トピックスTopics
ロッカヴェラーノなど《平林雅芳 3歳観戦記》
2011/3/1(火)
土曜阪神5R
3歳新馬
ダ1200m
勝ちタイム1.14.4
勝ち馬:サトノティアラ(牝3、栗東・長浜厩舎)
直線で手綱を絞るだけで、追う動作に入らなかった藤田Jのサトノティアラ。それでも1馬身以上の差をつけて、2着の最内ウォーターリッパーの追撃を退けた。勝ち時計の遅さは、最後の1ハロンが13.7もかかっていただけに仕方なし。新馬戦であるだけにこんなものかも。
好発を切ったのが、一番内のウォーターリッパーで体半分前に出る。少し行く間にジンライムシュガーが前へと出て行く。2ハロンの少し手前あたりでは、前が6頭ぐらいが固まっている。タツフラッシュにサトノティアラも前へと並んできている。3ハロン手前あたりでは、先行集団のアサケマックスが下がり気味となっていった。4コーナーのカーヴでは、3頭の真ん中のタツフラッシュが一番前に出かかるが、外のサトノティアラがいい手応えで先頭に立つ勢いである。
タツフラッシュの内から、ウォーターリッパーがラチ沿いを伸びてくる。外ではトーアシシイも伸びて来ている。先頭に踊り出たサトノティアラ。ハミをかけ直しているのか、手綱を操作している。藤田Jの左ステッキが飛んで伸びていく。内からウォーターリッパーが伸びて来ているが、先頭までは出てこない。人気のアルモドヴァールは、中団から鞍上のリスポリJの懸命の右ムチにもさほどの反応がなく、伸び具合が平凡であった。
前半3ハロンが36.2とユッタリな流れ。それでも、ジンライムシュガーは4コーナーで止まり出した。前半の入りもそんなに速くないのに、上がりも38.2とかかる流れでもある。前々でレースをして直線もそれなりに伸びたサトノティアラは、持ち味を出して勝利したという表現をしていいだろう。まずは、ダートの新馬戦らしい結末であった。
土曜阪神6R
3歳新馬
芝2000m
勝ちタイム2.04.3
勝ち馬:パッションダンス(牡3、栗東・友道厩舎)
道中は3番手を進んだパッションダンス。直線入り口では、やや先頭に立ち気味。最後は後続をシャットアウトした格好だ。リスポリJは、左ステッキから右ステッキに持ち替えての追い出しで、最後はチラッと後続を確認する程の仕草。あれを見ると、着差以上の楽勝であったと思えるもの。またまたディープインパクトの子供が勝ち名乗りを挙げた。
レースが大きく動いたのが、3コーナー手前。2コーナーをブービーで通過したラシアンウッズが向こう正面で少し順位を上げたが、ペースが速くならないと見たのか、松岡Jが押して外から前へと出て行く。3コーナーでは一番前を走っていたニホンピロフィードのさらに前に出て、2馬身差をつける。1000メートル通過が1.04.5と遅い時の仕掛けだけに、タイミングよく行けた。
3コーナーから4コーナーの中間では、2番手がハイデルベーレがニホンピロフィードをかわして上がり気味となる。もうこの2頭は押している。そのすぐ横をパッションダンスがスーッと上がっていく。
4コーナーのカーヴにさしかかる時には、もう先頭が外のパッションダンスか。しかし、内でラシアンウッズもステッキが飛んで、最後の粘りを見せている。リスポリJの左ステッキがかなり入っている。そして馬も内ラチ沿いへと切れ込んで行く。
今度は右ステッキに持ち替えたリスポリJ。一旦は2番手にストリートマジックが上がったが、その横をコマノアクラとマーベラスバロンが並んでかわして前を追いかけて行く。しかし、先頭はパッションダンスがキープ。アドマイヤカヤージが、5着に猛然と突っ込んできていた。
終始前でレースを進めていたパッションダンス。3コーナーからの動きにも十分対応して前へと出て行った。4コーナー先頭と、少し早いぐらいの仕掛けとなったが、最後は2馬身近い差であった。しかも、ゴール少し前では後ろをチラッと見るだけの余裕さえもあった。3コーナーから速くなった流れに、後続馬がついて行けなかった差がゴールで出ていたと言えよう。
マーベラスバロンなどは、かなり長い間追っていたものである。早めの機動力を生かしたリスポリJの勝利であろう。
土曜阪神7R
3歳500万下
芝1200m
勝ちタイム1.09.7
勝ち馬:アポロフィオリーナ(牝3、美浦・岩戸厩舎)
好発から2番手をじっとしていたアポロフィオリーナ。直線に入ってラスト1ハロンから追い出したが、スッと後続に差をつける。ステッキを1発入れただけの楽勝で、最後は流し気味。短いところはなかなかに良さそうな馬である。この後は栗東に滞在して、7日目のファルコンSを狙うとの岩戸師のコメント。もう一度おつきあいする予定だ。
ゲートオープンで、ポンと半馬身ぐらい出ていたアポロフィオリーナだが、内からエヴァンブルーが先手を主張したので当然に2番手。外にエランドールと続く。2ハロンを行かないうちに流れが落ち着いてしまい、5番手ぐらいの内目に位置していたトツゼンノハピネスがやや頭を上げてつかえ気味となっている。レースの真ん中の3ハロンを通過するあたりでは、先頭のエヴァンブルーに半馬身差でアポロフィオリーナが続き、その半馬身後ろに2頭が併走、その直後に1番人気のトツゼンノハピネスらがいる。35.0とかなりな遅い流れである。
4コーナーのカーヴを回る時には、先頭にアポロフィオリーナが並びかける。ラスト300メートルのオレンジ棒を過ぎて、アポロフィオリーナが一番前へと出る。3番手のインにいたエーティーガンダムが開いたスペースに入ってくる。隣りのトツゼンノハピネスよりも動きが速い。先頭に立ったアポロフィオリーナは、鞍上の武豊Jがステッキを一発入れて、さらに前進を促す。2番手も完全にエーティーガンダムが上がる。外からジョーアラマートが伸びて来ている。
トツゼンノハピネスも顔を出すが、伸びが鋭くない、むしろ、その内からマスターグレイマンの伸びがいい。
パトロールビデオで見る。アポロフィオリーナは、3コーナーのコーナーリングがあまり上手くない。むしろ外へと膨れ気味な感じだ。4コーナーではそんな感じもさほど見られなかったが・・。
ゴールへ少しのところでもまた手前を替えていた様に、まだまだ幼さが出ている馬だ。前半35.0のユッタリした流れに乗って、終い34.7をほとんど楽な手応えで駆け抜けた。まだ伸び代はありそうな馬である。
日曜阪神5R
3歳新馬・牝
芝1800m
勝ちタイム1.48.0
勝ち馬:ハブルバブル(牝3、栗東・池江寿厩舎)
2着馬につけた差が5馬身、それも最後はステッキを使わずで、リスポリJの癖なのか後ろをチラ見してのフィニッシュ。ここもディープインパクト産駒の勝利となった。最後の2ハロンめが10.9をマークする様に、かなり切れる印象の馬である。これは楽しみだ。
好発馬をしたのはルースデラルナ。スッと出て行くが、隣りのソングソングソングも馬体を並べて出て行く。そこへペルレンケッテとシシリアンブリーズが押して出てきた。1ハロンを過ぎたあたりでは、前に3頭が並び加減となる。2ハロン過ぎてやっとシシリアンブリーズが外から先頭となる。1馬身後ろに2頭が併走。その後ろに内パイクスピークとソングソングソングが並び、その直後にハブルバブルが6番手での位置取りとなる。
前半の800を過ぎて、シシリアンブリーズは2番手ルースデラルナに2馬身差をつけて先行。十分に脚を貯めての先行となっている。後続がドッと詰め寄って来ている4コーナーのカーヴ手前。ハブルバブルが前にだいぶ差なく来ていて、先頭から2馬身差ぐらいの外めである。カーヴを回ったあたりにある、ラスト600メートルのハロン棒では、もう2番手ペルレンケッテの外めにハブルバブルが並んで来ている。
生垣の切れ目あたりでは、ハブルバブルのリスボリJが、持ったままで内をチラ見している。先頭に踊り出ようかの勢いとなっている。
残り300を合図に追い出された。短い間にステッキを一度、二度と入れた。後でこのハロンを通過が10.9と判る。抜け出て後ろを確認して、最後はもう流し気味でのゴール。2着シシリアンブリーズに5馬身差の楽勝であった。
逃げたシシリアンブリーズが造った前半1000メートル通過ののペースは、1.00.8とまず理想的なもの。十分に息を入れての先行であったはず。何せ、勝ち馬の瞬発力が上回り過ぎたものである。3着のペルレンケッテに1馬身以上の差をつけての2着だけに、相手が悪かったとしか言い様のない一戦か。
惜しかったのが、4着パイクスピーク。生垣の切れめあたりで、内へもたれ気味な様子。その後もシシリアンブリーズの内に入りそうになり、下げて後ろを見てからの追い出し。かなり離された瞬間もあったのに伸びてきて、ルースデラルナをかわしての4着であった。
ハブルバブルは、ケイコではまだそんなに際立ったタイムを出す感じではない。それでいて、芝でのこの切れ味である。またまたディープインパクトの子供に面白い馬が出た様子。桜花賞の穴馬に十分なりそうな馬の出現であろう・・か。
日曜阪神6R
3歳500万下
ダ1400m
勝ちタイム1.25.9
勝ち馬:キモンレッド(牝3、栗東・村山厩舎)
これ程に激しい直線の攻防になると思えなかった道中の流れ。直線では一転、二転と入れ替わるような結末となった。地方から転入してきたキモンレッドが、前走2着からの今回勝ち上がり。意外に混戦となったこのレースであったが、まだまだ答えが出にくい若駒たちであり、戦いぶりでは常に乱戦になりかねないと言える事かも知れない。
ゲートで、ギンザアキレスがダッシュがついていない。内でもスナイプビッドの出が芳しくない。芝からダートに替わったあたりで、スマートオーシャンが先頭となる。かなり押して行っての先手だ。それを追う様に、サミットストーンが行く。外からショウナンタスクも差なく続いている。人気のサウンドボルケーノは、そこから2、3馬身後ろだ。3ハロンを35.5とまずまずの流れ。中団にギンザアキレスが上がって来ているのが見える。前にだいぶ後続も追いついたのか、前が息を入れているのか、かなり差がなくなってきたラスト600メートル手前。サウンドボルケーノの隣りに、アルゴリズムも並んできた。4コーナーのカーヴとさしかかる。
外にギンザアキレスも連れての4頭が並んで、先頭で直線へと入ってきた。ラスト1ハロンで馬群がバラける隙に、真ん中をキモンレッドが入ってくる。一番外めをアルゴリズムがギンザアキレスをかわして出てくる。サウンドボルケーノは一番真ん中に入った。キモンレッドが抜けて、外アルゴリズムが迫ったが2着。ギンザアキレスとサミットストーンの間を、サウンドボルケーノが抜いて3着。ギンザアキレス4着だった。
特異な流れとなっている。前半の2ハロンめは11.1。ここはダッシュがつくところだから当然。その後の4ハロンめが13.0で、ここは先行した2頭が折り合ってペースダウンしたものだろう。4コーナーを回って直ぐの最後の2ハロンめが11.9で、最後1ハロンが13.0である。これ程に数字の変動が大きいレースはあまりない。
ゴールへと向けて綺麗にスピードアップして行くものだが、今回はちょっと荒い競馬になった証拠かも知れない。降着もあり、ちょっと思惑とも違ったレースとなった感じだ。キモンレッドは、前走がノーザンリバーの2着と徐々に内容も良くなってきていたもの。サウンドボルケーノは、昇級緒戦で前走とは違った揉まれる競馬となったのも影響か。でも、逆に渋い内容は得るものがあったはず。アルゴリズムは、未勝利を勝った後に人気に答えられなかったものが、今回は力を発揮したもの。
日曜阪神9R
すみれS
芝2200m
勝ちタイム2.15.0
勝ち馬:ロッカヴェラーノ(牡3、栗東・中村厩舎)
1コーナーを回ったあたりから先手を主張したロッカヴェラーノが、結局はそのまま影をも踏ませずにひとり旅を展開。うまく平均ペースに落としてまんまと逃げ切った。最後方追走となったヴィクトリースターは、直線で外へ出して追い出すも、伸びる気配を見せず7着敗退。相も変わらず、前へいける馬が優位な戦いぶりである。
ゲートが開いて、ジワッとグレープブランデーが、内をチラッと見ながら前へと出る。最内からダノンフェニクスが前へと出てくる。ロッカヴェラーノが3番手。ヴィクトリースターは一番後ろの内目。
こんな感じで、最初の1ハロンを過ぎて行く。前が遅いと見たのか、最初のカーヴを回るあたりで、ロッカヴェラーノがグレープブランデーをかわして前へと出る。次の2コーナーを過ぎたあたりでは、今度は2番手にマイネルギブソンがやや掛かり気味で上がってきて、グレープブランデーとの間に入る。前半1000メートルを通過が1.01.7。最後方のヴィクトリースターまでは10馬身以上はありそうだ。
3コーナーのカーヴにかかる時で少し馬群は狭まって来たが、それでもヴィクトリースターは7馬身ぐらいのドンジリ。4コーナー手前では、3番手のグレープブランデーの鞍上が追いどおしである。
カーヴを回る時に、ヴィクトリースターが外から追い上げて来て、9頭の真ん中ぐらいまで来た。追い出しにかかったロッカヴェラーノは、まだ1馬身の差をつけてラスト300を過ぎる。
大きな飛びで、グレープブランデーが外から2番手に上がって来た。外に顔を覗かせ気味と思えたヴィクトリースターだが、思う様に伸びない。むしろそのの内から、インナージョイが伸びだす。もう先頭のロッカヴェラーノは止まらない。
2着グレープブランデーにクビ差インナージョイが迫り、内でダノンフェニックスも差なく伸びていた。
ロッカヴェラーノは、去年の暮れの小倉でデビュー勝ち。2歳戦のレコードで勝ち上がった。その後、府中戦では出が悪く後方のレースながら、いい脚は使っていた様子。展開もさる事ながら、鞍上の積極策も見逃せないだろうし、馬自身も力を持っていそうだ。
これで東上切符は手にしただろうが、次なる一戦でどんな走りを見せるのか、興味津々。まだまだ混沌とした3歳牡馬路線を象徴する様な一戦だった。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
3歳新馬
ダ1200m
勝ちタイム1.14.4
勝ち馬:サトノティアラ(牝3、栗東・長浜厩舎)
直線で手綱を絞るだけで、追う動作に入らなかった藤田Jのサトノティアラ。それでも1馬身以上の差をつけて、2着の最内ウォーターリッパーの追撃を退けた。勝ち時計の遅さは、最後の1ハロンが13.7もかかっていただけに仕方なし。新馬戦であるだけにこんなものかも。
好発を切ったのが、一番内のウォーターリッパーで体半分前に出る。少し行く間にジンライムシュガーが前へと出て行く。2ハロンの少し手前あたりでは、前が6頭ぐらいが固まっている。タツフラッシュにサトノティアラも前へと並んできている。3ハロン手前あたりでは、先行集団のアサケマックスが下がり気味となっていった。4コーナーのカーヴでは、3頭の真ん中のタツフラッシュが一番前に出かかるが、外のサトノティアラがいい手応えで先頭に立つ勢いである。
タツフラッシュの内から、ウォーターリッパーがラチ沿いを伸びてくる。外ではトーアシシイも伸びて来ている。先頭に踊り出たサトノティアラ。ハミをかけ直しているのか、手綱を操作している。藤田Jの左ステッキが飛んで伸びていく。内からウォーターリッパーが伸びて来ているが、先頭までは出てこない。人気のアルモドヴァールは、中団から鞍上のリスポリJの懸命の右ムチにもさほどの反応がなく、伸び具合が平凡であった。
前半3ハロンが36.2とユッタリな流れ。それでも、ジンライムシュガーは4コーナーで止まり出した。前半の入りもそんなに速くないのに、上がりも38.2とかかる流れでもある。前々でレースをして直線もそれなりに伸びたサトノティアラは、持ち味を出して勝利したという表現をしていいだろう。まずは、ダートの新馬戦らしい結末であった。
土曜阪神6R
3歳新馬
芝2000m
勝ちタイム2.04.3
勝ち馬:パッションダンス(牡3、栗東・友道厩舎)
道中は3番手を進んだパッションダンス。直線入り口では、やや先頭に立ち気味。最後は後続をシャットアウトした格好だ。リスポリJは、左ステッキから右ステッキに持ち替えての追い出しで、最後はチラッと後続を確認する程の仕草。あれを見ると、着差以上の楽勝であったと思えるもの。またまたディープインパクトの子供が勝ち名乗りを挙げた。
レースが大きく動いたのが、3コーナー手前。2コーナーをブービーで通過したラシアンウッズが向こう正面で少し順位を上げたが、ペースが速くならないと見たのか、松岡Jが押して外から前へと出て行く。3コーナーでは一番前を走っていたニホンピロフィードのさらに前に出て、2馬身差をつける。1000メートル通過が1.04.5と遅い時の仕掛けだけに、タイミングよく行けた。
3コーナーから4コーナーの中間では、2番手がハイデルベーレがニホンピロフィードをかわして上がり気味となる。もうこの2頭は押している。そのすぐ横をパッションダンスがスーッと上がっていく。
4コーナーのカーヴにさしかかる時には、もう先頭が外のパッションダンスか。しかし、内でラシアンウッズもステッキが飛んで、最後の粘りを見せている。リスポリJの左ステッキがかなり入っている。そして馬も内ラチ沿いへと切れ込んで行く。
今度は右ステッキに持ち替えたリスポリJ。一旦は2番手にストリートマジックが上がったが、その横をコマノアクラとマーベラスバロンが並んでかわして前を追いかけて行く。しかし、先頭はパッションダンスがキープ。アドマイヤカヤージが、5着に猛然と突っ込んできていた。
終始前でレースを進めていたパッションダンス。3コーナーからの動きにも十分対応して前へと出て行った。4コーナー先頭と、少し早いぐらいの仕掛けとなったが、最後は2馬身近い差であった。しかも、ゴール少し前では後ろをチラッと見るだけの余裕さえもあった。3コーナーから速くなった流れに、後続馬がついて行けなかった差がゴールで出ていたと言えよう。
マーベラスバロンなどは、かなり長い間追っていたものである。早めの機動力を生かしたリスポリJの勝利であろう。
土曜阪神7R
3歳500万下
芝1200m
勝ちタイム1.09.7
勝ち馬:アポロフィオリーナ(牝3、美浦・岩戸厩舎)
好発から2番手をじっとしていたアポロフィオリーナ。直線に入ってラスト1ハロンから追い出したが、スッと後続に差をつける。ステッキを1発入れただけの楽勝で、最後は流し気味。短いところはなかなかに良さそうな馬である。この後は栗東に滞在して、7日目のファルコンSを狙うとの岩戸師のコメント。もう一度おつきあいする予定だ。
ゲートオープンで、ポンと半馬身ぐらい出ていたアポロフィオリーナだが、内からエヴァンブルーが先手を主張したので当然に2番手。外にエランドールと続く。2ハロンを行かないうちに流れが落ち着いてしまい、5番手ぐらいの内目に位置していたトツゼンノハピネスがやや頭を上げてつかえ気味となっている。レースの真ん中の3ハロンを通過するあたりでは、先頭のエヴァンブルーに半馬身差でアポロフィオリーナが続き、その半馬身後ろに2頭が併走、その直後に1番人気のトツゼンノハピネスらがいる。35.0とかなりな遅い流れである。
4コーナーのカーヴを回る時には、先頭にアポロフィオリーナが並びかける。ラスト300メートルのオレンジ棒を過ぎて、アポロフィオリーナが一番前へと出る。3番手のインにいたエーティーガンダムが開いたスペースに入ってくる。隣りのトツゼンノハピネスよりも動きが速い。先頭に立ったアポロフィオリーナは、鞍上の武豊Jがステッキを一発入れて、さらに前進を促す。2番手も完全にエーティーガンダムが上がる。外からジョーアラマートが伸びて来ている。
トツゼンノハピネスも顔を出すが、伸びが鋭くない、むしろ、その内からマスターグレイマンの伸びがいい。
パトロールビデオで見る。アポロフィオリーナは、3コーナーのコーナーリングがあまり上手くない。むしろ外へと膨れ気味な感じだ。4コーナーではそんな感じもさほど見られなかったが・・。
ゴールへ少しのところでもまた手前を替えていた様に、まだまだ幼さが出ている馬だ。前半35.0のユッタリした流れに乗って、終い34.7をほとんど楽な手応えで駆け抜けた。まだ伸び代はありそうな馬である。
日曜阪神5R
3歳新馬・牝
芝1800m
勝ちタイム1.48.0
勝ち馬:ハブルバブル(牝3、栗東・池江寿厩舎)
2着馬につけた差が5馬身、それも最後はステッキを使わずで、リスポリJの癖なのか後ろをチラ見してのフィニッシュ。ここもディープインパクト産駒の勝利となった。最後の2ハロンめが10.9をマークする様に、かなり切れる印象の馬である。これは楽しみだ。
好発馬をしたのはルースデラルナ。スッと出て行くが、隣りのソングソングソングも馬体を並べて出て行く。そこへペルレンケッテとシシリアンブリーズが押して出てきた。1ハロンを過ぎたあたりでは、前に3頭が並び加減となる。2ハロン過ぎてやっとシシリアンブリーズが外から先頭となる。1馬身後ろに2頭が併走。その後ろに内パイクスピークとソングソングソングが並び、その直後にハブルバブルが6番手での位置取りとなる。
前半の800を過ぎて、シシリアンブリーズは2番手ルースデラルナに2馬身差をつけて先行。十分に脚を貯めての先行となっている。後続がドッと詰め寄って来ている4コーナーのカーヴ手前。ハブルバブルが前にだいぶ差なく来ていて、先頭から2馬身差ぐらいの外めである。カーヴを回ったあたりにある、ラスト600メートルのハロン棒では、もう2番手ペルレンケッテの外めにハブルバブルが並んで来ている。
生垣の切れ目あたりでは、ハブルバブルのリスボリJが、持ったままで内をチラ見している。先頭に踊り出ようかの勢いとなっている。
残り300を合図に追い出された。短い間にステッキを一度、二度と入れた。後でこのハロンを通過が10.9と判る。抜け出て後ろを確認して、最後はもう流し気味でのゴール。2着シシリアンブリーズに5馬身差の楽勝であった。
逃げたシシリアンブリーズが造った前半1000メートル通過ののペースは、1.00.8とまず理想的なもの。十分に息を入れての先行であったはず。何せ、勝ち馬の瞬発力が上回り過ぎたものである。3着のペルレンケッテに1馬身以上の差をつけての2着だけに、相手が悪かったとしか言い様のない一戦か。
惜しかったのが、4着パイクスピーク。生垣の切れめあたりで、内へもたれ気味な様子。その後もシシリアンブリーズの内に入りそうになり、下げて後ろを見てからの追い出し。かなり離された瞬間もあったのに伸びてきて、ルースデラルナをかわしての4着であった。
ハブルバブルは、ケイコではまだそんなに際立ったタイムを出す感じではない。それでいて、芝でのこの切れ味である。またまたディープインパクトの子供に面白い馬が出た様子。桜花賞の穴馬に十分なりそうな馬の出現であろう・・か。
日曜阪神6R
3歳500万下
ダ1400m
勝ちタイム1.25.9
勝ち馬:キモンレッド(牝3、栗東・村山厩舎)
これ程に激しい直線の攻防になると思えなかった道中の流れ。直線では一転、二転と入れ替わるような結末となった。地方から転入してきたキモンレッドが、前走2着からの今回勝ち上がり。意外に混戦となったこのレースであったが、まだまだ答えが出にくい若駒たちであり、戦いぶりでは常に乱戦になりかねないと言える事かも知れない。
ゲートで、ギンザアキレスがダッシュがついていない。内でもスナイプビッドの出が芳しくない。芝からダートに替わったあたりで、スマートオーシャンが先頭となる。かなり押して行っての先手だ。それを追う様に、サミットストーンが行く。外からショウナンタスクも差なく続いている。人気のサウンドボルケーノは、そこから2、3馬身後ろだ。3ハロンを35.5とまずまずの流れ。中団にギンザアキレスが上がって来ているのが見える。前にだいぶ後続も追いついたのか、前が息を入れているのか、かなり差がなくなってきたラスト600メートル手前。サウンドボルケーノの隣りに、アルゴリズムも並んできた。4コーナーのカーヴとさしかかる。
外にギンザアキレスも連れての4頭が並んで、先頭で直線へと入ってきた。ラスト1ハロンで馬群がバラける隙に、真ん中をキモンレッドが入ってくる。一番外めをアルゴリズムがギンザアキレスをかわして出てくる。サウンドボルケーノは一番真ん中に入った。キモンレッドが抜けて、外アルゴリズムが迫ったが2着。ギンザアキレスとサミットストーンの間を、サウンドボルケーノが抜いて3着。ギンザアキレス4着だった。
特異な流れとなっている。前半の2ハロンめは11.1。ここはダッシュがつくところだから当然。その後の4ハロンめが13.0で、ここは先行した2頭が折り合ってペースダウンしたものだろう。4コーナーを回って直ぐの最後の2ハロンめが11.9で、最後1ハロンが13.0である。これ程に数字の変動が大きいレースはあまりない。
ゴールへと向けて綺麗にスピードアップして行くものだが、今回はちょっと荒い競馬になった証拠かも知れない。降着もあり、ちょっと思惑とも違ったレースとなった感じだ。キモンレッドは、前走がノーザンリバーの2着と徐々に内容も良くなってきていたもの。サウンドボルケーノは、昇級緒戦で前走とは違った揉まれる競馬となったのも影響か。でも、逆に渋い内容は得るものがあったはず。アルゴリズムは、未勝利を勝った後に人気に答えられなかったものが、今回は力を発揮したもの。
日曜阪神9R
すみれS
芝2200m
勝ちタイム2.15.0
勝ち馬:ロッカヴェラーノ(牡3、栗東・中村厩舎)
1コーナーを回ったあたりから先手を主張したロッカヴェラーノが、結局はそのまま影をも踏ませずにひとり旅を展開。うまく平均ペースに落としてまんまと逃げ切った。最後方追走となったヴィクトリースターは、直線で外へ出して追い出すも、伸びる気配を見せず7着敗退。相も変わらず、前へいける馬が優位な戦いぶりである。
ゲートが開いて、ジワッとグレープブランデーが、内をチラッと見ながら前へと出る。最内からダノンフェニクスが前へと出てくる。ロッカヴェラーノが3番手。ヴィクトリースターは一番後ろの内目。
こんな感じで、最初の1ハロンを過ぎて行く。前が遅いと見たのか、最初のカーヴを回るあたりで、ロッカヴェラーノがグレープブランデーをかわして前へと出る。次の2コーナーを過ぎたあたりでは、今度は2番手にマイネルギブソンがやや掛かり気味で上がってきて、グレープブランデーとの間に入る。前半1000メートルを通過が1.01.7。最後方のヴィクトリースターまでは10馬身以上はありそうだ。
3コーナーのカーヴにかかる時で少し馬群は狭まって来たが、それでもヴィクトリースターは7馬身ぐらいのドンジリ。4コーナー手前では、3番手のグレープブランデーの鞍上が追いどおしである。
カーヴを回る時に、ヴィクトリースターが外から追い上げて来て、9頭の真ん中ぐらいまで来た。追い出しにかかったロッカヴェラーノは、まだ1馬身の差をつけてラスト300を過ぎる。
大きな飛びで、グレープブランデーが外から2番手に上がって来た。外に顔を覗かせ気味と思えたヴィクトリースターだが、思う様に伸びない。むしろそのの内から、インナージョイが伸びだす。もう先頭のロッカヴェラーノは止まらない。
2着グレープブランデーにクビ差インナージョイが迫り、内でダノンフェニックスも差なく伸びていた。
ロッカヴェラーノは、去年の暮れの小倉でデビュー勝ち。2歳戦のレコードで勝ち上がった。その後、府中戦では出が悪く後方のレースながら、いい脚は使っていた様子。展開もさる事ながら、鞍上の積極策も見逃せないだろうし、馬自身も力を持っていそうだ。
これで東上切符は手にしただろうが、次なる一戦でどんな走りを見せるのか、興味津々。まだまだ混沌とした3歳牡馬路線を象徴する様な一戦だった。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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