【POG】今年はクラシック戦線にも高額馬をスタンバイ！
2015/6/28(日)
焦らず、じっくりと…… 概ね秋からの始動
－：庄野先生といえば、セレクトセールなどでも、精力的に若い馬主さんと動いていらっしゃいますね。
庄野靖志調教師：セールは好きですが、自分の勉強のためですから。馬主さんは馬主さんで、自分たちで馬をよく見て選んでくれています。
－：先生は馬主さんが購入されて預かる馬以外も、自らチェックされていますか？
庄：中には自分で「これはいいんじゃないですか」という話もさせてもらう馬もいますが、馬主さんが気に入ってもらえたら、買ってもらえる、という話にもなりますからね。
－：それは血統的な背景と値段が見合っているというところが、先生のおすすめできるポイントになるのですか？
庄：セールって競い合って値段が上がっていくからね。なかなか値段は難しいですが、馬主さんも“だいたい予算はこのくらい”というのを自分で決めているところもあるので、それに見合ったものであって、やっぱりそれなりの成績を出せる馬を選べたらいいなと思いながらですね。
－：そういう意味では、いま結果が出ている種馬と牝馬の組み合わせとかというのは、値段が必然的に高くなるわけですから、次のムーブメントを読むというところが求められるというか、それが値段以上の活躍と思います。そこがセレクトセールの一番の難しさかなと思います。
庄：難しいですよね。セレクトセールって基本的に高くなるのでね。
－：ということで、今年の2歳。まず、今の進行具合を教えてください。天候や雪の影響があると思いますが、仕上がりはいかがですか？
庄：あまり目立って急げる馬もいないかと思っているのです。去年は割と夏前くらいからスワーヴジョージやドルメロ、グランカマラードなど、あのあたりがみな新馬勝ちしてくれているので、割と夏前くらいから早めに動き出していました。その点、今年はスローといいますか……。
- クロスアンジュ
- 牝、栗東・庄野、キンシャサノキセキ×マンハッタン
－：去年と比べると遅めな中で、オススメを挙げていただけると。
庄：そんな中で何から行こうか……。早めに動き出せそうなのでクロスアンジュ(牝、父キンシャサノキセキ、母マンハッタン)。これもセレクトセールで買っていただいた馬で、馬主さんと一緒に見ていて何頭かいるうちから、牝馬ですが、値段的にも馬は悪くなかったので「これがいいんじゃないですか」という話で。
－：キンシャサノキセキといえば、フジキセキの後継というか、より短距離シフトした成績だったと思いますが、馬自体はどうですか？
庄：キンシャサ自体は確かに短いような感じですが、産駒だけ見ていると、そんなに偏った感じはないかなと。馬も綺麗で見栄えのする馬が多いですし、特に短距離しか持たないという馬はいないかな。クロスアンジュも短いところだけという感じはしないですね。
－：クロスアンジュといえばクロスクリーガーの辻さんの馬ですか？
庄：半持ちで、勝負服は吉田勝利さんです。
－：これも楽しみなスピードがあるタイプでしょうか？
庄：現段階では強く強調できる感じではないですが、仕上がりは早いと思いますので、うまくいったら中京くらいでデビューできたらいいかなと。
－：マイルくらいまでなら行けそうな目論見ですね。もう1頭、早そうなのを教えていただけますか？
庄：いない(笑)。早そうなのがいないので。
目玉は超高額馬の新種牡馬産駒
－：ハハハ(笑)。では、期待馬は？
庄：まずはメイキアシーの2013(牡、父ヴィクトワールピサ)を挙げたいです。
－：おお。新種牡馬ですね。ヴィクトワールピサ自体は若干マッチョな、芝馬にしては筋肉量が多く、骨量が多い大型馬でした。産駒はどうですか？
庄：ざっと見た感じはヴィクトワールってネオ(ユニヴァース)ですが、それでいて、ネオっぽくないですよね。ヴィクトワールもどちらかというとネオユニヴァースの産駒という感じではなかったですからね。産駒も総じていい馬が多いですよ。見栄えのする馬が多いですね。
－：肝心の走りはどうですか？
庄：やっぱりいいと思います。大物感があるし、雰囲気もいいです。今はまだ社台ファームさんで乗ってもらっていますが、動きもいいと言われていますし。秋ぐらいにデビューできればいいなと思っています。これは本当に大物感があっていいですよ。芝で走れる軽さもありますね。
セレクトセールで億超えの価格をつけたメイキアシーの2013
－：やっぱり500キロクラスの大型馬ですか？
庄：そうですね。500前後くらいかなあ。初年度産駒という楽しみもありますね。他にはスコアズビーの2013(牡、父ハーツクライ)。馬主はヒダカブリーダーズユニオンさんです。これはユニオンさんからお話をいただいて、預からせてもらうことになったのですが、気性はけっこうキツそうですね。しかし、馬体的には「これぞハーツクライ」という感じですね。
－：ハーツクライって2歳の時は殆ど白紙状態の馬体で徐々に成長していって、4歳くらいでもう1回バンっとくるっていう、成長力の宝庫みたいな血統ですね。
庄：ええ、ハークライ自身がそうだったし。古馬になって活躍する成長力のある血統ですね。スコアズビー自体も、ハーツクライらしい感じはする。けっこう体力があるみたいですよ。ヤンチャな面はあるみたいですが。
－：乗り手をてこずらすくらいの体力があるってことですね。これは秋目標ですか？
庄：そうですね。全部、秋が目標です。
－：楽しみじゃないですか。
庄：これも1歳の時からずっと雰囲気が良かったですし、良い馬ですよ。
－：大きさ的にはどれくらいですか？
庄：500キロ切るくらいかな。
－：じゃあ、ジャスタウェイというよりはウインバリアシオンという感じの。
庄：そこまで巨大にはならないと思いますが。
－：気性に関しては、そこまでおとなしさを求めなくてもいいですね。
庄：どちらかと言ったら、ハーツは激しいくらいの方がいいかもしれないですね。それが良い方に向くか向かないか、ですね。
- メイキアシーの2013
- 牡、ヴィクトワールピサ×メイキアシー
－：もう1頭期待馬をお願いします。
庄：あとは、フェスタデルドンナの2013(牡、父マンハッタンカフェ)。こちらも大きな馬でね。500を超えると思います。凄く迫力のある力強い感じですね。距離も長いところかと見ていましたが、育成が始まってから、もしかしたら短いところでもいけるかも知れないというくらい前向きさが出てきたので、楽しみな1頭ですよ。これは社台レースホースです。
－：マンハッタンはイメージよりも、早めから走ってくる馬は走ってきますからね。
庄：ただ、やっぱり総じて緩いところから始まるので、だんだん年齢重ねて良くなっていく馬が多いですが、この仔は馬格もしっかりしていて、良いですね。
－：黒くて見栄えがするタイプですか？
庄：そうですね。いかにもマンハッタンって感じですね。黒光りしていますよ。
－：マンハッタンの良いところって、500キロを超えても重苦しさがないといいますか、シャープさがあるところですよね。
庄：そうですね。それでいて、背腰がパンとしてくると、ホントに走る馬が多いから。これは楽しみですね。
－：大当たりの可能性もありますか？
庄：ありますね。
POG・庄野靖志調教師インタビュー(後半)
「クロスクリーガーの成功は馬主サイドのお陰」はコチラ⇒
1 | 2
- フェスタデルドンナの2013
- 牡、マンハッタンカフェ×フェスタデルドンナ
プロフィール
【庄野 靖志】Yasushi Syouno
少年時代は馬生産を志して、日本大学獣医学部に進学するも、調教師に目標を改め、JRA厩務員過程より段階を踏んで厩舎開業。開業2年目にホクトスルタンで目黒記念を制し、重賞初制覇を挙げると、2010年のJBCスプリントをサマーウインドでGⅠ(JpnⅠ)初制覇。実家が北海道、門別の庄野牧場という、ホースマンのサラブレッドというべき、家庭環境で育った。
1970年北海道出身。
2006年に調教師免許を取得。
2007年に厩舎開業。
初出走：
07年3月4日1回中京2日目11R マチカネオーラ
初勝利：
07年6月2日3回東京5日目4R ハリーコマンド
【高橋 章夫】 Akio Takahashi
1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて18年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。
■公式Twitter
@aklab0328さんをフォロー
