-天皇賞・春-平林雅芳の目

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トピックス


日曜京都11R
天皇賞・春(GⅠ)
芝外3200m
勝ちタイム3.20.6
勝ち馬
ヒルノダムール(牡4、栗東・昆厩舎)

※ヒルノダムール。ついにGⅠまで到達!!

時々ボソボソと降ったりしていた雨も昼過ぎから上がった。しかし馬場コンディションは見た目以上に悪そうだ。芝のレースの決着が、少し上がり時計がかかってきた。《どっちつかずの馬場コンディションだな、果たして有力馬は動ける馬場状態なのか?》と、思っていたレース前だったが、馬場よりも長丁場のわりには入れ替わりの激しい流れとなってしまった。
そんな流れの中を、好枠を生かしジッと道中我慢させていたヒルノダムール。4コーナーでは最内から直線で中へ一旦進路を取りかけたが、再び内めへと戻してマイネルキッツの横をスリ抜けてきた。ちょうど外から上がってきたエイシンフラッシュと並び、2頭の追い合い。手綱だけをグイグイと押す藤田Jのヒルノダムール。左ステッキで最後のひと伸びをうながす内田Jのエイシンフラッシュ。ゴール板を先に駆け抜けた藤田Jが、スタンドへ向かって左手と雄叫びをあげた。1番人気のトゥザグローリーは終始掛かりっぱなしだった様子で、最後の直線ではもう勢いがなかった…。

向こう正面からのゲート。スタートでナムラクレセントが半馬身ぐらい皆より遅いぐらいで、まずまず互角なスタート。最初のカーヴの3コーナーへと坂を上って行くのだが、ゲシュタルトが中から出て行った。一番内のビートブラックも前へと出る。そしてヒルノダムール、ローズキングダムと続く。そこをペルーサが3番手に上がって来て坂を下って行く。大体ポジションは決まったかと思えた最初の4コーナーまでの間だったが、カーヴを回って直線に入って来たあたりから動きが出てくる。
外回りと内回りのポカッと開いた空間を過ぎたあたりで、外からコスモヘレノスがゲシュタルトをかわして一番前へと出る。

スタンド前を通って1コーナーにかかるあたりで、今度はトゥザグローリーが先頭へと出て来た。内をチラっと見た四位Jが、そのまま前へ出て1コーナー、2コーナーと回って行く。3番手にマイネルキッツが上がって来て向こう正面に入る。やっと流れも落ち着いたかと思えた瞬間に、後ろから一気にナムラクレセントが加速して来て、トゥザグローリーをかわして先頭に立つ。その動きにつられる様に、ローズキングダムも少し前へと上がって来た。
向こう正面も半ばを過ぎたあたりで、マイネルキッツが完全に2番手に上がりトゥザグローリーの前に出る。そして二度目の坂を下って行く。

少しペースは上がった様子だ。ここらで後ろにいたはずのフォゲッタブルが5番手ぐらいに上がって来た。前にはコスモヘレノスの外にローズキングダムが並んで3番手だ。その直後には、内ラチ沿いにトゥザグローリー。さらに後ろにヒルノダムールがいた。そして最後のカーヴを回って直線に入って来た。
ナムラクレセント先頭。すぐ後ろをマイネルキッツが追う。トゥザグローリーがその後ろ。その外ではローズキングダムも武豊Jが押しているが、前へと出る気配がない。
残り300のオレンジ棒に差しかかるあたりで、トゥザグローリーの内からヒルノダムールが出て来た。
前のマイネルキッツの横に並ぶ。残り200を過ぎてまだ先頭はナムラクレセント。そのまま押し切るのかと思えたが、ヒルノダムールと外からエイシンフラッシュの2頭の勢いがいい。最後までエイシンフラッシュを抜かせなかったヒルノダムールが、ついにGⅠまで辿りついた。

パトロールビデオを何度も見る。流れは終始前の馬がゆったり行っているのだが、位置が入れ替わり過ぎる。そして壁がなく掛かりっぱなしの馬が多い。そんな中で、ヒルノダムールはまったく掛かるところを見せずに、終始馬込みの中でそれも内ラチ沿いで折り合っている。エイシンフラッシュは外々を通らざるを得ない枠順。そしてやや道中でリキむところを見せてもいた。
ペースが上がった坂の下りでは中団だったエイシンフラッシュだが、4コーナーのカーヴではフォゲッタブルの内めから前へと出て来て、ペルーサの横の外めに並びかけて、一気に前へと出て来たもの。しかしヒルノダムールが一歩先んじていた。

ゴール前で内めからマカニビスティーがラチ沿いをなかなかにいい脚。トウカイトリックも最後に脚を伸ばして来た。先頭の馬が4回ぐらい入れ替わる流れで終始折り合って進めていたヒルノダムール。やはり内々で脚を貯めていたのも大きい。
2戦前の京都記念では前々のレースをしたが、いつものヒルノダムールらしさがなかった。本来の戦法に戻した前走の大阪杯のしぶとい勝ち方、そして今回の天皇賞。やっとあの3歳の春の強いヒルノダムールに戻ってきた感じがする。
そう言えば最近は舌を出して走っているシーンを見てない。全てで大人になってきたのだろう。
エイシンフラッシュも、ダービー馬としての威厳が戻ってきた様子だ。一番の脚を使っているのだが、その前にもう1頭いたといった感じか。
トゥザグローリーは距離に泣いたのだろうか。そしてローズキングダムも出来が良すぎて前々での競馬になってしまった様子。ここらが難しい長丁場のレースであろう。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。