
騎手時代に約20万人が来場した90年ダービーをアイネスフウジンで逃げ切った中野栄治元調教師が、
独自の視点で重賞の好調教馬を導き出します!
【秋華賞】"ダービー"の思い出を胸にレジェンドが秋華賞攻略に挑む!
2025/10/18(土)
一週前 栗東ウッド(良) | ||||||
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82.2 | 67.8 | 53.4 | 37.5 | 11.2 | 馬なり |
いよいよ今週から毎週のように注目G1が続くね。今年は豪華メンバーと聞いている天皇賞・秋も楽しみだし、来週の菊花賞も楽しみだし、つまりどのG1も楽しみだ(笑)
その東京競馬場では近々観戦予定もあるんだけれど、府中は昔住んでいたところでもあるので思い出も尽きないんだ。
僕はジョッキーになる前の昭和43年。西暦にすると1968年に府中の荒木静雄厩舎に弟子入りしたんだ。当時の府中は田んぼだらけでね。
今では想像できないかもしれないけれど、当時は東府中には米軍基地があったんだよ。そこにはベース通りと言われていた、かつて米軍基地の兵士で賑わった歓楽街があったんだ。
なぜベース通りって言うのかって?ベース"Base"は英語で基地という意味。実際の名前は平和通りではあるものの、基地の入口に直結していたこともあって、ベース通りと呼ぶ人が多かったんだよ。
そこにある"ダービー"というクラブにはよく通っていたなぁ。というより、先輩に連れられて通わされていたといった方が正解かな(笑)
というのも、米軍の兵士の支払いはみんなキャッシュという中、日本人が経営していたこともあって、日本人はツケが利いたんだ。先輩は常にツケ払いにしていて、そのツケを帳消しにするために連れて行かれたんだよね。
なんでツケが帳消しにされるかって?この"ダービー"という店は変わっていて、アブサンというアルコール度数70度のリキュールのロックを5~6杯一気飲みすると、タダになる謎のシステムがあったんだ(笑)
その頃はまだ酒も強くなかった。さすがにこんなに強いお酒を飲まされては大変だった思い出しかない(笑)
昔話はこのへんにしておいて、話を本題に移そうか。今週の秋華賞、ナンバーワンはカムニャック。1週前は川田騎手を背に、前に2頭を置いて終いを伸ばす実戦を想定した追い切り。イイ感じに仕上がったね。
ローズSを勝ってからも順調に来ているし、その前走は多少余裕があったから上積みも大きいね。外枠も良かったんじゃないかな。内回りだと前が開かないケースが多いんだ。
ケリフレッドアスクは紫苑Sを勝った割にあまり人気になっていないね。動きはかなり良かったよ。跳びが大きくてゆったりした感じなんだけれど、首の使い方が良くて豪快に伸びていた。
マピュースはいつも追い切りで目を引く馬。今回も推進力があってイイ動きだった。前走は古馬相手に勝ったわけだし実力は十分。あとは距離だけだろうね。
最後にブラウンラチェット。池添騎手が2週続けて美浦に来て追い切っていたね。体もフックラして、それでいて2週とも反応良く鋭い伸びを見せていたよ。

グローリーリンク
秋華賞に出ても面白いんじゃないかと思っていたグローリーリンクが東京の12Rに出てきたね。除外はかわいそうだけれど、マイルで1.31.3のタイムを出せるあたり、2000mの内回りより東京の1800mのほうがよりハマる可能性も十分。除外の悔しさを晴らしてほしいな。
プロフィール
【中野 栄治】Eiji Nakano
1953年大分県生まれ、東京都出身。父は大井の元調教師という家庭で育ち、1971年に騎手デビュー。数多くの活躍馬に騎乗し、約20万人が詰めかけた1990年日本ダービーをアイネスフウジンで逃げ切り伝説を作る。1995年には調教師に転身。短距離G1を2勝したトロットスターなどを育て、日本競馬にその名を残した名ホースマン。