愛馬ジャスタウェイと夢の天皇賞制覇を語る
2013/12/15(日)
善戦マンという異名が定着しつつあったジャスタウェイだが、あまりに圧巻の競馬で天皇賞(秋)を圧勝。「トレセンLIVE！」ですっかりお馴染み、榎本優也調教助手の担当馬とあって、競馬ラボとしても喜びはひとしお。今回は悲願達成の瞬間からそれに至るまで、素顔のジャスタウェイや来春の目標など、G1初制覇記念として“ここだけの話”をレポートしてきた。
オーナーの今年初勝利が天皇賞(秋)
－：ジャスタウェイ(牡4、栗東・須貝厩舎)の天皇賞(秋)制覇から、早くも3週間ぐらい経ちました。改めて、おめでとうございます。
榎本優也調教助手：ありがとうございます。
－：あのレースが終わってからの心境はいかがでしたか？
榎：沢山の方に「おめでとう」と声を掛けてもらいました。ただ、G1勝ちでしたけど、僕自身は1勝は1勝ですから、特に変わらずに気を引き締めて仕事をして行こうと思っています。ただ、今年はずっと勝てずにいたので、本当に嬉しかったです。
－：オーナーにとっても今年初勝利でしたね。
榎：今年はそうですね。僕も(大和屋オーナーの)オツウをやらせていただいていた時期がありましたし、なかなか結果を出せなくて悔しかったので、良かったです。
－：今まで勝った時よりも反響の大きさは随分と違うんじゃないですか？
榎：そうですね。勝ち方も4馬身も離して勝つとは思っていませんでしたから、僕もビックリしましたけど、みなさんもビックリされたんじゃないですか、ハハハ(笑)。
－：あれ程の勝ち方は想定していなかったですか？
榎：やっぱりG1ですから。個人的には力は足りると思ってましたけど、展開もそうですし、馬場もそうですし、条件が合ってくれれば、何とか勝ち負けができるかな、くらいのイメージを持っていました。
－：でも、今回は賞金的に出走できるか、できないかという話で始まりましたね。
榎：台風もありましたしね。不安というか、心配なことが多かったですね。逆に人がイレ込むということがなかったので、良かったんじゃないですか。
｢今までで一番良い手応えではなかったですね。完璧やな、といえる状態ではなかったです｣
－：正直なところ、金曜輸送のトラブルもありましたし、直前のご自身の手応えはどうだったのですか？
榎：難しいところですけど、今までで一番良い手応えではなかったですね。完璧やな、といえる状態ではなかったです。今回はちょっと久しぶりに詰めて使ったので、雰囲気的には馬がイレ込むじゃないですけど、気負っている部分があったかなと思います。
－：逆に今までレース前に手応えがあった時とは、自信度としてはどのレースが良かったですか？
榎：今年で言ったら、関屋記念ですね。もうブッちぎって勝つんじゃないかと思ってました。やっぱりスタートが悪かったのもありますしね。ああいう前が有利な流れになったり……。結局、そういう言い訳ばっかり言ってしまうんですけど、なかなか思うようにはいかないですね。
－：今回は1度ゲートに入れて、それはどなたの発案だったのですか？
榎：祐一さんからですね。パドックで跨って「今日は後ろ出しをしておこうか」と。やっぱり前走の毎日王冠の時も善臣さんが上手に出してくれましたけど、中でソワソワしていたみたいなんですよね。それを祐一さんが聞いて「じゃあ、やっておこうか」と。「善臣さんやから出たけど、俺やったらちょっと……」みたいな、そういうことを言っていましたね。「だから、練習をしておこうか」みたいな感じで。あと「善臣さんはゲート上手い、すごい」と前走を振り返って語っていました。
昨年に続く輸送のアクシデント
－：台風もあって関西馬全馬が異例の金曜日輸送でしたが。去年も渋滞があって、今年もかという？
榎：そうですね。本当にまた来年かと思いましたけどね。勝つ時はこんなんじゃないなと思いながら……、というのが本音でしたね。
－：金曜日に入れてからの違いは普段と比べてどうでしたか？
榎：なるべくイレ込みが少ないように、いつも通り対策はして行ったんですけど、やっぱり土曜日の朝くらいまでは、“これから競馬なんやろな”という雰囲気を馬が出してましたね。
－：1日、感違い勘違いしていた訳ですね？
榎：そうですね。連れていって、すぐに競馬、翌日競馬、という流れしか経験がなかったですから。もう1頭、土曜日予定のビームライフルも連れていったので、そっちだけ競馬に行って帰って来て、午後もすぐにカイバを付けたので、多分その時に競馬じゃないのかと気付いてくれたフシはありましたね。ただ、ずっといつも通りにやろうと思っていたのですけど、土曜日の昼までは本当に食べてくれなかったので、カイバをいつもと配分が違うものに思い切って変えたんですよね。それからは少し食べてくれたので、何とか体重的にもマイナス2ぐらいでしたし、よく辛抱してくれたなと思います。
－：カイバを変えたというのは分かりやすく説明をいただくと、どんな感じですか？
榎：具体的に言ったら、“粉モノ”というか、“調味料”を抜いたんですけど。あとは比率ですね。まあ、何をしても無駄かと、ちょっと思うところもあったので。ニンジンもこっちにいるときはすりおろしてあげていたやつを、ゴロゴロとしたやつにしてみたりだとか。大した違いではないとはいえ、夕方と晩に同じように付けたんですけど、なぜかそれは食べてくれていたので、それはカイバが良かったのか、馬が競馬じゃないんだと思ってくれたのか、どっちか分からないところもありますけどね。
－：ちなみにジェスタウェイは食べ物では何が好きなのですか？
榎：ニンジンが好きですし、あとは「ヘージ」という、ルーサンを発酵させた草も好きですね。乾草なんかも好きですし、多分、アッサリめのモノが好きだと思いますよ。けっこう昔からそうなんですけど、胃があまり良くないのか、濃いめの食事を食べさせると……。競走馬用の濃いめの飼料を用意してあるんですけど、人間でもずっと焼き肉を食わされたら嫌じゃないですか？何ぼ体の筋肉を付けないといけないとは言えね。なるべく濃くならないように気にしていましたけどね。
－：そこら辺の指示というのは先生によるものなのか、任されているのかは？
榎：使えるものは限られたものなので。基本はエン麦であるとか、ウチのオリジナルの配合飼料があるんですけど、その量は「これだけやってくれ」というのは、先生が指示するので。あとはそれ以外のところでどうするか、みたいな感じですね。みんな色々と考えながらやっているので、他の人からやり方を聞いたりしながら勉強をしていますけどね。
－：ジャスタウェイは他の一流馬と比べても、比較的軽めの内容が主体ですか？
榎：どうでしょうね。よその厩舎の配合はちょっと分からないです。でも、ゴールドシップはジャスタウェイに比べたら、よく食べますからね。そんなに気は遣ってないんじゃないですか。ゴールドシップに比べたら、さすがに軽めだと思います。
｢今回は結果が出ましたけど、まだ良くなる部分が残っていますし、これからが楽しみですね｣
－：話は戻りますが、移動をするにしても競馬場に来るということを分かっているでしょうからね。
榎：そうですね。でも、土曜日の朝、運動をしていてカッカするところはなかったので、ちょっとずつ大人になってきているんじゃないかと思いますね。昔は本当に当日の朝の運動とかも煩かったですからね。ヤル気になってしまってというか……。その辺のコントロールができるようになってきたんじゃないですか。
－：毎日王冠のレース後の仕草を見ても、煩いというのと共通しているか分からないですが、何か細かい遊びじゃないですけど、そういう仕草が多いな、と久々に見たら感じましたけどね。
榎：それも少しずつはマシになってきてます。
－：そういう意味でも来年に向けて、改善できるところがありますよね。
榎：まだまだ本当に。今回は結果が出ましたけど、まだ良くなる部分が残っていますし、これからが楽しみですね。
ジャスタウェイの榎本優也調教助手のインタビュー(後半)
｢天皇賞当日の気配｣はコチラ⇒
1 | 2
|
