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-アーリントンC.阪急杯-平林雅芳の目
2011/3/1(火)
土曜阪神11R
アーリントンC(GⅢ)
芝外1600m
勝ちタイム1.34.2
勝ち馬:ノーザンリバー(牡3、栗東・浅見厩舎)
※※春一番、ノーザンリバー3連勝で重賞制覇!!
馬体減の馬が目立っていた。気温上昇に伴い、冬支度を解いてきつつある様だ。人気のノーブルジュエリーが後ろの方にいるのにスタンドがややどよめく。そんな前半からのレースの雰囲気が、直線でも内から赤い帽子がチラチラして波乱を予感させる。そのキョウエイバサラを、ジワジワと武豊Jが外からかわしてノーザンリバーの勝利。春近しも相変わらず定まらない若駒達の力比べである。
ゲートが開いて馬群が前と出ていく。その後のほんの一瞬の間に、一番内枠のスマートロビンが、今日もあまり上手く出てないなと判る。と、思う間もなく、すぐ後で黄色い勝負服が馬群から離れて下がる。ノーブルジュエリーが最後方になって、思わず場内がどよめいてしまう。前はと視線を戻すと、内からやはりテイエムオオタカが1馬身出る。すぐキョウエイバサラが2番手、外でマジカルポケットも速い。1ハロンを行く間に、アマノレインジャーがキョウエイバサラの外に出てきて2番手となる。その直後にカルドブレッサ、マジカルポケットの内だ。外のノーザンリバーが1馬身後ろ、内にはビップセレブアイがいる。そのまま1馬身のリードを取って、テイエムオオタカが先頭の隊列は、3ハロン標を卓。ブービーのノーブルジュエリーまで10馬身ぐらいはあるけっこう縦長の隊列だ。でも、4コーナーを回るあたりでは、だいぶ後続が間合いを詰めてきている。前も、テイエムオオタカの外にアマノレインジャーとマジカルポケットが、かなり接近して被せる様に並んで来ている。カーヴを回る時に、馬群の一番外めをノーブルジュエリーが上がりかかるのが見える。しかし1頭だけ馬群から遠い。
4コーナーを回って、外回りコースから内回りコースへとラチがなくなるあたりにさしかかる。先頭はまだテイエムオオタカ。しかしその内へ覗かす白い馬体。キョウエイバサラだ。さらに内へ潜りこむスマートロビン。外ではマジカルポケットの外にノーザンリバーが前へと出てくる勢いだ。ラスト300のオレンジ棒を過ぎたあたりでは、キョウエイバサラがラチ沿いでテイエムオオタカを抜いて先頭。その直後にスマートロビンがやや馬首を外へ向けて内ラチ沿いから出し加減。外ではノーザンリバーが追い出しにかかっている。
1ハロンを過ぎても、先頭はキョウエイバサラがキープ。このまま押し切るのかと思った瞬間にノーザンリバーが伸び出す。そしてキョウエイバサラは、テイエムオオタカにもまた差し返されそうになるが、それもまたゴールではテイエムオオタカが力尽きて3着となる。
パトロールビデオを見る。ノーブルジュエリーは、スタートして直ぐに狭くなってしまい下げた様だ。それから外へと進路を取っている。肝心の直線でも、最後は外へ流れ気味となっていた。その直線のラスト1ハロンで、スマートロビンは前の進路がなく、外へ出さざるを得ず。スタートといい直線といい、もっと差のない競馬となったかも。そしてラトルスネークも惜しまれる内容。直線で前が壁になっていて、追えないシーンがかなり映っている。最後はかなり猛追しているだけに、これも惜しまれる内容だ。
ウイナーズサークルへ向かう武豊Jが、『3戦前の芝の時とは全然違っていた。まだまだ良くなるし、脚も伸びるよ』と言っていた。
今回の大幅馬体減は浅見助手が『今までで一番に仕上げられたから』と、デビュー戦といい仕切り直しの一戦といい、完調な体調でなかった事を指摘していた。中間の自信が確信に変わった瞬間でもあった。まずは第一歩となるノーザンリバーの勝利でした。
火曜朝の取材では、《ゲート入りが少し悪かった様に使ってきてますから、これで一息入れるために放牧へ出します。その点も解消されますから》と浅見助手の弁だ。次走がどこかは、まだ未定である。
日曜阪神11R
阪急杯(GⅢ)
芝内1400m
勝ちタイム1.20.1
勝ち馬:サンカルロ(牡5、美浦・大久保洋厩舎)
※※サンカルロ、壁がなければ真っ直ぐ伸びる!快勝だった!!
暮れの阪神カップでは、ガルボがスムーズな競馬で勝利。そしてサンカルロは直線半ばでずーっと前が壁になって、消化不良の6着。それが今度は、直線でスムーズに前にも外にも馬がいないところを気持ち良く伸びての勝利としたサンカルロ。逆にガルボはやや前が開くのが遅すぎたきらいのレースだった。そして3着フラガラッハが、3コーナーから外をかなりの脚、決してこの距離が向いている馬でなく、それでいて目を見張る伸び。マイルならと思わせるもの。各陣営、これからスプリントなのかマイル路線なのかを決めるものであろう。
サンカルロが、そしてフラガラッハが少し馬群に遅れる程度のスタート。ほとんどの馬が互角のスタートだった。一番内からショウナンカザンが押して出て行く。サワヤカラスカルを挟んで、コスモセンサーもやはり出て行く。2ハロンを過ぎたあたりで、やっと先手コスモセンサーで2番手ショウナンカザンとなる。サワヤカラスカル、スプリングソングと並び、その後ろにガルボ、ワンカラットがサワノパンサーと併走して続く。3ハロンにかかるあたりでの全体の隊列を見ると縦長となっている。いつもなら平均ペースか少し遅めなのに、今回はけっこう流れている。外枠を懸念していたサンカルロが、ビービーガルダンの真横と、ちょうど半分ぐらいの位置どりに驚く。フラガラッハは、後ろから3頭めと後方だ。次の800メートル通過のハロンでは、後続馬がかなり前に接近してきた。サンカルロがワンカラットのすぐ後ろに取り付いているのが見える。内でガルボが絶好の手ごたえで待っているのも見える。
4コーナーのカーヴに差しかかる時には、コスモセンサーの外に出したショウナンカザン、スプリングソング、サワノパンサーと4頭が並び加減。サワノパンサーの直ぐ後ろにサンカルロ、外にケイアイデイジーが馬体を並べ、さらに外にフラガラッハが顔をのぞかせている。
カーヴを回り直線に入って来た。ラスト300のオレンジ棒では、先頭のコスモセンサーと2番手ショウナンカザンとの間が僅かにスペースが開きそう。そこにガルボが顔を出してきている。しかしショウナンカザンの外スプリングソングのさらに外、サンカルロが手応え十分で追い出す瞬間を待っている。
ラスト1ハロン、サンカルロの吉田豊Jがゴーサインを出して先頭に踊り出る。ガルボはやっと馬の間をすり抜けるかのタイミングで、もう前にサンカルロが1馬身は出てしまっていた。スプリングソング3番手かと思えた瞬間に、フラガラッハが外から伸びて来ていた。ガルボとサンカルロは、一瞬では半馬身ぐらいまで詰め寄った感じだったが、ゴールでは逆に突き放されていた。
1000メートルが56.5で、最後の1ハロンを残しての1200通過も1.08.0とかなり速い流れとなった今回の阪急杯。
これ程に縦長の隊列になる事もない前半。開幕週でイン有利の馬場だが、サンカルロはそんなに外を通らずに済んでいるのが大きい。そしていつもなら回りに馬だらけの直線。それが今日は外に何もいない、前がつかえる壁もない。ならばいつも脚を余して負けていたが、今日は思いっきり伸びた。
かくして、久々の勝利は本当に楽に確保。勝つ時はこんなものであろう。イン有利なはずのガルボだったが、いつもなら前がかなり整理されるのだが、なかなか前が止まらない。抜け出てくるのに時間がかかった感じ。そしてフラガラッハ。決してこの距離合う馬でもない。それでいて4コーナーまで取り付く脚も速いし、コーナーリングで大外はかなり厳しい条件。だが直線では、かなり目立つ脚色。この距離でこれだけやれるのは、地力がある証拠。やはりマイル戦までは、関東馬の層が厚いと常々思うのだが、今回もかくして関東馬のワンツーであった。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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