-プロキオンS-平林雅芳の目

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日曜京都11R
プロキオンS(GⅢ)
ダ1400m
勝ちタイム1.22.1
勝ち馬
シルクフォーチュン(牡5、父ゴールドアリュール・栗東・藤沢則厩舎)

※※1頭だけ違う脚色。シルクフォーチュンが突き抜けた!

オープンに入っての初勝利が重賞制覇となったシルクフォーチュン。凄い切れ味を持っている馬ではあるが、差し馬の宿命で常に大外を差してきては届かずであった。それが今回は4コーナーで最後方だが持ったままの手応え、馬群のど真ん中を、それこそ行くところが開いていく感じで、何の抵抗もなくドンドンと前へと出て行き、最後は内の2頭をかわし去り、アッサリと重賞初制覇を果たした。
それにしても凄い切れのシルクフォーチュン。暑い淀の空気を一陣の風のごとく通り去った感じであった…。

別にケイアイガーベラの逃げがオーバーペースだったとは思えない。誰にも絡まれずに逃げて、直線半ばまでは勝利を確信する様な勢いであった。確かに昨年のプロキオンSよりは、1000メートルで1秒の違いがある入りではある。しかし気分よく逃げていたし、後続のアーリーロブストトーホウオルビスが、4コーナーではもう手応えも悪くなって馬群に吸収されだしたし、その周りの馬も手応えに余裕のある馬は見当たらず。
カーヴを回って直線に入って来たあたりで、ナムラタイタンダノンカモンの2頭が2番手に上がって来たが、まだその時でもケイアイガーベラの手応えはまったく問題はなかった。

残り1ハロンを迎えるあたりでも、後ろとは3,4馬身あったはず。2番手にダノンカモンが上がって前を追いかけて来たが、そのダノンカモンの脚色もそれほど素晴らしい訳ではなかった。やや内へもたれながらも前との差を詰めて行くダノンカモン。
1ハロンを過ぎて少ししたあたりで、急にケイアイガーベラの勢いが止まり出したのと、ダノンカモンの後ろからシルクフォーチュンが急接近しだしたのが同じタイミングな感じだった。
ダノンカモンが前を捕える前に、シルクフォーチュンが一番前へと出てゴールを目指す。
藤岡康Jの右ステッキが唸る。1馬身、2馬身と前へ出てのフィニッシュ。その時にダノンカモンがケイアイガーベラをかわして2番手となっての決着となった。

1000メートル57.5、1200が109.5と、ケイアイガーベラの通過タイムである。最後の2ハロンが12.0~12.6となったが、ダノンカモンとシルクフォーチュンを褒めるべき内容だったと思える。
レースを終えてしばらくしてから和田Jに出会ったので話をすると、《前の馬の方に寄って行ってしまって・・。あれがなければ突き抜けていたと思いますよ~》であった。
確かにパトロール・ビデオでは、残り1ハロンぐらいからダノンカモンがケイアイガーベラの方へと寄って行く映像が見れた。
そしてシルクフォーチュンが4コーナーを回って来る時に、持ったままで後方から前へ取り付き、外へ出さずに真っ直ぐと馬群の中を抜けて来る映像も見た。

専門紙を読み返すと厩舎サイドの談話に、《今までのように外を回っては届かないので、馬込みをさばいてくるレースを考えている》とあった。
まさにその通りのレースぶりであり、その結果が重賞初制覇へと導かれたものだった。
オープンで戦う事、6戦目での勝利が重賞となったシルクフォーチュンだが、これでこれからの戦法に幅が出たのは間違いない。ダートの短距離路線に強烈な差しタイプの馬が登場した。今後、大いに賑わしてくれる事であろう。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。