
騎手時代に約20万人が来場した90年ダービーをアイネスフウジンで逃げ切った中野栄治元調教師が、
独自の視点で重賞の好調教馬を導き出します!
【七夕賞】先週もS評価馬が完勝!レジェンド中野栄治元調教師が"縁のある"重賞で狙うのは…
2025/7/12(土)
当週 美浦ウッド(良) | ||||||
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83.2 | 66.9 | 51.6 | 37.0 | 11.3 | 馬なり |
先週の北九州記念はS評価したヤマニンアルリフラが勝ってくれたね。僕は函館にいたので生では見ていないけれど、強い内容だったんじゃないかな。
やはりこの時期は"格より勢い"。今回の北九州記念は典型的なレースだったと思う。僕も今勢いがあるから(笑)、今週もぜひ参考にしていただければ幸いだよ。
先程話したように、先週は久々に函館に行ってきたんだ。向こうも暑かったなぁ。昔は暑さを避けて北海道に行ったものだけれど、今はどこも変わらないから困ったものだよ。
その土産話は後日にということで、今週は福島で七夕賞が行われる。
七夕賞といえば7年前を思い出すなぁ。当時管理していたパワーポケットで3着に入った。格上挑戦で12頭中12番人気だったんだ。12頭立てだから出走できた運もあったけれど、色気はあったんだよ。ハンデは軽くなるし、今の状態なら…ってね。
格上挑戦はよく見かけるけれど、意図しない挑戦はないと思うんだ。そのあたりは予想する上でチェックが必要だと思う。
話は変わって、福島にはちょっと嫌な思い出もあってね…。今だから言えるんだけれど、だいぶ前に車に乗っててバスに衝突してしまったんだ。
軽い接触だったので大事にはならなかったし、もちろん飲酒運転ではないからね…(笑)
だいぶ前の話さ。福島でも滞在で、週中の追い切りにも騎乗していて、休憩の合間に寮に戻った時だった。競馬場に戻ろうとしたら凄い大雨でね。
道路の状況が分からないからもちろん慎重には運転していたけれど、大雨で音も聞こえないし、視界も薄かった。ひと言で運が悪かったな。
言った通り、大事にはなっていないんだけれど、とある新聞社が報道しちゃってね。それにつられるように他社も載せちゃったものだから、さすがに1ヵ月くらい騎乗停止処分を受けてしまった。まあこれも懐かしい思い出だね…。
そろそろ本題に入ろうか。七夕賞のナンバーワンはコスモフリーゲン。今週も重賞初挑戦組だ。
そうは言ってもデビューから3連勝した馬で、爪の不安や骨折で長期休養を2度挟みながら馬券圏外が1回のみ。能力は相当高いと思うんだ。1週前にウッドでビシッと追って、今週は馬なり調整。弾むような動きで終いの反応も良かったよ。
次点はシリウスコルト。これはオープン特別→重賞と2連勝中。その成績のまま今が充実期といった趣だよね。ゆったりとしたフォームで走りに乱れがなかったし、それでいて力強い伸びが目立った1頭だった。
あとはシルトホルンも良かったぞ。前走は2年ぶりの勝利だったようだけど、もともと力のある馬。大野騎手を背に軽快なフットワークが目についたし、状態は前走以上だと思うな。
最後にドゥラドーレス。これも反応が良くてイイ動きだった。体つきから余分な脂肪が取れてスッキリした感じたったね。実力がありながら紆余曲折あった馬なので応援したい気持ちも強い。今の状態ならチャンスは十分じゃないかな。

ミニョンマルーン
日曜気になった逃げ馬候補がこのミニョンマルーン。昇級戦なんだけれど、この馬は行き脚がついてからが速いんだよね。50kgでハナを切ることができれば、簡単には止まらないんじゃないかな。
プロフィール
【中野 栄治】Eiji Nakano
1953年大分県生まれ、東京都出身。父は大井の元調教師という家庭で育ち、1971年に騎手デビュー。数多くの活躍馬に騎乗し、約20万人が詰めかけた1990年日本ダービーをアイネスフウジンで逃げ切り伝説を作る。1995年には調教師に転身。短距離G1を2勝したトロットスターなどを育て、日本競馬にその名を残した名ホースマン。