研究員ヤマノの重賞回顧

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日曜の京都競馬場では第32回エリザベス女王杯が行われ、ダイワスカーレット(牝3、栗東・松田国英厩舎)が秋華賞に続きG1を連勝した。
今年は「ダイワの、ダイワによる、ダイワのための」エリザベス女王杯であった。
逃げると思われていたアサヒライジングが痛恨の出遅れ。
これでダイワスカーレットは楽なペースで逃げ、5F通過が60秒6のスローペースと絶好の流れに。
直線に入り、上がりを34秒1でまとめられたら他馬はなす術がない。
「ウオッカが出走していたら」とタラレバはあるが、例え出走したとして果たしてダイワを差せたであろうか?
他の差し馬同様、動くに動けず秋華賞の二の舞に陥ったかもしれない。
ダイワのペースを乱す存在が出てこない限り、来年もダイワの天下は続くかもしれない。

土曜は各場で重賞が行われた。
京都では第9回京都ハイジャンプが行われ、単勝断然人気(1.3倍)のコウエイトライを破り、2番人気に支持されたテイエムドラゴン(牡5、栗東・小島貞博厩舎)が約1年7ヶ 月ぶりに勝利を手中にした。
馬体重はプラス46キロだったが、前走時に20キロほど減っていたことを考えると、実質20キロ増は成長分だろう。
レースでは1周目のスタンド前でコウエイに並びかけ、しばらく併走。
バンケットで前に出て、そのまま押し切った。
重賞を連勝していたコウエイトライを振り切るのだからやはり能力は半端ではない。
さすが2年前の最優秀障害馬馬だ。
次走は12月22日の中山大障害に出走予定。
主役の1頭、といえるだろう。

福島では第43回福島記念が行われ、5番人気の3歳牝馬アルコセニョーラ(牝3、美浦・畠山重則厩舎)が直線内から抜け出して快勝。
前半5F通過が59秒6の平均ペース で流れるなか、後方待機から抜け出してきた脚は見事であった。
結果を見るとハンデ51キロは恵まれた感もあるが、歴戦の古馬を一蹴するのだから力をつけているのは確 か。
次走予定の中日新聞杯でも引き続き注目したい。

最後に東京で行われた第43回京王杯2歳Sについて触れたい。
勝ち馬のアポロドルチェ(牡2、美浦・堀井雅広厩舎)は、ややテンションが上がっていたのか出負けしてしまった。
馬群から取り残され最後方からの競馬となるも、直線に入ると馬場の大外に持ち出し一気の差し切り勝ち。
上がり34秒9はメンバー中1番のモノでとにかく末は切れる馬だ。
まだまだ伸びしろが期待できる馬だけに次走出走予定の朝日杯FSが非常に楽しみである。

ちなみにこのアポロドルチェの勝利で鞍上の後藤浩輝騎手は通算1000勝を達成。
ここ数週間で勝ち星を量産し、現在関東リーディングトップとなった。
レースでの位置取りもソツがなく、勝ち負けに絡める場所にいてくれるのは馬券を買っている立場からすると非常に心強い。
乗れているジョッキーを中心に馬券戦略を組み立てるのも一つ手であろう。