関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

西浦昌一調教助手

かねてから年始3戦目までのローテーションを明言していたホッコータルマエ陣営。その緒戦であるか川崎記念を快勝し、いよいよ迎えるフェブラリーSは最も落とせない一戦といっても過言ではない。悲願の中央G1タイトルへ万全の態勢が報じられているが、追い討ちをかけるべく今回も西浦昌一調教助手を直撃。本音の部分で自信度を語っていただいた。

タルマエにとって東京マイルは!?

-:ホッコータルマエ(牡5、栗東・西浦厩舎)は東京大賞典に続いて川崎記念も連覇しました。おめでとうございます。

西浦昌一調教助手:ありがとうございます。

-:この辺はタルマエの力通りということですね。

西:いいパフォーマンスを見せてくれましたね。今まで取り組んできたことの集大成という部分があり、府中のマイルをこなすこと、(ドバイWCメイダン競馬場のコース)タペタをこなすことのトレーニングを積んできたつもりです。

-:それは具体的にどういうところでしょうか?

西:今まで勝ち切れなかったり、切れ味不足というところがあったので、その点に取り組んだ結果、良い競馬をしてくれるようになったので、さらにそういうところを強化できればと思っています。

-:では、より弾けるタルマエを期待したいですね。ということは、昨年惜しくも1番人気で3着になったジャパンカップダートの雪辱を十分期待できるということですね。

西:そのつもりで今までやってきたので楽しみにしています。


-:1800mのJCダートと今回は流れが違うと思うのですが、タルマエにとって府中の1600mはマイナス条件になりますか?

西:無いと思いますよ。芝スタートを経験してますし、右回り左回りのこだわりもないので。問題はポジションがどうなるのか、というぐらいですかね。

-:若干早めに先頭立ちすぎるよりは、我慢して……。

西:叩き合いにもっていきたいと考えています。

-:もしくは流れた上でちょっと後ろから差し切って、そのままゴールというのがベストなわけですね。おそらく1番人気になると思うのですが、相手関係考えるとJCダートで負けたベルシャザール、ニホンピロアワーズ、ワンダーアキュートがいます。

西:みんな強いですが、自分の競馬に徹してくれたら、結果はついてくるかなと。


「まずは中央G1のタイトルが目標ですから、早く決めたいですね。それにこれから大きな目標を抱えていますからね。期待しています」


-:タルマエの競馬は先行して抜け出す形で、ファンもそれを臨んでいるのかと思いますが、府中のマイルだとちょっと差す傾向になると考えていいですか。

西:1400mを使ってくる先行馬がいたり、周りが速いので、番手にはこだわらず出たなりで競馬できるはずです。

-:ということは、1800m使っている時より、若干ポジションが下がっていたとしても……。

西:問題ありませんね。

-:問題はないし、今まで取り組んできた切れ味を出すための取り組みが、府中の直線でどれだけ弾けるのかを見たい人は、楽しみが1つ増えますね(笑)。

西:存分に発揮してほしいですね。

-:では、何の不安もなく中央G1という悲願のタイトルを。

西:はい。まずはそれが目標ですから、早く決めたいですね。それにこれから大きな目標を抱えていますからね。期待しています。


JCダートからさらに進化中

-:この後の海外遠征へ向けても、幸先良く国内最終戦で決めたいですね。昨日(2/12)、坂路での併せ馬でしたが、今週の動きはどうでしたか?

西:意図的に先導馬の真後ろに2ハロン入れて、外に出してみて、セーブしてから手前を替えました。“しっかりと強目程度までならOK”というメニューで、反応を確かめる程度の予定でした。敏感になっているので、ちょっと動き過ぎ感はありましたけど、これだけ動けるんだ、という状態を見せてくれてホッとしています。

-:つまり、馬の後ろから出して、GOサイン出す時までの手応えはガッチリ合ったわけですね。手綱緩めるだけでスッと反応してくれて、まさに弾ける馬の走りと。

西:指示を待ってくれて、指示を出すとグンと動いてくれて、抜群に良かったと思います。

-:それを府中の直線で見せれられるかどうか、というのも楽しみですね。

西:来週もそんな感じでジョッキーに感触を確かめてもらう程度でしょうか。


-:この馬は、東京大賞典と川崎記念連覇していますが、馬体重の変化は川崎記念からどういう感じで変わっていきそうですか。

西:川崎記念は506キロで、±ゼロ程度でおさまっているはずです。ここから1週間あるので、余程のことがなければ、減ることもないと思います。

-:逆に減っていても、目一杯仕上げているつもりではないと。

西:仕上げ感で色はつけるつもりですけど、そこまでダメージ食らう馬ではないので、何の心配もしていません。

-:今回のフェブラリーSといのは、JCダート時と比べても遜色ない仕上がりでしょうか?

西:いやいや、一走ごとにパワーアップしているので、どこが本当の完成形なのかわかりません。JCダート時から2回使っているので、その分の進化もありますしね。

-:では、圧倒的人気に応えてくれますね。

西:圧倒的人気になります?(JRA賞)最優秀ダート馬ではないのに。

-:なりますよ(笑)!

西:「胸を借りるつもりで」と調教師が言ってました。

-:(最優秀ダート馬になるためには)中央のタイトルだけの評価というのもありますしね。今年はタルマエも中央で暴れてもらいたいです。幸先の良いスタートとして、フェブラリーSは期待していますので、頑張ってください。

●西浦勝一厩舎・西浦昌一調教助手インタビュー(後半)はコチラ⇒

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●川崎記念前・ホッコータルマエについてのインタビューはコチラ⇒




【西浦 昌一】Syoichi Nishiura

昭和49年生まれ。西浦勝一調教師の3人兄弟の長男。当初はこの世界に入るつもりはなく、東京の大学に進学するつもりだったが「早く一人前になりたい」という思いから止まることに。当時はまだ西浦師の騎手時代で、父の思い出の馬を尋ねると「カツラギエースの時は小学校5年生くらいで、社宅の周りで自転車レースしていたんです。みんなおめでとうおめでとうって言って、何がおめでとうなんだろうなと。うちのオカンは騒いでるわで、凄いレース勝ったんだ位にしか思わなかった」と。

当初に所属したのは解散した星川厩舎で「当時ジョッキーだった本田さんと仲が良かったので、頼んだら入れてくれたという感じ。可愛がってもらえて、サンライズ系とか外車、サンデーなど走る馬ばっかりやらせてもらってました」。西浦厩舎は開業して1年後から15年間所属しており、現在は持ち乗り助手として活躍。毎日馬に接する時のモットーは「一緒に気持ちを分かってあげる、仲良くしているんだけど少しだけ優位に立っておきたい」。同世代に元騎手の飯田祐史技術調教師などがいる。


【高橋 章夫】 Akio Takahashi

1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて17年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。

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