関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

平井裕介調教助手

やればやるだけ時計は出る

-:今回のテーマとして、前回のひいらぎ賞は1分34秒台で、若干コンディション的にはソフト目な芝の状態だったんですけど、硬い芝の条件で走るときもパフォーマンスを落とすことはなさそうですか?

平:2歳レコードを出した時のパフォーマンスが凄かったですからね。スピードの出る馬場のほうがいいと思います。

-:両方対応できるっていうところですね。

平:荒れた坂路でも全然苦にしないので。

-:それで、今日(1/3)の1週前追い切りです。

平:普段はいつも僕が乗っているんですが、今日は違う人(東田助手)が乗ったんです。僕が乗ると、もともと時計が出ることは分かっているので、わざと時計が出ない乗り方をしているんですけど、浜中君が乗った時も一番時計でしたし、今日もそれに近い時計だったんじゃないですか。

-:52秒台で。それは狙って最初からその時計ということですか?

平:いや、今日は速くなったんだと思いますよ。終いも流しているだけですからね。想定していたよりも時計が出ていたということです。

-:それでも、そのくらい時計が出てしまうと。

平:ええ。スピードは本当にあるので。


-:2週目の京都ですから、これは合いそうですね。

平:ここは最低でも賞金を加算してほしいですね。最も向いている条件だと思うので。

-:ファンの目線的には、そういうレベルじゃなく、どれだけ千切れるか、というイメージを描いてしまう人もいると思うんです。そして、この馬の将来性については、馬体の成長度合いからしたら、まだまだ伸びしろは感じられますか?

平:まだまだ気性面が子供なんで、そこが。体はちょっとよく分からないですけど、まだしっかりする部分はあると思いますけど、とりあえずまだ気性が子供なので。

-:大舞台に行くまでにその辺の成長を。

平:レースの当日はそうでもないんですけど、まだまだフラフラして走りますからね。多分、あれも遊んでいるからだと思うんですよね。寂しいのもあると思うんですけど。

-:平井助手といえば、JBCに出たクリソライトなども担当されてこられましたが、ミッキーアイルは他の明け3歳馬と比べてどうですか?

平:やっぱり、スピードが違いますね。運動神経が抜群といいますか、こちらが思っている以上に時計も出ますし、走りに関しては相当スピードがあるんだなと感じています。クリソライトはパワータイプですからね。

-:全然違うタイプということですね。

平:クリソライトの時にもインタビューをしていただいて、その時には結果が残せなかったので、今回は残せるといいんですけど。

-:クリソライトも精神的な面でまだまだ成長の余地がありそうですか?

平:当時はクリソライトに携わる各々の流れがあまり良くなかったのでね。能力はある馬なので、これから良くなってくると思うので、じっくり立て直したいと思います。


パドックの大人しさも取り柄

-:明け3歳の世代、とりわけ牡馬については若干物足りないというか、不作の年だと言われることもありますが、ミッキーアイルはその中で大将級の馬だと思います。今後の抱負を教えて下さい。

平:無事に走ってくれれば。能力のある馬なので、結果はついてくると思います。僕ができるのはケガをさせないことと、体のケア。あとは気持ちよく走らせてあげることですね。

-:2走前に京都の未勝利戦を勝った時の印象が強烈でした。今回も同じ京都コースで走ることになります。あの時のパドックの雰囲気はどうでしたか?

平:あの時は同じ厩舎のエルノルテを担当していたので、違う人間が担当していたんです。隣の馬房だったので普段から見ていたんですけど、新馬戦をひと叩きされて、乗っている人も「抜群に良くなっている」と言っていたので、勝つだろうとは思っていましたけど、あんなに強い勝ち方をするとはね。

パドックでは馬主さんが退いたらめちゃくちゃ大人しいんです。京都競馬場は京阪電車が高架を通るようになったので、その音で一回だけ尻っぱねしたみたいですけど、それくらいですかね。パドックは本当に楽ですよ。この間は曳いていたんですけど、片手一本でしたよ。


-:二人曳きで押さえるような馬ではないんですね。あれだけのスピードがありながら、パドックでは落ち着いていると。

平:本当に大人しいもんですね。雰囲気に飲まれるようなこともないです。

-:期待ばかり上げてしまうような感じもありますが、今年一年の活躍を期待しています。

平:今年だけと言わず、二年、三年と頑張ってほしいですね。

-:音無先生も期待されていることと思います。

平:調教師が一番、除外を残念がっていましたからね。でも、ファンの方々が"出ていたら勝っていたかも"と思ってくれるだけで、こちらとしてもモチベーションが上がりますね。

-:その楽しみは先々にとっておきますので、今後ともよろしくお願いします。ありがとうございました。

平:こちらこそよろしくお願いします。

平井裕介調教助手インタビュー(前半)はコチラ⇒

1 | 2


京都芝1600(外)のディープインパクト産駒通算成績(2014/1/6終了時点)
成績 勝率 連対率 複勝率
(10-8-10-52) 12.5% 22.5% 35%
外回りの京都芝1600mの条件はディープインパクト産駒の活躍が目立つ舞台。昨年11月のマイルCSでは、トーセンラーが勝利し、ダノンシャークが3着。年明けの京都金杯でもディープインパクト産駒のワンツー決着と、その勢いを更に増している印象。内外の回りの違いこそあれど、京都マイルで驚異的なレコードタイムを叩き出したミッキーアイルにとっても、もちろん追い風となるデータだ。


【平井 裕介】 Yusuke Hirai

野球が好きだったことにより目を通していたスポーツ紙がきっかけで競馬に興味を持つ。高校時代は馬術部と迷った末に野球部に所属。卒業後は北海道の高村牧場に就職する。牧場の活躍馬は古くはスターマンやマイケルバローズ、現在ではガルボなど。その後はグリーンウッドで働くかたわら、水口の乗馬クラブで馬術を学びJRA厩務員過程へ進学。一昨年は最も厩舎所属が困難な時期であり、1年間はヘルプのピンク帽で8つの厩舎を転々とする。昨年5月、様々な偶然が重なって音無厩舎へと正式に所属。初めて任された担当馬がクリソライトという幸運の持ち主。好きな競走馬は「ザ・ロック」の愛称で名を馳せた、アイルランドのG1・7連勝馬のロックオブジブラルタル。


【高橋 章夫】 Akio Takahashi

1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて18年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。

■公式Twitter