過去10年攻略データ

天皇賞(春)の重要なステップレースとして長く関西のファンに親しまれてきた産経大阪杯が2017年よりG1に昇格。『大阪杯』として新たなスタートを切り、歴史的名馬キタサンブラックがG1昇格最初の勝ち馬に名を刻んだ。G1昇格以前から年によっては宝塚記念よりもメンバーが揃うこともあったほどレースレベルが高かったが、今年も豪華メンバーが名を連ね、春の中距離王を決めるに相応しい一戦となった。ここでは過去10年のデータをピックアップして勝ち馬を探っていきたい。

前走の格は重要

[前走レース]G1に昇格された17年は有馬記念以来のぶっつけとなったキタサンブラックが勝利。昨年は金鯱賞をステップにしたスワーヴリチャードが勝利。昇格前は天皇賞や香港遠征のステップとなることが多かったことから、有馬記念やジャパンCからのぶっつけというパターンが多く見られた。最も多く勝ち馬を出しているのは中山記念組で3勝。間隔にかかわらず、G1、G2と格の高いレースを経て臨む馬が多く好走している。

前走レース別成績
レース名 成績 勝率 連対率 複勝率
中山記念3-2-0-1415.8%26.3%26.3%
有馬記念2-1-3-814.3%21.4%42.9%
京都記念1-2-3-77.7%23.1%46.2%
金鯱賞1-1-1-89.1%18.2%27.3%
ジャパンC1-1-1-220.0%40.0%60.0%
大阪城S1-0-0-325.0%25.0%25.0%
凱旋門賞1-0-0-0100.0%100.0%100.0%
アメリカJCC0-1-1-40.0%16.7%33.3%
中日新聞杯0-1-0-90.0%10.0%10.0%
調布特別0-1-0-00.0%100.0%100.0%
菊花賞0-0-1-00.0%0.0%100.0%

年齢別成績 前走着順別成績
年齢 着別度数 前走着順 着別度数
4歳5-4-3-19前走1着1-2-3-13
5歳4-3-2-22前走2着6-1-1-14
6歳1-2-5-27前走3着1-3-2-11
7歳0-1-0-16前走4着1-0-2-8
8歳0-0-0-11前走5着0-3-1-5
9歳以上0-0-0-0前走6~9着1-1-1-20
前走10着~0-0-0-27

過去10年注目データ

[年齢]過去10年、勝ち馬を出しているのは4~6歳の3世代。特に4歳馬5勝、5歳馬4勝と、この2世代で9勝を占めている。勝鞍では前記2世代に劣るが、6歳馬も2着2回、3着は最も多い5回絡んでいる。7歳以上は出走頭数が減るとはいえ、連対は14年に7歳で2着に入ったトウカイパラダイスただ1頭。高齢馬は割引が必要だ。

[前走着順]昨年はスワーヴリチャードが金鯱賞から連勝。これが過去10年で唯一となる前哨戦からの連勝で、前走2着馬が6勝という非常に面白いデータが出ている。前走6着以下から巻き返した馬は3頭。いずれもG1で連対経験があり、うち2頭はG1勝っていた実力馬。相応の底力がないと巻き返しは困難となっている。

[枠順]昨年は16頭フルゲートで行われたが、2014年は8頭立てで行われるなど、少頭数の年も多かった。過去のデータを見てみると、少頭数で内枠の利が少ないのか、枠番「1」「2」はなんと連対ゼロ。白い帽子の1枠は昨年5着のミッキースワローが過去10年で唯一の掲示板確保で苦戦を強いられている。
馬番では「8」が複勝率5割。隣の「7」も複勝率4割と好走馬が多く出ていて、外の「15」は2頭が出走して11年エイシンフラッシュが3着、昨年のスワーヴリチャードが勝利。馬券絡みがないのは「1」「10」「12」「14」「16」。

[脚質]好走馬の脚質はバラエティに富んでいて、17年はキタサンブラックが好位追走から堂々の押し切り勝ち。昨年は道中大マクリを打ったスワーヴリチャードが4角先頭で押し切り。15年は後方からレースを進めたラキシスとキズナがワン・ツー・フィニッシュを決めた。内回りコースでの施行で、先行有利かと思いきや、4角10番手以下の差し馬も6頭馬券に絡んでいて、展開は柔軟に考えたい。

人気落ちのG1好走馬が美味しい

1番人気で馬券圏内を外した馬は16年に4着だったラブリーデイわずか1頭。(4-3-2-1)と信頼度はかなり高い。勝ち馬は8頭が4番人気以内で、残る2頭は6番人気。極端な人気薄をアタマにするのは得策ではない。注目は6~9番人気の伏兵で、G1に昇格したここ2年も17年7番人気ステファノスが2着、昨年は6番人気ペルシアンナイトが2着と配当のキモにもなっている。どちらもG1で好走実績があり、人気の盲点となっている馬を注意深く見つけたい。また、2ケタ人気は1頭も馬券になっていない。

人気順別成績
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1番人気4-3-2-140.0%70.0%90.0%
2番人気2-1-2-520.0%30.0%50.0%
3番人気1-0-1-810.0%10.0%20.0%
4番人気1-0-3-610.0%10.0%40.0%
5番人気0-1-1-80.0%10.0%20.0%
6~9番人気2-5-1-315.1%17.9%20.5%
10番人気~0-0-0-390.0%0.0%0.0%

プラスαデータ

関西馬が非常に強力

G1初年度なった17年は1着から5着までを関西馬が独占。昨年も1着から4着を関西馬が占め、関東馬の馬券絡みは10年から12年に3年連続2着があっただけ。元々、関西圏の古馬のステップレースということもあり、関西の人馬が非常に強いレースで、関東馬の勝利は1999年のサイレントハンターまで遡らなければならない。ジョッキーも過去10年で美浦所属のジョッキーは16年アンビシャスに騎乗して勝った横山典騎手のみ。前述のサイレントハンターに騎乗して勝った吉田豊騎手以来となる美浦所属の勝利ジョッキーだった。

[キャリア]勝ち馬のキャリアは9頭が20戦以下。前年のクラシックで活躍した馬が好成績を残していることもあり、好走馬のキャリアも少なめとなっている。唯一、20戦を超えるキャリアで勝ったのが10年に33戦目のキャリアで勝ったテイエムアンコールで、これは昇格前のもの。昨年はキャリア10戦以下の4歳馬がワン・ツー・スリーを決め、フレッシュな馬が活躍する傾向はより強まるかもしれない。

[乗り替わり]一昨年は前走と同じコンビの馬がワン・ツー・スリー。昨年も1着と3着が同じコンビ。同日にドバイワールドカップデーがあって、有力馬の乗り替わりも出ているのだが、過去の傾向からは乗り替わりはやや不利と出ている。

[当該コースの騎手成績]2014年以降、阪神芝2000mで最も多くの勝鞍を挙げているのは川田騎手とM.デムーロ騎手の23勝。両者ともに高いアベレージを誇り、複勝率はどちらも50%超え。川田騎手は複勝回収率も109%とプラスになっている。続いてC.ルメール騎手が15勝、武豊騎手が11勝、福永騎手が10勝。以下、和田竜、松若騎手が9勝、岩田騎手が8勝、浜中、藤岡佑騎手が7勝と続く。

[馬体重]勝ち馬の最少馬体重は09年ドリームジャーニーの428キロ。最高馬体重は17年キタサンブラックの540キロで好走馬は幅広いレンジから出ている。馬格はさほど気にしなくてもいいだろう。

[種牡馬]馬群の好相性を誇るのがディープインパクトで、14年から16年まで3連勝。翌年もステファノスが2着、昨年はアルアインが3着に入り、5年連続で馬券圏内に産駒を送り込んでいる。ただし、少し気になるのは17年はマカヒキが2番人気4着。昨年は3着に入ったもののアルアインは2番人気、3番人気のサトノダイヤモンドが7着に敗れるなど、人気を裏切るケースも見られる。
その他では、マンハッタンカフェ、ステイゴールド産駒が2勝。G1を勝つような大物がステップレースとしていたことから底力で複数回馬券になるリピーターが多いのも特徴だろう。
このレースで苦戦しているのがキングカメハメハでディープインパクトの18頭に次ぐ14頭が出走して(0.0.1.13)の不振。3番人気以内は1頭しかいなかったとはいえ、17年3着のヤマカツエースが唯一の馬券絡みとなっている。

データの決断

G1へ格上げされて3回目。ドバイWCデーとの兼ね合いでオールスターキャストとはいかないが、今年もG1にふさわしい豪華メンバー。データから狙ってみたいのは京都記念2着から参戦する4歳馬ステイフーリッシュ。実績では他の有力と比べて一枚落ちるのは否めないが、6勝を挙げている前走2着馬、アベレージが高い前走1番人気、4歳馬、過去10年で2勝のステイゴールド産駒と好データが多い。激走ゾーンである6~9番人気に収まれば穴馬券の使者として狙って見る価値は十分ある。