過去10年攻略データ

1936年に中山芝3200mのハンデキャップ競走として創設。当初は春と秋の年2回施行されていたが、1952年に秋のみとなり、距離は1957年から1800m、施行時期は1972年より現在の時期に移り、負担重量も別定へと変更された。かつては春に中距離のビッグレースがなく、中山巧者、1800mの距離巧者といった個性派が活躍していたレースだったが、現在はドバイ遠征の重要なステップレースに位置づけされ、2017年はヴィブロスがこのレース4着をステップにドバイで大輪を咲かせた。また、G1となった大阪杯のステップレースとしても重要な意味を持つ伝統の一戦をデータから検証したい。

前走の『格』を要チェック!

[前走レース]複勝圏に入った馬のステップは実に18レース。好メンバーが揃うこともある前開催・東京の白富士S以外は全て重賞レースで、有馬記念と中山金杯組が2勝。秋の天皇賞からぶっつけの馬が1勝、2着2回。16年にはダービー以来の実戦だったドゥラメンテが1着。ここで年明け初戦を迎える前走G1組のアベレージが高く、その馬の持つ格が重要視される。年明けに使った組では、アメリカJCCよりも京都金杯の方がアベレージが高く、意外なところではダートの根岸Sから芝に戻ってきた馬が2頭いて、どちらも馬券絡みを果たしている。

前走レース別成績
レース名 成績 勝率 連対率 複勝率
有馬記念2-1-0-525.0%37.5%37.5%
中山金杯2-0-1-1015.4%15.4%23.1%
天皇賞(秋)1-2-0-316.7%50.0%50.0%
白富士S1-1-0-108.3%16.7%16.7%
マイルCS1-0-1-514.3%14.3%28.6%
香港マイル1-0-1-050.0%50.0%100.0%
エリザベス女王杯1-0-0-150.0%50.0%50.0%
東京優駿1-0-0-0100.0%100.0%100.0%
京都金杯0-1-1-20.0%25.0%50.0%
根岸S0-1-1-00.0%50.0%100.0%
アメリカJCC0-1-0-130.0%7.1%7.1%
小倉大賞典0-1-0-50.0%16.7%16.7%
秋華賞0-1-0-10.0%50.0%50.0%
朝日CC0-1-0-00.0%100.0%100.0%
阪神カップ0-0-2-10.0%0.0%66.7%
菊花賞0-0-1-30.0%0.0%25.0%
富士S0-0-1-00.0%0.0%100.0%
札幌記念0-0-1-00.0%0.0%100.0%

年齢別成績 前走着順別成績
年齢 着別度数 前走着順 着別度数
4歳4-2-4-17前走1着4-1-2-14
5歳3-3-1-18前走2着2-1-1-9
6歳2-4-2-26前走3着0-0-0-5
7歳0-1-2-19前走4着1-0-1-7
8歳以上1-0-1-12前走5着0-1-2-4
前走6~9着3-4-0-23
前走10着~0-3-4-29

過去10年注目データ

[年齢]勝ち馬は4歳から8歳まで幅広く出ているが、4歳が4勝、5歳が3勝、6歳が2勝と年齢を重ねるにつれてダウン。連対率は5歳馬、複勝率は4歳馬がリードし、2着は6歳馬が4回と最も多い。7~8歳の高齢馬も頑張っていて、7歳馬は3頭、8歳馬も2頭が馬券圏内に絡んでいる。それらの名前を見るとコース巧者、距離巧者で、中山コース、1800mに実績を持つ馬は要注意。

[前走着順]過去10年、前走から連勝を果たした馬は4頭。勝ち馬の6頭が前走で掲示板を確保していた。穴党必見のデータとして、掲示板を外した馬が3勝、2着は何と7回あり、前走2ケタ着順の馬が2着3回、3着4回と大きく巻き返している。やはり目立つのはコース巧者と距離巧者。前走大敗で人気の盲点となっており、コース実績、距離実績は見逃せない。

[枠順]2枠、3枠、7枠がそれぞれ2勝で、5枠は1勝、2着3回、3着2回と好走馬が多く、複勝率42.9%のハイアベレージ。10~12頭立てとなる年が多く、内枠がやや優勢の数字が出ているが、7枠も2勝していて、極端な枠の有利不利は見られない。
馬番別では「3」「4」「9」が2勝。「9」は2着1回、3着も2回ある。馬券絡みがないのは「12」から「14」と「16」の4つだが、「12」は4回、「13」「14」はともに3回、16頭フルゲートは1度しかなく、サンプルも少ない。

[脚質]過去10年で4角先頭から押し切った馬はいないものの、2着が3回、3着が2回。2~5番手の好位からレースを進めた馬が7勝と、小回りの中山らしく脚質は先行馬有利。フルゲートになる年が少なく、ゆったりとしたペースで流れることが多いため、ある程度前めのポジションに取り付く機動力が求められる。

勝ち馬は人気サイド

過去10年のうち、1~3番人気の馬がそれぞれ3勝。10年は13番人気のトーセンクラウンが勝ち、12番人気のテイエムアンコールが2着に入って大波乱となったが、勝ち馬は人気サイドが多く、15年、16年は3連単でも万馬券とはならなかった。ただし、1番人気は3勝を挙げる一方で2~3着はゼロと両極端。近年はドバイや香港遠征を睨んだ馬が多く出走するが、先を見据えた実力馬がコース巧者、距離巧者に封じ込まれるパターンも度々見られる。

人気順別成績
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1番人気3-0-0-730.0%30.0%30.0%
2番人気3-1-2-430.0%40.0%60.0%
3番人気3-1-2-430.0%40.0%60.0%
4番人気0-4-2-40.0%40.0%60.0%
5番人気0-1-1-80.0%10.0%20.0%
6~9番人気0-2-3-350.0%5.0%12.5%
10番人気~1-1-0-303.1%6.3%6.3%

プラスαデータ

関東馬が地元の意地

『西高東低』の重賞も非常に多い中、このレースは過去10年で関東馬が7勝と意地を見せている。2着は関西馬が6回。出走馬は関東馬が73頭に対して関西馬が49頭と少なく、アベレージで見ると勝率は関東馬がリードするが、連対率、複勝率は関西馬が上回る。
ジョッキーも美浦所属が6勝と数では上回るが、騎乗機会が栗東所属のジョッキーの方が圧倒的に少なく、栗東所属の複勝率は46.4%。ここに遠征してくる西のジョッキーはかなり勝負気配が高いといえるだろう。

[キャリア]4歳馬の活躍でキャリア10戦以下のアベレージが高い。これに該当する馬はまずチェックが必要。ただし、高齢馬の活躍も多いレースで、キャリア31戦以上の馬も複勝率は20%を超えている。10戦以下はまずチェックだが、それ以上のキャリアはひとくくりに考えていいかもしれない。

[乗り替わり]過去10年、前走で同じコンビで出走したのが68頭、乗り替わりが54頭。同じコンビが8勝を挙げ、勝率と連対率は大きくリードするが、3着は乗り替わりのコンビが7回あって、複勝率はほぼ互角となる。乗り替わりで勝った3頭のうち2頭が横山典騎手によるもの。松岡騎手も2着、3着がそれぞれ1回ずつある。

[当該コースの騎手成績]2014年以降、中山芝1800mで最も多く勝っているのは戸崎騎手の17勝。2位は12勝の北村宏騎手、以下、松岡、M.デムーロ騎手が11勝で並び、田辺、蛯名、C.ルメール騎手が10勝と続く。この中でM.デムーロ騎手は16年ドゥラメンテ、17年ネオリアリズムで中山記念を連覇。昨年はフラワーCをカンタービレで勝ち、勝率は37.9%を誇る。

[馬体重]勝ち馬の最高体重は12年フェデラリストの528キロ、最少体重は15年ヌーヴォレコルトの448キロ。500キロ以上の大型馬が4勝している一方で、過去13頭と決して出走数が多くない中で460キロを切る軽量馬が3度の馬券絡み。馬格はあまり気にしなくていい。

[種牡馬]過去10年で2勝を挙げている種牡馬はネオユニヴァース、ハーツクライ、ステイゴールドの3頭で、ネオユニヴァースはのべ5頭が全て掲示板を確保して人気以上の成績を残す好相性。2017年は5年ぶりの産駒出走だったが、ネオリアリズムが勝利を挙げた。複数の馬券絡みはキングカメハメハ、オペラハウス、ディープインパクト、ローエングリン、ホワイトマズルと多くいて、ローエングリンはロゴタイプが4年連続出走して3、2、7、3着と3度の馬券絡みを果たしている。

データの決断

登録馬は13頭だが、そのうち5頭がG1ホースという濃いメンバーで行われる伝統の一戦。コース巧者が強く、データ面からも狙いどころがいくつもある楽しみなレースの中で今回取り上げたいのは昨年の皐月賞馬エポカドーロ。何といっても中山でG1勝ちの実績があり、レースが開いてもG1からの参戦であればマイナスとはならない。年齢、キャリア面からも一番に狙ってみたい1頭だ。