイコでも、いい時計と動きをマークしていたメイショウムース。着差以上に強い内容での勝ち上がりと思えた。
流れが遅かったのでタイムは仕方ないかも知れないが、切れのある内容であり、次走でどれだけの走りを見せるかであろう。
日曜京都6R
2歳新馬
芝内2000m
勝ちタイム2.03.6
勝ち馬:アサクサショパン(牡2、栗東・大久保龍厩舎)
前日の落馬負傷で、四位Jから岩田Jに乗り替わったアサクサショパンが、着差は半馬身ながら楽勝モードでの勝利だった。ヴァーミリアンやキングスエンブレムの弟カーマインも、4コーナーで外を回らざるをえない流れでの分で踏み遅れたが、いい伸び脚であり次走に繋げた。
ウィリアムズJ騎乗のアバウトが逃げて、アサクサショパンが早めの2番手追走である。スタートでアストリンジャーが躓いてしまった。流れは淡々としていて、完全に前残りの流れ。1000メートル通過がかなり遅めの1.03.8だ。
4コーナー入り口で後続馬がドッと追いかけてきたが、前有利。逃げたアバウトが粘るところをアサクサショパンはしっかりと伸びて、ゴールまで我慢をする。
2着にはカーマインだが、道中は中団よりやや後ろめ。4コーナーでも馬群の外を回って追い上げて来たが、かなり外めを回って来ている分で届かず。
そしてスタートでややハンデを背負った形のアストリンジャーが、いい脚を使って伸びてきて3着であった。逃げたアバウトが際どく粘っての4着。
アサクサショパンは、この2週が一杯に追っての仕上げ。先週に比べて最後の追い切りとなった今週は、タイムも78秒台をたたき出した。そして常に終いをしっかりと追っているのがいい。やはり実戦で生きて来るし、追われての良さが出てくる。なかなか雄大なフットワークで走る馬であり、先々が十分に楽しめそうだ。
そして2着のカーマインも、やはり血筋か、走る雰囲気を持つ。次走がますます楽しみとなった。
日曜京都9R
白菊賞
芝内1600m
勝ちタイム1.36.8
勝ち馬:ドナウブルー(牝2、栗東・石坂厩舎)
勝ち時計はそんなに速くはないが、直線でのしっかりした伸び。初戦で見せたスピードが溢れすぎていた内容とは違って、今回は追われてからの良さも見せたドナウブルーの2戦目。この勝利は味の濃いものであり、鞍上の福永Jを桜花賞の頃に迷わせることとなっているかも知れない素質馬であろう。
結果的に馬ディープインパクト産駒どうしの一騎打ちとなった直線1ハロンであったが、負けたがケイティーズジェムも、ファンタジーSで見せた若過ぎる道中の行きっぷりからは、今回は実に落ち着いている競馬内容であった。直線ではどちらが勝つのかと思える前半だったが、ゴールが近づけば相手のドナウブルーが強すぎた感じであった。
何せ、このレースの特徴は、最後の1ハロンが言いつくしているだろう。10.9のラップを、ドナウブルーはもう加速がついて流し気味でのゴールであったのだから。
ゴール前の3ハロンが11.8~11.5~10.9の切れ味勝負。前半は3ハロンが37.9であり、1000メートル通過が1.02.6のかなりゆったりな流れである。そこを初戦ではスピードが余りあった感じのドナウブルーが、実に見事に折り合って行けているのを観れば、《ああ、ドナウブルーで仕方がないな》と思える程の素質の高さ。やはり噂にたがわず、直線での爆発力はたいしたもの。
負かされたケイティーズジェムも、若さを露出した前走ファンタジーSの経験が生きた様子で、今日の内容は折り合って実にいい感じ。直線での馬体を接しての追い合いでは負けてしまったが、やはり実り多い一戦となったはずである。
ドウナブルーは、阪神ジュベナイルフィリーズに登録もしなかった。ここらが凄い事。2勝を挙げたら試してみたくなるもの。まずは登録をしてしまうものだが。
来年の桜の咲く頃に話題になる馬のはず。おそらく今年はこれで休憩であろう。関西で貴重な2勝目を挙げた、ディープインパクト産駒ドナウブルーの着差以上に実に強い内容での、白菊賞勝利でありました。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
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