スマートロビンなど《平林雅芳 2歳観戦記》(12/11.12)

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トピックス

土曜阪神5R
2歳新馬
芝外1600m
勝ちタイム1.36.8

勝ち馬
マルセリーナ(牝2、栗東・松田博厩舎)

圧倒的人気のマルセリーナ、ジワジワと順位を上げてきては4コーナー入り口でもう先行馬の直後。直線に入っては、少し脚元を見る様な仕草の鞍上の動きだったが、追い出してからは段々と伸びが確かなものとなった。ゴール前の最後は、先に抜け出たアイアムアクトレスを交わし、ゴールではもう流し気味と、ギアが入ってからが凄い。噂にたがわぬ能力を秘めた、ディープインパクトの子供がデビュー勝ちを果たした。

内枠を利してフレンチボウが出て行くが、直ぐにカテンゲッチメイショウディノスが代わって前へと出てレースを造っていく。好位の5番手にアイアムアクトレス、それを前に見るようにマルセリーナが続く位置どりで、前からも5、6馬身のところ。3コーナーでは、またカテンゲッチが先頭となり、メイショウディノスが2番手、3番手内がデンコウリョウ、外アイアムアクトレスで回る。マルセリーナはそこから3頭ぐらい後ろだ。
4コーナー手前でピッチが上がったせいか、3番手外のアイアムアクトレスの手応えがあまり良くなく、鞍上の秋山Jの手が動いている。直後にマルセリーナが接近してきている。そしてカーヴを回り直線に入ってくる。

ポッカリと開いた外回りと内回りの4コーナーの空間を通るあたりで、マルセリーナの安藤Jがしきりに下を見る仕草をする。当然、まだ追ってない。そこらではもう前はトップスピード。『大丈夫なのか?』と思ったが、その直ぐ後に追い出した。残り1ハロンあたりか。
ここらで、アイアムアクトレスが先ほどの手応えとは違ってしっかりと伸びて先頭に踊り出て、勝利を目指している。それを追ってマルセリーナが接近して行き、外から交わして最後は楽な手応えでゴールを駆け抜けた。

先行馬のペースが1.02.3とけっこうユッタリな流れ。でも、逆に切れ味勝負となった。レースの上がり34.5だが、勝ったマルセリーナの脚は33.9と決め手が違った。最後の1ハロンは11.7。追い出したのがその1ハロンあたりからだし、最後は流し気味。もっと凄い脚を使えた計算となる。恐ろしい数字であり、驚くべきマルセリーナのエンジンであろう。462キロと、ディープ産駒の牝馬としてはけっこうな体の持ち主である。本当に層が厚い松田博厩舎の2歳馬たちである。


日曜阪神4R
2歳新馬
ダ1400m
勝ちタイム1.27.8

勝ち馬
イチドラゴン(牡2、栗東・吉田厩舎)

直線1ハロンでは、後ろをチラ見を何度かしながらもそんなには追ってない仕草のイチドラゴンが、着差以上の余裕でデビュー勝ちをした。ただ前半3ハロンが36.0とユッタリな流れとはいいながらも、勝ち時計も1.27.8と少し遅い。上がりも39.2と数字的には物足りなさを感じるもの。勝ち馬だけが余裕残しの手応えといった感じの一戦でもあった。

最内枠のベルモントノホシワンダーエレメントが出て行き、シャドーボールが3番手、その外へと出して来たイチドラゴン。比較的ゆったりな流れで進んでいる。前半1000メートルでも1.01.4であるから、平均的な流れか。しかし人気のマレオットは、馬群のまだ後ろめである。スタートが今ひとつでもあったし、その後もあまり行けていない。

前では、やや掛かり気味の行きっぷりのイチドラゴン、3コーナー手前で内から外へと出して、4コーナー手前ではかなり余裕のある手応えだ。そして直線に向くと、前へと出てきて残り1ハロンあたりから追い出すのだが、後ろを見ながらのもの。先行馬が脚が鈍っていく中で、伸びているのはイチドラゴンだけ。完全に勝利は確定の脚色である。
2着はカネトシファイターかと思った瞬間に、外からマレオットと一緒に追い込んできたバウンサーの方が伸びて2着。マレオットは伸びあぐねて4着。逃げたベルモントノホシが5着であった。

何せ、勝ったイチドラゴンだけが目立った一戦であった。2着のバウンサーは道中ほとんどマレオットと同じ位置。むしろこちらが内めであまりいいポジションでもなかった。しかしゴール前の最後の伸びは際立っており、勝負強さを感じる伸び方でもあった。後方から脚を使ってきたメイショウヨサクが一番の伸び。これがオヤッと思わせる随一のものであった。


日曜阪神5R
2歳新馬
芝内1200m
勝ちタイム1.10.2

勝ち馬
ラインアンジュ(牝2、栗東・領家厩舎)

19頭めのデビュー戦勝ちとなった福永J。直線では前にいたアグネスウイッシュを並ぶまもなく交わし去っている。しかしこのレースの勝ち時計も1分10秒台とタイム的には平凡過ぎるもの。あまり追った風にも見えなかったラインアンジュのゴール前が救いのレースであろうか。

内からテイエムテキドンプルメリが2番手、しかしゆったりとしたペースで推移していく。3番手の外へ出てきていたアグネスウイッシュが、コーナーリングがあまり巧く感じられない回り方の3コーナーであった。それを見る形で、ラインアンジュが馬の中で追走していた。前半の3ハロンが35.5とは、かなりゆったりな流れだ。
そのままペースが上がらずに4コーナーを回ってきて、内からエランドールが出てきた。それを外からアグネスウイッシュが交わしにかかる。と思えた残り1ハロン過ぎあたりだったが、後ろからラインアンジュが一気に交わしていく。そんなに仕掛けた感じでなく、ほとんど一瞬で抜いて先頭に踊り出て行った。
粘るエランドールをやっと交わした感じで、アグネスウイッシュが2着。その争いから離れた4着には、フィッシャーガールが5馬身もの水を開けられていた。

勝ったラインアンジュが一番の脚を使った格好で、34.1の上がりであった。ゲートの出が良くなかったが、横を向いた時に開いた感じであり、その後は外へと出して上がって行った。ゆったりと流れている前半でもあり、そんなに急ぐ必要もない流れでもあったのだろう。
アグネスウイッシュは、サクラバクシンオーの子供だけにこの体型かと思ってもいたが、武豊Jは単に太いだけの負けと言っていた。
次走はダートであれ、キッチリと答えを出してくれそう。それにしても福永Jの新馬勝ちの数は凄いもので19勝めを数え、2歳戦の総勝ち数はいくらなのだろう。今度数えておきたい。


日曜阪神9R
エリカ賞
芝内2000m
勝ちタイム2.05.2

勝ち馬
スマートロビン(牡2、栗東・松田国厩舎)

逃げたスマートロビンが、結局そのまま押し切り、2番手のユニバーサルバンクが2着。3番手のインコースで脚を使えなかったトーセンラーが3着というレースとなった。しかしこの上位3頭は、おそらく今後も対決するだろうが、力量差はまったくないに等しいと思えるもの。

ジュベナイルFで抽選負けでここへ回ってきたアドマイヤセプターが1番人気。スマートロビン、トーセンラーと続く人気であった。
長い距離で流れは淡々としたものになるだろうとの予想どおり。ゲートが開いての数完歩は探り合いの感じで、誰も行かないと見てスマートロビンが前へと出て行く。2番手が内からトーセンラー、外にユニバーサルバンクで最初のカーヴを回る。外から内へ入ってきていたアドマイヤセプターが、前の馬との間隔が狭くなってしまう。そしてかなり頭を上げてしまっている。

カーヴを回って、外のユニバーサルバンクが2番手となり、内のトーセンラーが半馬身差の3番手。2コーナーのカーヴあたりでは、4番手にサトノパンサーヴィクトリースターが並んで追走して、アドマイヤセプターはもう落ち着いて内の5、6番手で回って行く。
スマートロビンは、この後で少し後続を離して3馬身差。しかし向こう正面に入るやスローダウンしていく。
そのままほとんど隊列は変わらず、3コーナーを過ぎて4コーナー中間地点。残り800あたりで、先頭を行くスマートロビンの内田Jは、股の下から後続を確認するシーンを見る。瞬時に相手馬の動向を見ていたのか。そのまま引き付けての逃げを展開。

4コーナーのカーヴに入る時には、隣りに馬体を併せてきたユニバーサルバンク。その外へヴィクトリースター。トーセンラーは内ピッタリでスマートロビンの直後だ。
直線に入って追い合いとなるが、スマートロビンは1馬身の差を持って先頭を行く。ユニバーサルバンクが外で、直後にトーセンラーが内から迫ってくる。そして残り1ハロンを過ぎて内田Jの左ステッキが飛ぶ。最後の追い出しである。
福永Jもステッキで馬を追い詰めていく。その間を狙う武豊Jのトーセンラーだが間隔がない。
結局、そのままの態勢を保ったまま3頭の位置と順位が変わらないままにゴールを迎えた。
3番手のトーセンラーは、何も出来ないままの印象であった。そこから少し離れて4着がサトノパンサー、アドマイヤセプターは直線も伸びきれずに7着だった。

1000メートル通過が1.05.5の超スローな流れ。最後の3ハロンが11.8~11.0~11.4と、内田Jのペース造りは完璧であった。
このレースから過去かなりの馬が出世している。そんな称号を戴いたスマートロビン。大きなストライドで東へと向けて行く事になる来春であろう。
そして惜しむらくはトーセンラー。脚を使えずに、最後までゴールを迎えてしまった。次走は必勝であろう。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。