毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【ヴィクトリアM】東京コースであの馬が…
2019/5/5(日)
2006年に春の古馬牝馬チャンピオン決定戦として生まれたG1レースで「ヴィクトリア(Victoria)」は、ローマ神話に登場する勝利の女神。生産界では「牝馬は次の世代に優秀な血を残すべき」との考えから古馬牝馬の目標となるビッグレースが長く設けられていなかったが、エリザベス女王杯が古馬に開放され、春の目標レースとしてヴィクトリアマイルが新設。勝ち馬にもウオッカ、ブエナビスタ、アパパネといった名牝が名を連ねている。リピーターが多いのが特徴で、まだ13回しか施行されていない中、ヴィルシーナ、ストレイトガールが連覇を達成。ホエールキャプチャ、ブエナビスタ、ウオッカが2度連対を果たし、昨年は前年3着のジュールポレールが重賞初制覇をG1の舞台で成し遂げた。今年も楽しみなメンバーが揃ったヴィクトリアマイルをデータで占いたい。
前走のレベルに注目
[前走レース]出走頭数が圧倒的に多いため、アベレージは低めだが、阪神牝馬Sをステップとする馬が4勝、2着4回と多数好走。まずはこのレースが王道といえるだろう。
阪神牝馬S組には一目置かねばならないが、好走率の高さで重視したいのはハイレベルのレースを戦ってきた馬。大阪杯やドバイ遠征帰りの馬はその地力を遺憾なく発揮していて、距離が2F短い高松宮記念からも3年連続馬券絡みを果たしたストレイトガールが3、1着と好走している。
過去10年注目データ
[年齢]圧倒的に若い馬が強いレースで、特に過去10年、4歳馬が5勝、2着7回。出走頭数からも他の世代を圧倒している。昨年は勝ったジュールポレール、3着レッドアヴァンセが5歳で、4歳の勢いを止めたが、2着、4着、5着は4歳馬と掲示板には3頭。4歳馬はとにかく要注意。
[前走着順]驚くことに、過去10年で前走から連勝を果たした馬はゼロ。4勝を挙げている阪神牝馬S組だが、勝ち馬は3度の3着が最高で馬券絡みすらない。ミッキーチャームにとっては嫌なデータだ。
6着以下から巻き返して勝った馬が実に5頭。2着も5頭いて大敗を喫した馬も軽視は禁物。ちなみに2ケタ着順から連対圏に巻き返した5頭のうち3頭はG1ホース。残る2頭はともに2走前、京都牝馬S1着の実績を持っていた。
[枠順]枠番別では3枠と6枠が3勝、7枠が2勝の好相性。未勝利の枠が3つあるが、いずれの枠も複数回の連対があって、1枠は勝ちこそないが6回の馬券絡みがある。大きな差はないが4枠がやや不振か。
馬番別で馬券絡みがないのは「9」と「17」の2つ。連対馬が出ていない馬番は「1」「3」「9」「15」「17」「18」。「1」は3着が4回あって複勝率は全馬番で最も高い。ほぼ均等に好走馬が出ていて、あまり枠番は気にしなくて良さそうだ。
[脚質]過去10年で逃げ切り勝ちは14年のヴィルシーナのみだが、3着も2回あって、15年は最低人気のミナレットが3着に逃げ粘って大波乱を演出した。好走馬の脚質はバラエティに富んでいて、直線の長い東京コースながら、2~5番手で直線を回った馬を含めても先行勢の活躍が光る。4コーナー10番手以下から馬券圏内に入った馬はのべ10頭いるが、勝ち馬3頭を含む8頭はG1ホース。直線一気は相当な地力がないと難しい。
G1実績馬は見逃し厳禁
過去10年、1番人気は3勝、2着3回で信頼度はマズマズだが、2番人気は1勝、3着1回、3番人気は2着1回、3着2回と2~3番人気は不振。むしろ6番人気以下の伏兵の方が圧倒的に馬券になっている。これらの特徴はG1実績を持つ馬と前走、重賞で好走しながら人気を落としている馬が多いこと。走ってきたレースの格には要注目。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 3-3-0-4 | 30.0% | 60.0% | 60.0% |
2番人気 | 1-0-1-8 | 10.0% | 10.0% | 20.0% |
3番人気 | 0-1-2-7 | 0.0% | 10.0% | 30.0% |
4番人気 | 1-0-0-9 | 10.0% | 10.0% | 10.0% |
5番人気 | 1-0-1-8 | 10.0% | 10.0% | 20.0% |
6~9番人気 | 3-2-4-31 | 7.5% | 12.5% | 22.5% |
10番人気~ | 1-4-2-81 | 1.1% | 5.7% | 8.0% |
西の馬&東のジョッキー…
東西の比較では関西馬が8勝、関東馬が2勝。直近の3年は関西馬が上位1~3着を独占している。出走頭数も多いのだが、勝率、連対率、複勝率いずれも関西馬が圧倒している。
ところがジョッキーになると東西の数字が大逆転。美浦所属のジョッキーが7勝を挙げていて、連覇を果たしたストレイトガール、ヴィルシーナはともに関西馬ながら鞍上は美浦所属の戸崎、内田博騎手だった。ここ2年は栗東所属のジョッキーが連勝して巻き返しを見せているが、果たして今年は…!?
[キャリア]4歳馬が活躍しているだけあって、好走馬のキャリアは少なめなのだが、もう一つのこのレースの大きな特色であるリピーターの存在で20戦を超えるキャリアの馬も3勝。好走歴のある馬はキャリアを積んでいても注意を払いたい。
[乗り替わり]前走と同じコンビが8勝、乗り替わりが2勝。これだけを見ると乗り替わりは不利と思えるが、2着が5回、3着も4回あって、サンプル数がおよそ半分でアベレージでは連対率、複勝率は乗り替わったコンビがリード。勝負気配が強いとみれば積極的に狙っていける数字だ。
[当該コースの騎手成績]2014年以降、牝馬に騎乗して東京1600m戦を最も多く勝っているのは戸崎騎手の19勝。続いてC.ルメール騎手が17勝で、この2人が頭ひとつ抜け出している。以下、三浦、横山典騎手が12勝、北村宏、柴山騎手が8勝、大野、内田博騎手が6勝と続く。C.ルメール騎手以外の関西のジョッキーではM.デムーロ騎手が6勝、武豊騎手が5勝。ちなみに現在リーディングトップの川田騎手は1勝にとどまっている。
[馬体重]過去10年の勝ち馬で最も小柄だったのは17年アドマイヤリードの422キロ。最高体重は09年ウオッカの494キロ。過去10年で500キロを超える馬は勝っていないが、決して多くない出走馬の中から好走馬が出ていて、馬格は気にしなくていいだろう。
[種牡馬]過去10年で複数の勝利を挙げている種牡馬はディープインパクトとフジキセキの2頭。ディープインパクトは出走頭数が多いとはいえ、(3.2.4.18)と圧巻の成績を残している。好走馬を送り出している種牡馬の顔触れを見ると、ダート適性の高い馬、もしくは現役時代に長めの距離で活躍した馬が多い。
実績馬、上がり馬が入り混じって馬券的にも興味深い一戦となった今年のヴィクトリアマイル。データから狙ってみたいのは3歳時にこの東京マイルでNHKマイルCを勝っているアエロリット。昨秋の毎日王冠を快勝したあと、マイルCS、アメリカのペガサスWCターフと大きな着順となってしまったが、帰国後は順調に調整されて得意の東京コース。控える競馬も可能で、走り慣れた東京コースなら巻き返しは必至とみたい。