関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

桑村光史調教助手

一昨年にジェンティルドンナで制すなど、桜花賞の常連とも言える石坂正厩舎だが、今年駒を進めてきたのは伏兵扱いのリラヴァティ。しかし、3戦目からは常に人気よりも走って来ており、大舞台を知り尽くす陣営だけに、やはり侮れない存在だ。ジェンティルと同期で、桜花賞出走経験があるエピセアロームも担当する桑村光史調教助手に、本番好走のポイントを聞かせてもらった。

逃げなくても自在に立ち回れる馬

-:リラヴァティ(牝3、栗東・石坂厩舎)についてお話を伺っていきます。今年の初戦はフェアリーSでしたが、当時は馬体がやや萎んでいたようにも見えました。いかがでしたか?

桑村光史調教助手:輸送もあって8キロ減りましたが、使った後は問題ありませんでした。

-:続くチューリップ賞では丸みがあってフックラしていたので、回復力が凄い馬なのかなと思いましたよ。

桑:飼い葉はよく食べますのでね。また、成長期でもありますから、それで上手くいっているのかもしれませんね。

-:では、それ以降は体重の変動はなさそうですか。

桑:今日(4/3)も体重を量った中で、数字はそれほど変わってませんね。ただ、冬毛も抜けて、今のほうがよく見えるような気はしますけどね。

-:チューリップ賞は逃げて3着でした。レース内容を考えると、もう少しタメていってもいいタイプでしょうか?

桑:そうですね。あの馬は自在なので、調教師と騎手が考えて作戦を考えるのではないでしょうか。

-:本番では内の馬場が悪くなってきますよね。

桑:そういう意味では逃げたら損かもしれませんね。

-:この馬だったら、それほど先行せずに控えていっても、終いの脚を使えるイメージが浮かびましたが、桑村さんから見て、リラヴァティの適応能力についてはどう思われていますか?

桑:あると思います。何でもできると思いますよ。



-:自在の馬だけに、一番能力を出せる状況がピンポイントで見極めにくいじゃないですか。その辺りについてはいかがですか?

桑:枠次第じゃないですか。僕は基本的に、レースの作戦とか希望は特にないんですけど、やっぱり枠でポジションが決まると思いますね。

-:今回の理想は真ん中くらいでしょうか?

桑:その辺りが、桜花賞でよく勝っている枠だと思いますね。内枠はやっぱり……。この時期は馬場が悪くなるので、そこをずっと通るわけにはいきませんね。

-:阪神のマイルで、どの枠に入っても色々なプランが立てられると。

桑:ただ、常識的に内枠は苦しいんじゃないですかね。桜花賞って、内枠の馬はあまり来ないでしょ?

-:その通りですね。ただ、昨年勝ったアユサンなどは、ずっと外々にいるわけでもなくて、道中は内で脚をタメておいて、直線で良いところに出すレース展開でした。リラヴァティもそれほどクセのない馬ですし、内ラチを頼るようなタイプでもないですから、コントロールも利きそうですよね。直線で馬場の良いところを選んで出せそうな気がします。

桑:ぜひ、そうなってほしいですね。

ヤル気の塊。一戦毎にグングンと成長

-:前走と比べて、コンディションの変化はありますか?

桑:状態面は問題なくきています。体調も良いんでしょうけど、馬が本当に成長している感じがしますよ。

-:前走の着順以上のモノを秘めている可能性はありそうですか?

桑:元々、成長の余地が大きい馬だと思っていたのでね。実際に昨夏から使い出して、一戦一戦強くなってくれている気がするので、楽しみを持って桜花賞に出せると思っています。

-:夏からの成長を一番に感じられる面はどこでしょうか?

桑:肉体面でいえば、やっぱり力が強くなったかなと思います。幅も出ましたしね。精神面では、どちらかと言えばいつも元気の良い、ヤル気の塊のような馬なので、精神面はそれほど変わってないですね。

-:ヤル気の塊ということは、長い距離だと引っかかることもありますか?

桑:そういう面はないんです。ただ、いつもヤル気はあります。走らせると素直なんです。

-:ポジションを出して行っても引っかからないし、乗りやすさは十分ですね。

桑:あると思いますけど、すぐに変わっていくんでね。馬って。



-:牝馬特有の難しさもある時期じゃないですか。

桑:本番まであと10日ほどありますが、歯変わりもあるだろうし、突然フケが来る可能性もありますし。この時期特有の熱を出すかもしれないし、傷が腫れやすい時期でもあります。

-:フレグモーネになりやすいんですね。

桑:本当に、注意しながら当日までいかないとな、と思っています。

-:この馬の特徴として、牝馬特有のカリカリした面があまりないのかなと思っています。エサを食べなくなったりしませんか?

桑:エサは食べるんですけど、牝馬らしい牝馬ですよ。

-:扱いは難しくないですか?

桑:僕は牝馬が好きだから、そうは思わないんですよね。

-:エピセアロームなども担当されていますよね。

桑:エピに限らず、牝馬は好きですね。なので、「牝馬特有の難しさ」と言われても、あまり実感がないんです。

-:桑村さんの、牝馬を扱うコツはありますか?

桑:感覚です。ただ好きなだけです。好きだから懐いてくれるんじゃないですか?リラヴァティも可愛いですからね。エピも可愛いと思うし。

-:出会った頃よりだいぶ成長して、まさに変わってきているところですね。

桑:ホント、そんな感じです。まだ子供みたいですけど、その中でも成長しているなあと感じます。



パドックの雰囲気と希望する枠順

-:大舞台の人が多いパドックでも心配ありませんか?あの雰囲気は、どの馬にとっても可哀想な面もありますね。

桑:うーん、不安です(笑)。でも、自分で頑張って獲った桜花賞の切符ですから、堂々と歩いてほしいなと思っていますけどね。

-:ファンは、パドックで歩く姿で馬券を選んだりしますけど、どういう風に歩けていたら問題ないでしょうか?

桑:多分、チャカチャカするとは思います。極端なイレ込みで、見るからにアカンわというのではなかったら、大丈夫だとは思います。

-:馬装に関しての変更はありますか?

桑:ないですね。チューリップ賞のままです。

-:馬体重に関してはどうですか?

桑:ちょっと減るかもしれないですが、ほぼ変わらないと思います。丸みはあると思いますから、ぜひ立ち写真を見てほしいですね。

-:最後に応援してくれるファンにメッセージをお願いします。

桑:いつも一生懸命頑張ってくれる馬なので、応援してあげてください。

-:ありがとうございました。


【桑村 光史】Koji Kuwamura

昭和48年生まれ。親族に競馬関係者はいなかったが、動物好きという理由でこの業界を選ぶ。一番最初に見た競馬はアイネスフウジンが勝った日本ダービーで、高校時代に有馬記念のオグリキャップに魅せられた記憶があるという。解散した福永甲厩舎からトレセン生活をスタートし、現在所属する石坂厩舎は2厩舎目。桜花賞に挑戦するリラヴァティの他にエピセアロームを担当しており、自ら牝馬好きであることを公言している。


【高橋 章夫】 Akio Takahashi

1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて17年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。

■公式Twitter