過去10年攻略データ

イギリスの「1000ギニー」をモデルとする4歳(現3歳)5大クラシック競走の1つで、「中山四歳牝馬特別」として1939年に創設。 太平洋戦争の影響による2年の中止を経て1947年に施行場を京都に移し、名称も「桜花賞」と変更。1950年から阪神競馬場での施行となった。かつては『魔の桜花賞ペース』と呼ばれる激しい先行争いがレースの見どころ、展開のカギを握っていたが、コース改修がなされた2007年以降は、枠順の有利不利が少なくなり、実力馬がその力を余すところなく発揮出来る舞台へと変わった。昨年はアーモンドアイが3冠への一歩を踏み出したクラシック初戦をデータから検証したい。

地力があれば「ぶっつけ」もOK!

[前走レース]過去10年で最も好相性なのは7勝を挙げているチューリップ賞組。2歳女王が春初戦に選択するケースが多く、2着4回、3着も6回あって、相性の良さは群を抜いている。ただし、G2に格上げされた昨年は人気を集めながら勝つことはできなかった。フィリーズレビュー組は過去10年で2勝。出走頭数がチューリップ賞より多いこともあり、アベレージは大きな差がある。アネモネS組は22頭が出走して馬券絡みはゼロ。レース間隔が開いているのはマイナスとならず、エルフィンS、クイーンCからの直行組も成績は上々。昨年はシンザン記念以来のぶっつけだったアーモンドアイが圧巻の内容で桜の女王に輝いた。ごまかしの利かない舞台となり、高い能力、素質を持った馬が力を出し切れる仕上がりにあれば通用することを示している。

前走レース別成績
レース名 成績 勝率 連対率 複勝率
チューリップ賞(G3)7-4-6-2417.1%26.8%41.5%
エルフィンS1-1-0-320.0%40.0%40.0%
フィリーズR1-0-2-531.8%1.8%5.4%
シンザン記念1-0-0-0100.0%100.0%100.0%
クイーンC0-2-0-150.0%11.8%11.8%
フラワーC0-1-1-100.0%8.3%16.7%
チューリップ賞(G2)0-1-1-20.0%25.0%50.0%
阪神JF0-1-0-20.0%33.3%33.3%
アネモネS0-0-0-220.0%0.0%0.0%

前走着順別成績
前走着順 着別度数
前走1着4-7-3-36
前走2着3-0-2-33
前走3着2-1-2-16
前走4着1-0-0-8
前走5着0-0-1-8
前走6~9着0-1-2-22
前走10着~0-1-0-25

過去10年注目データ

[前走着順]勝ち馬は過去10年全て4着以内で、前走から連勝を果たした馬が4頭。前走2着馬が3頭、3着馬が2頭勝ち上がっており、中でも前走1着馬は2着7回、3着3回と高い信頼度を誇る。前走で掲示板を外しながら巻き返してきた馬が4頭いるが、いずれも2連勝でオープン特別を勝った経験を持っていた。前走の敗戦で馬券的にも美味しい存在となっている。

[枠順]まず知られているのが、桜花賞の内枠は大苦戦。有利不利の少ないコース形態で、阪神マイル全体では内枠の数字もいいのだが、この桜花賞に限れば馬番「1」~「5」に入った馬の連対は昨年2着のラッキーライラックただ1頭。人気馬があまり入っていないというのと、昨年は相手が悪すぎたことを差し引いても、厳しい数字が残っている。
過去10年は黄色の帽子が4勝。2着はないが3着4回と好相性。今年こそ1~2枠の勝利が見られるか注目だ。

[脚質]15年にレッツゴードンキが逃げ切っているが、近年は差し馬が圧倒的に優勢で、実に7頭が4角10番手以下からの差し切り勝ち。2着5回、3着も6回と後方一気の馬が上位に食い込んでいる。直線の長い外回りコースでもあり、基本的には瞬発力に優れた馬を軸に取り上げたい。

1~2番人気は強い!

過去10年、1番人気と2番人気がともに3勝を挙げているが、連対率は2番人気がリード。1番人気と2番人気がともに馬券圏外に去ったのは1度だけで、馬券から1、2番人気をまとめて外すのは得策ではない。6番人気以下の台頭も多いが、馬券に絡んだ7頭は全てオープンで3着以内があった実力馬。人気落ちのオープン実績は波乱のキモにもなっている。
昨年は2番人気の関東馬アーモンドアイが勝ったが、1~5番人気に推された関東馬で人気以上の着順だったのは、ともに国枝厩舎で3冠に輝いたアパパネとアーモンドアイの2頭だけ。過去10年で唯一1~2番人気が同時に馬券圏外に去った15年の上位人気2頭は関東馬だった。

人気順別成績
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1番人気3-2-1-430.0%50.0%60.0%
2番人気3-4-0-330.0%70.0%70.0%
3番人気1-2-2-510.0%30.0%50.0%
4番人気0-1-1-80.0%10.0%20.0%
5番人気1-0-2-710.0%10.0%30.0%
6~9番人気2-1-2-355.0%7.5%12.5%
10番人気~0-0-2-860.0%0.0%2.3%

プラスαデータ

関東馬に厚い壁

昨年はアーモンドアイが1着、一昨年はソウルスターリングが3着と関東馬の上位入線もあるのだが、数字の上では圧倒的に関西馬が優勢。15年からルージュバック、メジャーエンブレム、ソウルスターリングと3年連続で関東馬が1番人気に支持されたが、いずれも関西馬の厚い壁に敗れている。
騎手の所属を見ても、過去10年で美浦所属のジョッキーが勝ったのは10年アパパネの蛯名騎手1人。その前は1985年エルプスの木藤隆行騎手まで遡り、昨年は1番人気に支持されたラッキーライラックに騎乗した石橋脩騎手が厚い壁を跳ね返された。

[キャリア]勝ち馬のキャリアは3戦から6戦で、キャリア4戦の馬が4勝、3戦の馬が3勝。過去10年、7戦以上の連対馬はおらず、豊富な経験よりも少ないキャリアで出走権を得た素質馬が好結果を残している。

[乗り替わり]昨年、一昨年と乗り替わりのコンビが2連勝。1~3着はいずれも前走と同じコンビが7回、乗り替わりが3回と数の上では同じコンビが上回るが、騎乗回数がほぼ2倍あって、アベレージは互角。乗り替わりは気にしなくていいだろう。

[当該コースの騎手成績]2014年以降、阪神の芝マイルコースで最も多く勝っているのはM.デムーロ騎手の24勝。1勝差で川田騎手が追い、浜中、福永、C.ルメール騎手が21勝と、この5名が20勝以上をマーク。アベレージはM.デムーロ、C.ルメール騎手が高く、浜中、福永騎手は単勝回収率が100%を超えている。以下は大きく離れて、和田竜騎手が12勝、岩田騎手が9勝、武豊騎手が8勝、幸騎手と小牧太騎手が7勝で続く。

[馬体重]この時期の牝馬で、ほとんどの馬が成長途上。460キロ未満の馬が3勝。440キロ以下の小柄な馬も度々馬券に絡んでいて、さほど気にするファクターではないのだが、勝ち切るという面ではある程度の馬格が欲しいところで、480キロを超える馬のアベレージが高くなっている。

[種牡馬]ディープインパクト産駒が4勝を挙げているが、出走頭数が他の種牡馬よりも頭ひとつ抜けて多く、ここ2年は馬券圏内にも届いていないのは気になるところ。ダノンファンタジーがこの流れを食い止めることができるか見もの。数ではディープインパクトに及ばないが、キングカメハメハ産駒も(2.0.2.4)とアベレージではヒケを取らない好相性。10年の3冠牝馬アパパネを除く3頭は5番人気以下で、馬券的にも美味しい存在。この2頭の名前を見たら人気の有無にかかわらず要チェックだ。

データの決断

目下4連勝中、桜花賞本番と同じ舞台のG1・阪神JFを勝っているダノンファンタジーには当然一目置かなければならないが、キャリア5戦の馬が苦戦しているという過去10年の傾向から絶対視はできない。データから狙ってみたいのはエルフィンSから挑むアクアミラビリス。キャリア3戦の馬はアベレージも高く、このレース向きの切れ味も持っている。ヴィクトワールピサ産駒&M.デムーロ騎手というコンビは16年の勝ち馬ジュエラーと同じ。一発の可能性は十分ある!