毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【有馬記念】キーポイントはコース巧者と新鮮さ
2017/12/18(月)
1956年にファン投票で出走馬を選出する中山グランプリの名で創設。翌年、創設に携わった当時の日本中央競馬会・有馬頼寧理事長が急逝し、その功績を称えて第2回から『有馬記念』に改称。以降、数々の名勝負が生まれ、現在では競馬を知らない人でもその名前は知っているという暮れの風物詩にもなっている。昨年の覇者・サトノダイヤモンド、ダービー馬・レイデオロの名前がないのは寂しいが、ここでラストランを迎えるキタサンブラックにジャパンCの覇者・シュヴァルグラン、アルゼンチン共和国杯を快勝したスワーヴリチャードら楽しみなメンバーが顔を揃えた。ファンの夢を乗せて走る有馬記念をデータで検証したい。
ファン投票1位は苦戦!?
[ファン投票1位馬]
07年 ウオッカ 牝3 11着
08年 ウオッカ 牝4 不出走
09年 ウオッカ 牝5 不出走
10年 ブエナビスタ 牝4 2着
11年 ブエナビスタ 牝5 7着
12年 オルフェーヴル 牡4 不出走
13年 オルフェーヴル 牡5 1着
14年 ゴールドシップ 牡5 3着
15年 ゴールドシップ 牡6 8着
16年 キタサンブラック 牡4 2着
17年 キタサンブラック 牡5 ?
ファン投票1位の馬は過去10年7頭が出走して1勝、2着2回、3着1回。昨年はキタサンブラックがあと一歩のところで2着に敗れた。
過去10年、ファン投票1位で2年連続出走した馬はブエナビスタ、ゴールドシップの2頭でどちらも2年目に着順を落としている。ラストランを迎えるキタサンブラックはそのジンクスを破ることが出来るか注目される。
ひと息入れた馬が好走!
[前走レース]好走馬のローテーションを見ると菊花賞、天皇賞(秋)からひと息入れた馬がそれぞれ3勝。このローテーションで臨んだ馬は意外と少なく、アベレージも非常に高く出ている。国内の王道といえるジャパンCは該当が非常に多いためアベレージは低く出ているのだが、2勝、2~3着がそれぞれ5頭。08年以降、全ての年で馬券に絡んでいる。
今年は該当馬がおらず、余談になるのだが、同じ5回中山開催で直近のG2であるステイヤーズSからは12頭がチャレンジして09年4着のフォゲッタブルが唯一の掲示板。過去30年に遡っても99年3着のテイエムオペラオーが唯一の馬券絡みで、3連覇を果たしたアルバートはある意味で賢明な選択をしたのかもしれない。
過去10年注目データ
[年齢]その年の『顔』を決める一戦とあって、メンバーはハイレベル。好走馬の年齢を見てもそれを表していて、最も多くの勝ち馬を出しているのが3歳馬で4勝、4歳と5歳が3勝ずつで、連対率は年齢を重ねるにつれてダウン。近年は特に世代交代を象徴するレースになっている。
ちなみに5歳馬3勝のうち、2つはオルフェーヴル、ジェンティルドンナの3冠馬のラストラン。6歳以上は不振で、2着1回、3着3回と大きな割引が必要だ。
[前走着順]過去10年、勝ち馬の8頭が前走4着以内で、連勝を果たした馬は4頭。一流馬が揃う一戦で連勝はなかなか難しい。グランプリホースの称号は前走上位入線馬が得ているケースが多いのだが、これが2~3着馬になると前走5着以下の伏兵も度々見られ、前走2ケタ着順からガラリ一変のケースも少なくない。その多くが中山での好走歴を持っており、中途半端な負けを喫した馬より、前走大敗の中山巧者が美味しい存在となっている。
[枠順]枠番別では全ての枠で勝ち馬が出ているのだが、2着馬は8頭が1~4枠の内枠。勝ち馬はフラットだが、全体を通してみるとやや内枠が優位と出ている。
馬番別で馬券絡みがないのは「8」「10」「12」「15」「16」。オールドファンにはオグリキャップのラストランが思い出される馬番だが、02年2着のタップダンスシチー以降、馬券絡みはゼロ。馬番「5」と「16」は過去30年まで遡っても勝ち馬が出ていない。
[脚質]先行馬の活躍が目立つレースで、過去10年、4角先頭で押し切ったのは08年のダイワスカーレット1頭のみだが、2~3着に粘ったのも1頭ずつ。ダイワスカーレットを含めて、勝ち馬の実に8頭が4角5番手以内のポジションから栄光のゴールに飛び込んでいる。
4角10番手以下から差し切ったのは12年のゴールドシップ1頭。この年は1~3着馬が4角10番手以下の後方勢が上位を独占した。基本的には先行馬有利のレースと見ていい。
1番人気の信頼度は高い
1番人気は5勝、2着2回、3着1回と信頼度は高めで、馬券圏外は08年メイショウサムソンと15年ゴールドシップの2頭。2番人気も複勝率50%とマズマズ人気に応えているのだが、3番人気で馬券に絡んだのは昨年のゴールドアクターただ1頭。以前の9年は5頭が掲示板に名を連ねていたのだが、3着の高い壁に阻まれていた。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 5-2-1-2 | 50.0% | 70.0% | 80.0% |
2番人気 | 2-1-2-5 | 20.0% | 30.0% | 50.0% |
3番人気 | 0-0-1-9 | 0.0% | 0.0% | 10.0% |
4番人気 | 1-1-1-7 | 10.0% | 20.0% | 30.0% |
5番人気 | 0-2-0-8 | 0.0% | 20.0% | 20.0% |
6~9番人気 | 2-2-2-34 | 5.0% | 10.0% | 15.0% |
10番人気~ | 0-2-3-58 | 0.0% | 3.2% | 7.9% |
外国人ジョッキーに要注意
過去10年で関西馬が8勝、関東馬が2勝。出走頭数は圧倒的に関西馬が多く、2着馬は全て関西馬となっている。劣勢の関東馬だが、ゴールドアクターが一昨年優勝し、昨年も3着と健闘。今年も数は少ないが宝塚記念を勝ったサトノクラウンを筆頭に4頭がスタンバイ。熱い走りが期待される。
騎手の所属別では関東のジョッキーが過去10年で4勝と意地を見せている。また、外国人ジョッキーの健闘も光る。
[キャリア]キャリア10戦以下の馬券絡みはいずれも3歳馬で、トゥザワールド、トゥザグローリーの兄弟以外は全てクラシックホース。クラシックを勝って連対を外したのは09年の皐月賞馬アンライバルド、10年のダービー馬エイシンフラッシュの2頭。キャリア11戦を超える3歳馬はウオッカ、メイショウサムソンといったダービー馬でも馬券圏外に去っている。
古馬に目を移すと、キャリア豊富な6歳以上が苦戦していることもあって、キャリア21戦を超えるとアベレージがグンとダウンするのだが、好走した顔触れを見るといずれも中山コースで好走実績を持っていた。中山巧者は要注意だ。
[乗り替わり]世代トップクラスが揃う一戦で、お手馬がかち合って乗り替わりも多く発生しているが、過去10年では前走と同じコンビが7勝。ただし、2~3着は5回ずつで、乗り替わったジョッキーも多くが名手ばかり。乗り替わりはあまり気にする必要はないだろう。
[牝馬]過去10年で牝馬は2勝、2着3回。ダイワスカーレット(1勝、2着1回)、ジェンティルドンナ(1勝)、ブエナビスタ(2着2回)といった歴史的名牝で並の牝馬では太刀打ち出来ない。このレースを迎える時点でG1を3勝以上していた。
[当該コースの騎手成績]2012年以降に行われた中山芝2500mで最も多くの勝鞍を挙げているのは戸崎騎手の7勝。蛯名、岩田、吉田隼、内田博騎手が4勝で並び、北村宏、吉田豊、松岡、柴田大、柴山騎手が3勝で並ぶ。トップの戸崎騎手は連対率45.2%、単勝回収率192%のハイアベレージを誇る。
キタサンブラックに騎乗予定の武豊騎手は集計期間内わずか8回の騎乗で2着が2回。グランプリは歴史的名馬のオグリキャップ、ディープインパクトで2勝している。
[馬体重]冬の中山。パワータイプが幅を利かせているイメージは間違ってなく、500キロ以上の3勝。520キロを超える馬も勝ち馬はいないが2着3回、3着4回と馬券に多く絡んでいる。一方で決して出走馬が多くない460キロ以下の馬も1勝、2着2回。馬格についてはあまり神経質にならなくていい。
[種牡馬]まずチェックしておかなければならないのが過去10年で4頭の勝ち馬を送り出しているステイゴールド産駒。昨年は出走馬がおらず、一昨年は1番人気のゴールドシップが8着に敗れたものの、それ以前は4年連続で馬券圏内に産駒を送り込む抜群の相性を誇っている。今年は秋の天皇賞3着のレインボーラインが出走する。
続いてディープインパクト産駒が2勝。馬券絡みはその2勝のみで出走頭数の多さから決してアベレージは良くないのだが、軽快なイメージのためか人気以上に走っている傾向で、15年は2ケタ人気のマリアライトが4着、トーセンレーヴが6着に健闘。昨年も7番人気のミッキークイーンが5着に入った。
キングカメハメハ産駒は勝ち馬は出ていないが、人気薄を度々圏内に送り込んでいる。