
騎手時代に約20万人が来場した90年ダービーをアイネスフウジンで逃げ切った中野栄治元調教師が、
独自の視点で重賞の好調教馬を導き出します!
【キーンランドC】2位じゃダメなんです!?札幌の地でレジェンドが頂点を狙う!
2025/8/23(土)
当週 札幌芝(良) | ||||||
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65.8 | 50.6 | 35.9 | 11.4 | 馬なり |
夏競馬も佳境を迎えてるというのに、とにかく暑いね…。皆様も体調管理に気を付けて、競馬を、そして馬券を楽しんでもらいたいな。
個人的な話だけれど、札幌開催最終週の土曜日に競馬場に行ってこようと思う。最初は牧場にお邪魔して、その後は久々の札幌を満喫してくる予定なんだ。お土産話も楽しみにしていてほしい。
札幌といえばやっぱりジョッキー時代を思い出すなぁ。やっぱりまず思い出すのは"食"に関連すること。
北海道といえば地元の食材が美味しくてね。特に海産物は絶品。ボタンエビとかツブ貝なんか凄く美味しかった。
札幌競馬場の近くには札幌中央卸売市場があって、調教は朝の8時くらいには終わるから、その後は市場の寿司屋である"魚政"に松田博資先生とよく通ったもんだよ。
松田博先生はブエナビスタなどを管理された名伯楽として知られているよね。あの顔つきで迫力があったから怖いと思った人もいたかもしれないけれど、凄く面倒見のいい人なんだ。本当に良くしてもらったのを覚えているよ。
ここからが本題(笑)。札幌の夜の街では昔、キャバレーが流行っていてね。今はキャバクラというのだろうけれど、女性スタッフが600人くらいいたんだ。今ではあり得ないよね(笑)
その600人が当時、○組、△組とそれぞれ分かれていてね。なんか今の宝塚歌劇団みたいだなぁ(業態が全く違うので勘違いしないでね…)
僕の当時のお気に入りは桜組に入っていた女の子。何とかナンバーワンにしてやろうと思って頑張ったんだけれど、その月は2位だった。もっとお金持ちがいたってことだね(笑)
もうだいぶ前の話だよ。まだ若い時の懐かしい思い出だね…。1位、取りたかったなぁ…。
いいかげんキーンランドCに話を移そう(笑)。今週のナンバーワンはカルプスペルシュ。北海道シリーズで3連勝中と勢いがある。
自身の成長もあるけれど、環境の変化や調整過程でこの時期に覚醒する馬っているんだ。いわゆる上がり馬ってやつさ。
前走は函館から札幌に移動したこともあって10kg馬体重が減っていたものの、それでいてタイレコードだから勢いは本物。
その北海道も4戦目になるけれど、今週の追い切りを見る限り疲れもなさそう。むしろ弾けていた。今回は札幌で滞在になるのもプラス。今なら重賞でも楽しみだし、今後も含めて注目の1頭だと思うな。
同じくらい動きが良かったのがエーティーマクフィ。前走は久々の芝で勝利となった。嵌った感は否めないけれど、2歳時に勝っているように洋芝が合っていたんだろうね。
その後はここ1本というローテ。今週の追い切りでは抑え切れない手応えから3頭併せで再先着。栗東で追い切ってから函館入りした前走より順調だし、力強い動きが目についた。
あとはゾンニッヒ。7歳だけれど、むしろ以前よりも落ち着きが出ていて、小気味よい走りで順調な感じがしたね。
2走前はエーティーマクフィと差がなかったわけだし、前走は59kgだった。57kgなら乗り方次第で差がないと思うよ。
最後にパンジャタワー。今週は右にモタれるところもあったけれど、心配するほどではなかったかな。この後海外遠征を控えている身だからここが目一杯ではないのだろうが、実績は十分。距離はむしろこのくらいがいいと思う。

ビーコ
土曜は伏兵狙いで新潟8Rのビーコを狙ってみる。前走はペースを考えれば悪くない内容だったんじゃないかな。外目の枠からスムーズに先行できれば残り目があってもいいと思うよ。
プロフィール
【中野 栄治】Eiji Nakano
1953年大分県生まれ、東京都出身。父は大井の元調教師という家庭で育ち、1971年に騎手デビュー。数多くの活躍馬に騎乗し、約20万人が詰めかけた1990年日本ダービーをアイネスフウジンで逃げ切り伝説を作る。1995年には調教師に転身。短距離G1を2勝したトロットスターなどを育て、日本競馬にその名を残した名ホースマン。