毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【ヴィクトリアM】忘れた頃の一発!
2018/5/6(日)
2006年に春の古馬牝馬チャンピオン決定戦として生まれたG1レースで、まだ歴史が浅いながら、勝ち馬にはウオッカ、ブエナビスタ、アパパネといった名牝が名を連ねている。また、リピーターが多いのが特徴で、まだ12回しか施行されていない中、ヴィルシーナ、ストレイトガールが連覇を達成。ホエールキャプチャ、ブエナビスタ、ウオッカが2度連対を果たしている。今年は昨年の3歳牝馬路線で活躍したソウルスターリング、アエロリットらがエントリーして昨年の覇者アドマイヤリードが霞む顔触れ。豪華メンバーとなりそうなヴィクトリアマイルをデータで占いたい。
歩んできた『格』を見逃すな
[前走レース]出走頭数が圧倒的に多いため、アベレージは低めだが、阪神牝馬Sをステップとする馬が4勝、2着3回と多数好走している。まずはこのレースが王道といえるだろう。
阪神牝馬S組には一目置かねばならないが、好走率の高さで重視したいのはハイレベルのレースを戦ってきた馬。大阪杯やドバイ遠征帰りの馬はその地力を遺憾なく発揮していて、距離が2F短い高松宮記念も3年連続馬券絡みを果たしたストレイトガールが3、1着と好走している。
過去10年注目データ
[年齢]圧倒的に若い馬が強いレースで過去10年、4歳馬が6勝、2着7回。出走頭数からも他の世代を圧倒している。昨年はクラシックで活躍した5歳勢が上位3番人気までを独占したが、終わってみれば4歳勢で最も人気だった6番人気のアドマイヤリードが勝利。2着デンコウアンジュ、3着ジュールポレールと3着までを独占した。4歳馬にはとにかく要注意。
[前走着順]前走から連勝を果たした馬は08年のエイジアンウインズ1頭のみで、6着以下から巻き返して勝った馬が実に5頭。2着も5頭いて大敗を喫した馬も軽視は禁物。ちなみに2ケタ着順から巻き返した5頭のうち3頭はG1ホース。残る2頭はともに2走前、京都牝馬S1着の実績を持っていた。
[枠順]枠番別では3枠が4勝、6枠が3勝の好相性。いずれの枠も複数回の馬券絡みがあって、1枠は勝ちこそないが7頭の馬券絡みがある。大きな差はないが4枠と8枠がやや不振か。
馬番別で馬券絡みがないのは「17」のみ。連対馬が出ていない馬番は「1」「3」「15」「17」「18」。「1」は3着が4回あって複勝率は全馬番で最も高い。ほぼ均等に好走馬が出ていて、あまり枠番は気にしなくて良さそうだ。
[脚質]好走馬の脚質はバラエティに富んでいて、逃げ切り勝ちは過去10年で14年のヴィルシーナのみだが、3着も2回あって、15年は最低人気のミナレットが3着に逃げ粘って大波乱を演出した。直線の長い東京コースだが、2~5番手で直線を回った馬を含めても先行勢の活躍が光る。4コーナー10番手以下から馬券圏内に入った馬はのべ9頭いるが、勝ち馬3頭を含む7頭はG1ホース。直線一気は相当な地力がないと難しい。
6番人気以下の伏兵に注目
過去10年、1番人気は3勝、2着3回で信頼度はマズマズだが、2番人気は1勝、3着1回、3番人気は2着1回、3着2回と勝鞍はナシで2~3番人気は不振。むしろ6番人気以下の伏兵の方が圧倒的に馬券になっている。これらの特徴はG1実績を持つ馬と前走、重賞で好走しながら人気を落としている馬が多いこと。走ってきたレースの格には要注目。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 3-3-0-4 | 30.0% | 60.0% | 60.0% |
2番人気 | 1-0-1-8 | 10.0% | 10.0% | 20.0% |
3番人気 | 0-1-2-7 | 0.0% | 10.0% | 30.0% |
4番人気 | 1-0-1-8 | 10.0% | 10.0% | 20.0% |
5番人気 | 2-0-1-7 | 20.0% | 20.0% | 30.0% |
6~9番人気 | 2-2-3-33 | 5.0% | 10.0% | 17.5% |
10番人気~ | 1-4-2-81 | 1.1% | 5.7% | 8.0% |
東のジョッキーがアツイ!
東西の比較では関西馬が8勝、関東馬が2勝。昨年は1着から7着までを関西馬が占めた。出走頭数も多いのだが、勝率、連対率、複勝率いずれも関西馬が優勢の数字が出ている。
ところがジョッキーになると東西の数字が大逆転。連覇を果たしたストレイトガール、ヴィルシーナはともに関西馬ながら鞍上は美浦所属の戸崎、内田博騎手だった。昨年で美浦所属ジョッキーの連勝が7でストップしたが、2着のデンコウアンジュは蛯名騎手で、関西馬に騎乗する美浦のジョッキーは要注意だ。
[キャリア]4歳馬が活躍しているだけあって、好走馬のキャリアは少なめなのだが、もう一つのこのレースの大きな特色であるリピーターの存在で20戦を超えるキャリアの馬も3勝。好走歴のある馬はキャリアを積んでいても注意を払いたい。
[乗り替わり]乗り替わりで勝った馬は3頭。2着は5回ずつで、勝率、連対率、複勝率はほぼ互角。乗り替わった馬は人気サイドの馬もいて、勝負気配が強いとみれば積極的に狙っていける数字だ。
[当該コースの騎手成績]2013年以降、牝馬に騎乗して東京1600m戦を最も多く勝っているのは戸崎騎手の21勝。以下、三浦、横山典騎手が14勝、C.ルメール騎手13勝、北村宏騎手が10勝と続く。田辺騎手は勝鞍こそ6勝にとどまるが、2着9回、3着19回と馬券絡みが多く、単複ともに回収率が100%を超えている。C.ルメール騎手とリーディングを争うM.デムーロ騎手は31回の騎乗で3勝止まり。この舞台設定はやや苦手にしている。
[馬体重]昨年は422キロのアドマイヤリードが勝って、これが勝ち馬の最少体重。最高体重は09年ウオッカの494キロ。過去10年で500キロを超える馬は勝っていないが、決して多くない出走馬の中から好走馬が出ていて、馬格は気にしなくていいだろう。
[種牡馬]このレースといえば何といってもフジキセキの相性の良さが知られるが、既にこの世を去っている。今年の登録馬では母の父としてエテルナミノルがエントリーしている。続く種牡馬となると2勝を挙げているディープインパクトとホエールキャプチャ、ブラボーデイジーが人気薄で激走しているクロフネ。リスグラシューの父ハーツクライは4頭が出走してまだ馬券絡みがない。
ドバイへ遠征したモズカッチャン、ディアドラを除けば、各世代のトップホースが集結する豪華な顔合わせとなり、昨年の覇者アドマイヤリードが霞んで見えるほど。そこで敢えて狙ってみたいのが、そのアドマイヤリードだ。もちろん過去の4歳馬の活躍、今年の層の厚さには一目置かねばならないが、このレースはとにかくリピーターが強いレース。人気を落としていても過去の好走馬が突如パフォーマンスを上げるレース特性から、4歳馬の影に隠れた昨年の覇者を狙い撃ちしたい。