関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

藤原和男調教助手

3歳時から幾度となくピックアップし、その度に記憶に残る走りを見せてくれた名馬が4度目の有馬記念で引退を迎える。競馬ラボとしても思い出は尽きないが、感動のラストランに結果も加えるべく、本年の全国リーディングをひた走る藤原英昭厩舎が総仕上げを敢行中。レース翌日には中山競馬場で引退式も行われるが、まずは藤原和男調教助手のインタビューを読んで、エイシンフラッシュのファンはモチベーションを高めていただきたい。

逃げて惨敗。これも競馬。

-:有馬記念がラストランとなるエイシンフラッシュ(牡6、栗東・藤原英厩舎)についてお伺いします。前走のジャパンカップは10着に終わりましたが、不運なことに逃げる形となってしまったことが大きく影響したように思いました。和男さんはどのようにご覧になられましたか?

藤原和男調教助手::やっぱり、これも競馬だからね……。

-:フラッシュのファンとしては、1頭でも2頭でも前に馬がいて、控える形になっていたらどうだったのかな、という点が気になるところだと思います。

藤:みんな勝ちに行くレースだからね。JCは運がなかった、ただそれだけです。

-:香港へ行くのか、ジャパンカップに出走するのか、という両睨みで、若干調整が遅れていた部分もあるように思います。

藤:いや、いつも順調だけどね。あとは有馬記念への持って行き方やね。人間の気持ちもあるだろうし、ラストランを無事に走らせたいけど、勝てばもちろん最高だしね。

-:その後のことを考えると、まずは無事に帰ってきてほしい、という願いもありますよね。

藤:無事に帰ってくるには、キッチリ仕上げて出走することが大切だと思います。中途半端な状態では出られませんからね。

-:ジャパンカップが終わって、有馬記念に向かうまでの調整は順調ですか?

藤:切り替えは早いですし、順調に調教できていますよ。



自信を持って送るラストラン

-:本日(12/12)行われた1週前追い切りは、中内田(充正)技術調教師が跨ってCWコースで行われましたが、どのような動きでしたか?

藤:思い描いていた通りやね。彼も感覚で分かってくれているし、返ってくる答えも自分の想像と一緒やからね。

-:毎日王冠から天皇賞(秋)、ジャパンカップを経ての秋4戦目ということで、疲れが心配されますが、前走がああいった消化不良のレースだっただけに、激走したというわけではないと思うんです。

藤:見えない疲れはもちろんあると思います。そこをどう調整していくかですね。ジャパンカップもしんどい競馬ではありました。戻すのも大変やし。

-:昨日、エイシンフラッシュの馬体を見せて頂いた時には、丸みを帯びているし、疲れが見て分かるような様子ではありませんでしたが、乗ってみての感触はいかがですか?

藤:今はもう順調ですよ。自信を持って出せる状態です。

-:後はレースで条件さえハマれば、ラストランを飾ってくれると?

藤:そうですね。ドラマを魅せてほしいです。何か持っている馬ですからね。

12/12(木) CWコースで1週前追い切り
6F83.9-66.9-51.6-38.0-12.2秒(馬なり)をマークしたエイシンフラッシュ


フラッシュの経験を次の世代に

-:僕個人としても、あと1週間くらいで、エイシンフラッシュに会えなくなると考えると、悲しさもありますが、逆に言えば、これだけ長い間フラッシュに携わることができた喜びもありますか?

藤:そうですね。彼には教わることばっかりだったね。色々な経験をさせてくれて、学ばせてくれた馬の1頭です。それを次の世代に生かしていければと思います。

-:フラッシュがいたことで、これからの藤原英厩舎のスキルを上げていくということにも繋がりますね。

藤:うん。ごまかしの効かない馬だったしね。

-:ファンが思っているよりも、テンションが高い時は高い馬ですしね。和男さんにとってのフラッシュの思い出や、ここだけの裏話なんかがあれば、教えてもらえますか。

藤:こちらが手を抜くと、それがすぐ馬に伝わってしまうね。「ちょっとしっかり乗れ」って馬に言われているみたいな。でも、こっちがしっかり乗った時は馬も応えてくれるし、それが結果にも繋がっていた。

-:逆に言うと乗り手を選ぶ、頭のいい馬ですね。和男さんは2歳からずっとこの馬を見られていました。

藤:今回も無事にという気持ちもあるし、だからと言って緩く乗るわけにも行かないね。


「理想はその形(2011年の有馬記念)だね。オルフェーヴルとまた当たるのも、何かの縁かもしれないし」


-:では、有馬記念に向けては、引退レースになるけど、調整としては緩めているわけではないという事ですね。

藤:うん。目一杯いってる。中途半端に緩めたほうが、逆に怪我にも繋がってしまうしね。

-:その点からも前回、逃げているだけに、今回も折り合いが課題になって来そうです。

藤:そこは、こっちで色々と作戦を練って、上手い具合に運べるといいね。

-:なるべく内枠に当たって、前に壁を作って、フラッシュの良さである瞬発力を最後に爆発させられたら良いですね。かつて有馬記念で2着になったこともありましたが、その時も前にいたトーセンジョーダンが外に開いて、スペースができてしまい、早めに動かないと行けない状態になりました。その時に負けた相手がオルフェーヴルでしたが、ここでまた対戦することになりましたね。

藤:理想はその形だね。オルフェーヴルとまた当たるのも、何かの縁かもしれないし。

-:オルフェーヴルは凱旋門賞帰りなのに対して、フラッシュは順調に国内を走ってきたという強みを活かしたいですね。

藤:向こうもキッチリ仕上げてくるだろうね。



23日(月)、昼休みは中山競馬場に集合

-:有馬記念翌日に引退式がありますね。エイシンフラッシュのファンの方々には、有馬記念翌日の引退式も見届けてほしいですね。

藤:お昼休みにやります。この世代で、ここまで順調に歩んできた足跡というものを、引退式で伝えられたらな、と思って、色々とやっています。来てもらえれば、より一層フラッシュのことが分かるかなと。

-:フラッシュはダートコースから、芝コースに入って、軽く足慣らし程度に走る感じですよね。

藤:そうそう。4コーナーに行って、お披露目をして。ジョッキーはミルコ(デムーロ騎手)です。あとはその場に来てくれれば、分かるかなと思います。

-:じゃあフラッシュLOVEな人は、中山の昼休みに集合ということですね。

藤:そうやね。色々と、それに込められたものもあるしね。

-:これだけの馬で、ぼくも身近で見させて頂いて、本当に色々な感動を味あわせて頂いたので、最後まで見届けて、中山を後にしたいと思います。有馬記念、最後の一戦になりますけど、まずは無事に、なるべく上位に。そこを目指して頑張ってください。ありがとうございました。

藤:高橋さんも、ファンの皆さんもありがとうございました。是非、レース当日と、引退式は中山競馬場に足を運んでください。これまでありがとうございました。

●ジャパンカップ前・エイシンフラッシュについてのインタビューはコチラ⇒





【藤原 和男】 Kazuo Fujiwara

栗東トレセンでは誰もが知る兄弟の三男。次男が厩舎にも所属している藤原英昭調教師で、長男は加用厩舎で調教助手を務めている。夏村厩舎でこの世界に入り、その後は北橋厩舎に所属してエイシンプレストンの調教を担当。当時の思い出について「あの馬で人生変わったみたいなもの。人との繋がりも増えたし、色んな経験をさせてもらった。悪いところの修正も大事だけど、良いところはドンドン伸ばせることを馬に教わった」と語る。小学生から始めた乗馬のテクニックと、類まれなる経験を生かして名門厩舎の屋台骨を支える。


【高橋 章夫】 Akio Takahashi

1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて17年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。

なお、エイシンフラッシュとは縁が深いことでも知られており、デビュー前は決して評判が高いとはいえなかったエイシンフラッシュを、トレセンでふとした瞬間に見初めた。2歳時から、ここまで取材者として、一ファンとして、注目し続けてきた。

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