ノームコア

19年5/12(日)2回東京8日目11R 第14回 ヴィクトリアマイル(G1)(芝1600m)

  • ノームコア
  • (牝4、美浦・萩原厩舎)
  • 父:ハービンジャー
  • 母:クロノロジスト
  • 母父:クロフネ

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今週からコースが外へ出て時計は速くなるだろうとは予測していたが、それでも31秒台をイメージしていた。ゴール前の接戦を制してゴール板を過ぎたノームコアとレーン。その強さ、勝負強さに驚いたのだが、勝ち時計を見てもう一度、ビックリ。それも見たことのない数字。1.30.5である。それも4頭が鎬を削ってのゴールであり、レースを造ったアエロリットまでが30秒台の時計。しばらくはテレビの前で声が出なかった…。 《究極の普通》とJRAの競走馬情報の馬名の意味である。ノームコアは普通ではなかろう。究極の方であろう。そして鞍上のダミアン・レーンである。興奮の冷めやらない最終レース。ゲートで1頭だけ《ボッコン》と後ろにいた。《ああ、これはダメだ…》と見ていたら、最後の最後にゴール前で外から差し切った。二度も三度も驚かせてくれるジョッキーである。

と、まるでジョッキーが凄いから勝ったかの様に書き出したが、ビデオを何度も見るとノームコアが凄いのが良く判る。
直線ラスト200のあたり。外にいたカンタービレの脚が鈍り、視界が開けたノームコア。前を行くラッキーライラックが追い出した時だった。手綱をしごいていたレーン騎手が左手に持っていたステッキを右に持ち変え追い出した。その時までは右手前だったノームコア。そのステッキに反応して左手前に変わると、まるでギアが入ったかの様に伸びて行く。右後ろから追いついてきたプリモシーンを抜かせない脚色でゴールへ向かう。最後は左へ持ち変えて追ってのゴール。クビ差でもそれ以上に感じられた。

スタートの1Fは12.3。アエロリットが先頭を奪ったのはだいぶ行ってから。内の馬達の出方を見届けてから行きだしたもの。それも有無を言わせぬ構えでの先行。ラップを刻んで行く横山典騎手。10.6~10.8とやや強めのペース。後ろに速いと思わせる勢いでだ。後は11秒台の前半でのラップを刻んで行ってのものだ。ここでも《究極の普通》と思えるペース配分をした横山典騎手の腕。それでいて前の4頭から1馬身半だけの負けである。自身の上がりが34.8かかったが、その後ろとはまた1馬身少し間が空いているのだから、いい流れを造って力は出し切れたと結論づけられる。そのアエロリットを抜いてデットヒートを演じた4頭の切れが凄かった、そんな結末なのであった。

上位に来た5頭のうち、関東馬が3頭。関東馬は18頭中で5頭の出走である。関西馬はクロコスミアとラッキーライラックだけが電光掲示板に乗った。《関西馬が強い》の時代も長く続いたが、近年は関東馬の地力アップを常に感じている。以前の様な《越すに越せない大井川》と言われた東の壁があった時代に戻らないといいが。それほどに東軍の勢いに押され気味である関西馬。これから始まる3歳馬の頂点、オークスとダービー。そこだけは何とか関西馬の頭上に栄冠が輝くことを願いたいものだ…。

火曜の朝、厩舎で話を聞いた松永幹師の表情もサッパリしていた。『良く頑張ってくれたと思いますよ』とラッキーライラックの奮闘も労っていた。これからまだまだ続く戦い。どこかで、いやまたすぐにお手合わせが来るだろう。負けは負けとして認めて次のステージへ続く。ホースマンは、終わったことは糧としてすぐに前へと進めるのである。