毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【エプソムC】好配のキモは人気薄の3着馬
2018/6/3(日)
1983年、日本ダービーが50回を迎えたのを機に東京競馬場とイギリスのダービー開催場であるエプソム競馬場が姉妹競馬場として提携。このときに記念植樹(東京競馬場から桜を贈り、エプソム競馬場からは柏が贈られた)とカップの交換を行い、翌1984年から東京競馬場で『エプソムカップ』、エプソム競馬場で『The JRA Condition Stakes』が創設。両競馬場およびJRAと英国ジョッキークラブの親善を図っている。近年ではエイシンヒカリ、ジャスタウェイ、サトノアラジンといった馬がのちにブレイクするキッカケともなった注目重賞をデータで占ってみたい。
前走の格に注意
[前走レース]過去10年、マイラーズCからの参戦が3勝。13頭が出走して(3.2.1.7)と高い好走率を残している。2勝を挙げているのが新潟大賞典と都大路Sで、新潟大賞典からの転戦が35勝と最も多く、3着も4回ある。降級直後ということもあるが、前走準オープンから馬券に絡んだのは2着が2回あるだけ。前走の格には注意を払いたい。
過去10年注目データ
[年齢]過去10年で圧倒的に強いのが4歳馬で、7勝、2着6回。連対率36.1%、複勝率41.7%は他の世代を大きく引き離している。出走頭数も36頭と少なくはなく、馬券のどこかに割り込んでくる可能性はかなり高い。他の世代では5歳馬2勝、6歳馬1勝。年齢を重ねる毎に勝率、連対率はダウン。複勝率は5~7歳はほぼ互角だが、7歳以上は連対がなく、割り引いて考えたい。
[前走着順]前走から連勝を果たした馬は2頭、前走2着馬も2勝して、2着は過去10年で7頭が前走で連対を果たしていた。一方で前走3~5着馬は不振で、狙うならむしろ6着以下に敗れた馬。2ケタ着順となると信頼度が大きく下がってしまうが、前走6~9着馬は4勝を挙げ、好配当のキモとなっている。その4頭は重賞勝ち、もしくはオープン特別2勝以上の実績を持っていて、いずれも5番人気以内と前走崩れていながら、このレースではそれなりの評価を受けていた。
[枠順]枠番別では7枠の数字が低く出ているが、両サイドの数字は悪くなく、単なる巡り合わせか。内枠が少し優勢だが、7枠と5枠の数字がやや低いくらいで、大きな差は見られない。
馬番別で馬券絡みがないのは「9」と「15」の2つ。ほぼ均等に好走馬が出ており、枠番、馬番はさほど気にしなくていいだろう。
[脚質]過去10年で4角先頭からそのまま押し切ったのは15年エイシンヒカリ1頭のみ。しかし、2着2回、3着3回と6回の馬券絡みがあるのは頭に入れておかなければならない重要なデータ。後方からの差しも度々決まっているが、勝ち馬は人気サイド。4角10番手以下から直線一気で差し切った馬はおらず、終い一手の馬は厳しい。
好配のカギは人気薄の3着馬
1番人気は過去10年(4.4.0.2)と紛れの少ないコースで堅実に走っている。連対を外した2頭はともに差し馬で末脚不発のケース。勝ち馬は全て5番人気以内で、2着馬も9頭が5番人気以内。好配のカギとなるのは3着馬で、7頭が6番人気以下。人気薄をアタマで狙うのは得策とはいえない。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 4-4-0-2 | 40.0% | 80.0% | 80.0% |
2番人気 | 3-1-1-5 | 30.0% | 40.0% | 50.0% |
3番人気 | 0-3-1-6 | 0.0% | 30.0% | 40.0% |
4番人気 | 2-1-1-6 | 20.0% | 30.0% | 40.0% |
5番人気 | 1-0-0-9 | 10.0% | 10.0% | 10.0% |
6~9番人気 | 0-1-5-34 | 0.0% | 2.5% | 15.0% |
10番人気~ | 0-0-2-78 | 0.0% | 0.0% | 2.5% |
勝負の東上を見極めろ!
関東で行われる重賞だが、出走頭数はわずかながら関西馬の方が多く、連対は関西馬の方が多い。ここからエイシンヒカリ、ジャスタウェイ、サトノアラジンといったG1ホースが出ているように、紛れの少ない東京コースで行われるこのレースは関西馬にとって試金石となっている。
ジョッキーの方も3着こそ美浦所属のジョッキーが8回と多いが、栗東所属のジョッキーが35回の騎乗で(7.8.2.18)と抜群の好成績。このレースに騎乗する栗東所属のジョッキーは勝負気配が強いと見て取れる。
[キャリア]勝ち馬の最少キャリアは11年ダークシャドウ、15年エイシンヒカリの7戦。4歳馬の活躍もあって、過去10年の勝ち馬は8頭がキャリア15戦以下。10戦以下の馬も4勝を挙げていて、叩き上げの馬よりもフレッシュな遅れてきた素質馬が狙い目。最多キャリアは14年ディサイファの22戦。2着馬の最多キャリアは10年シルポートの26戦。25戦を超えると信頼度は大きく下がる。
[乗り替わり]乗り替わりが多く発生するレースで、1~3着に入った回数はほぼ互角。ただし、サンプル数が乗り替わりの方がおよそ2倍多く、それに従ってアベレージも低く出ている。積極的に乗り替わりを狙えるというより、前走と同じコンビはそれなりの手応えがあると見た方が無難だろう。
[当該コースの騎手成績]2013年以降に行われた東京芝1800mで最も多く勝っているのは戸崎騎手の34勝で、これが頭ひとつリード。2位が北村宏騎手の26勝、以下、横山典騎手22勝、蛯名騎手21、C.ルメール騎手17勝と続き、次は田辺、内田博、M.デムーロ騎手が12勝で並んでいる。この中で美味しい存在はM.デムーロ騎手で、勝率は25%、連対率は43.8%にのぼり、単勝回収率は121%。どうしてもその名前で人気になるケースが多いが、その期待にキッチリと応えている。
[馬体重]勝ち馬の最低馬体重は08年サンライズマックスの444キロ。最高馬体重は10年セイウンワンダーの524キロ。比較的小柄な馬も活躍していて、好走馬は幅広いレンジから出ている。馬格も気にしなくて良さそうだ。
[種牡馬]ディープインパクト産駒が過去10年で3勝。出走頭数もそれなりに多いが、連対馬5頭は全て2番人気以内で、人気の有無である程度の取捨はできる。複数回馬券に絡んでいる種牡馬を見ると、ダンスインザダーク、マンハッタンカフェ、ホワイトマズル、ステイゴールド、サンデーサイレンスと産駒が少なくなった、もしくはもういない種牡馬で、今後ダイワメジャー、ハーツクライ産駒あたりがどれだけ走ってくるか注目される。
メイSで人気を分け合ったダイワキャグニーとサトノアーサーの4歳馬2頭が一騎討ちムード。甲乙付けがたいが、このレースと相性抜群の関西馬、そしてディープインパクト産駒を決め手にサトノアーサーを上に取りたい。鞍上の戸崎騎手もこのコースを得意としており、気になるのは前走3着馬が不振というデータくらい。距離が長かったダービー、菊花賞以外は崩れておらず、ここをステップに秋はG1路線に名乗りを上げる。