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【アルゼンチン共和国杯】トップハンデは買い? 消し?
2017/10/29(日)
1963年に「アルゼンチンジョッキークラブカップ」の名称で創設。第1回は5月に芝2300mの別定戦で行われた。その後、距離や開催場が何度か変わり、1975年に現在の名称となり、1984年より現在の条件である芝2500mのハンデキャップ競走として施行されている。08年にはスクリーンヒーローがジャパンCを、15年はゴールドアクターが次走で有馬記念を勝つなど、秋終盤の王道路線にも関連性が高い。現在3つあるG2のハンデ戦のひとつをデータで紐解きたい。
好走ローテは様々
[前走レース]好走馬のローテーションは様々で、オールカマー、オクトーバーS、アイルランドT組がそれぞれ2勝。特にオクトーバーS組のアベレージが高い。長丁場のレースで一見すると繋がりが深そうな京都大賞典組は32頭が出走して2着2回、3着1回と思いのほか苦戦。2600mの丹頂S組は14頭が出走して1頭も馬券絡みがない。
過去10年注目データ
[前走着順]前走から連勝を果たした馬は3頭。前走6着以下からの巻き返しも要注意で、1~3着馬がそれぞれ3頭出ている。共通するのは前走のグレードがいずれもG2以上。G3以下で掲示板を外した馬は厳しい。戦ってきたレースレベルには注意を払いたい。
[枠順]スタミナを要求される舞台で、外々を回らされる率が高い8枠がやや不利。また、1枠もアベレージは落ちる。概ねフラットだが6枠が3勝していて連対率は最も高い。
馬番別では馬券絡みがないのが「17」のみ。連対がないのが「1」「10」「13」「18」で馬番はあまり気にしなくてもいい。
[脚質]ポジション的には前めで立ち回った馬が優勢で、過去10年のうち7頭が4角5番手以内。09年にはミヤビランベリが逃げ切り、番手に付けたアーネストリーが2着に入り、いわゆる「行った行った」の年もある。2~3着は後方待機馬も台頭。ただし、4角10番手以下からの差し切り勝ちは出ていない。
1番人気よりも2~3番人気が優勢
1番人気は過去10年で2勝と不振。勝ち馬の8頭が3番人気以内で占めているが、3着馬は5頭が6着以下とハンデ戦らしい混戦となっている。6番人気以下で馬券絡みを果たした8頭は『重賞勝ちの実績がある』『前走で勝っている』『前走でオープン連対』のいずれに該当している。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 2-1-1-6 | 20.0% | 30.0% | 40.0% |
2番人気 | 4-2-0-4 | 40.0% | 60.0% | 60.0% |
3番人気 | 2-1-4-3 | 20.0% | 30.0% | 70.0% |
4番人気 | 0-5-0-5 | 0.0% | 50.0% | 50.0% |
5番人気 | 0-0-0-10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
6~9番人気 | 1-0-4-35 | 2.5% | 2.5% | 12.5% |
10番人気~ | 1-1-1-79 | 1.2% | 2.4% | 3.7% |
関西馬がやや優勢
過去10年の東西の出走頭数は関東馬が少し多いのだが、結果は関西が6勝、2着7回とリード。関東馬は6年連続で馬券絡みは果たしているものの、人気サイドが多く、馬券的な旨味は薄い。
騎手別では美浦所属のジョッキーが地元の利を生かしていて、8勝、2着9回、3着6回と圧倒。3回の騎乗で2勝している吉田隼騎手や同じく3回の騎乗で1勝、2着1回の戸崎騎手、勝鞍こそないが、6回の騎乗で2着1回、3着2回をマークしている内田博騎手の相性の良さが目を引く。
[キャリア]過去10年、勝ち馬の8頭がキャリア20戦以下のフレッシュな馬。とりわけ注目なのがキャリア10戦以下の馬で、7頭が出走して3勝、2着1回、3着2回と、6頭が馬券絡みを果たしている。
[乗り替わり]前走からジョッキーが乗り替わった馬が6勝、2着7回、3着6回。数の上では前走同騎手を上回っているが、アベレージで見ると前走同騎手の方が高い。外国人ジョッキーへの乗り替わりも大きなプラスとはなっておらず、乗り替わりでも以前騎乗経験があったパターンも多く、乗り替わりはややマイナスと見ていい。
[ハンデ]トップハンデの馬は(3-2-2-11)。11年には58.5キロのオウケンブルースリが2着。トップハンデは不利となるレースも多々あるが、ジャパンC、有馬記念を睨んだ馬が登場するこのレースではマズマズの数字を残している。
[当該コースの騎手成績]東京の芝2500mは、同じG2のハンデ戦となる目黒記念とこのアルゼンチン共和国杯の2鞍しか組まれていない特殊条件。2012年以降、好相性といえるのが(2-2-0-7)の蛯名騎手。福永騎手は5回の騎乗で2勝。戸崎騎手は異なる7頭で(1-2-2-2)の好成績を残している。
[馬体重]馬体重は幅広いレンジから出ているのだが、勝ち馬に限ると480~499キロの馬が7勝。ここに該当したのが53頭と数も多かったのだが、それを踏まえても優秀な数字が残っている。増減を見るとプラス体重で出走してきた馬が7勝。勝鞍はないが、10キロ以上増えた馬も3頭が馬券に絡んでいる。
[種牡馬]好走馬の父を見ると、複数の勝ち馬を出している種牡馬はハーツクライとゼンノロブロイが2勝ずつ。複数の馬券絡みを出しているのはジャングルポケットとグラスワンダーで、ゼンノロブロイ産駒のルルーシュが2度馬券に絡んだ以外は、いずれも異なる馬を上位に送り込んでいる。
ディープインパクト産駒は6頭が出走して2度の4着が最高。ステイゴールド産駒は11頭が出走して馬券圏内は10年2着のジャミール1頭という不振となっている。
過去10年で8勝を挙げている4歳馬が何と登録ゼロ。3歳馬の存在も気になるが、ここは後の大舞台を睨んだ6歳のアルバート(牡6、美浦・堀厩舎)をプッシュしたい。昨年のこのレースの2着馬で、本格化以降、東京コースでは崩れていない。恐らくトップハンデになりそうだが、トップハンデの馬が上々の成績を挙げているレースでもある。1番人気になるとどうかだが、3歳馬が人気を持って行ってくれると尚更楽しみが増える。