今年7歳を迎え、普通であれば引退していても不思議でない年齢に達したクラレント。しかしながら、多くのGIホースを相手に善戦を続け、進化は止まらない。6つの重賞タイトルを手にしたが、未だに金色に輝くGIは未冠。昨年同様、秋の始動戦は毎日王冠を選択。得意の左回り、得意の府中で更なる重賞戴冠、そして、悲願のGI制覇へ橋口慎介調教師に意気込みを語って頂いた。

歳を重ね精神的な落ち着き 適距離の毎日王冠へ

-:毎日王冠(G2)に出走するクラレント(牡7、栗東・橋口慎厩舎)ですが、大得意の東京が舞台になりますが、中間の状態はいかがでしょう。

橋口慎介調教師:前走の後は大山ヒルズへリフレッシュ放牧に出して、向こうで夏を過ごし、約1カ月前に戻って来ました。すごく良い状態で帰ってきて、そこからも順調に追い切りをこなして、追い切る度に良くなってきましたね。

-:しっかり追えている状態ですか。

橋:結構、ビッシリやっています。この間も馬場で併せ馬をして、併せた相手より良い動きでしたよ。馬ナリで引っ張ったままゴール板まで行って、そこからまた追ったのですが、そしたらビュッと伸びて。

橋口慎介調教師

クラレントの更なる戴冠へ意気込みを語る橋口慎介調教師


-:休み前と比べて、目に付いた変化はいかがでしょうか。

橋:その前も状態としては良かったのですが、今回は落ち着きがある感じはしますね。

-:年齢を重ねて、精神的にも大人になったと。

橋:そうですね。それでも、ちょっとヤンチャをする時がありますね。前は、500の角馬場でハッキング(ゆっくりとしたキャンター)をやったらすごく気負っていたので、乗っている方も大変だったのですが、それが落ち着いて楽に乗れるようになったりだとか、調教の出来る幅も広がりました。

-:幅というのは、強めに追える本数が増えたというですか。

橋:コースでやれるようになりましたね。

-:実際、距離的に前回より延びますね。このレースは3着があるので適性はあるとは思うのですが、その辺りはいかがですか?

橋:最近は特にズブくなってきているので、1800mはむしろ良いんじゃないかと思っています。


「ちょっと太いなと思って連れていっても、当日になったらすごく仕上がっていたりとか、あんまり大きく調子の変動がないといいますか」


-:今なら1800mが向いていて、ベストな条件ですね。

橋:そうですね。最近のズブさとかを考えたら、一番良いんじゃないかなと思いますね。東京がベストなのも間違いないですからね。

-:馬場に関してはいかがですか。結構重くなっても対応出来そうですか。

橋:あんまり悪くなり過ぎるとダメですが、良いに越したことはないですね。

-:中間は夏から少し休んで、何か牧場で以前と変わったことはありますか?

橋:いや、牧場での過ごし方は普段通りといいますか、いつもと同じような過ごし方だったと思います。その辺は牧場に任せてあります。

-:東京な得意と言うだけあって何度も行っているので心配ないと思いますが輸送面はいかがでしょう。

橋:全然、大丈夫です。

-:元々は細かいことやちょっとしたことを気にする部分などは。

橋:でも、あの馬は輸送をした時、その日のカイバは食べるのですが、当日は自分で体をつくるといいますか、全然食べなくなるんですよ。でも、競馬が終わったらすぐに食べるようになるんですよね。

-:イメージとしては、自分で仕上げるという感じですか?

橋:はい。だから、ちょっと太いなと思って連れていっても、当日になったらすごく仕上がっていたりとか、あんまり大きく調子の変動がないといいますか。

-:競馬を理解しているという事なんですね。小牧騎手は安田記念に続いての連続騎乗ですね。この後のプランを教えて下さい。

橋:天皇賞・秋です。その後は未定ですが、マイルCSに行くか、どこか他に行くか……。

橋口慎介調教師

14年の京王杯AH以来の勝利が期待されるクラレント

秋の大目標天皇賞秋へ 持ち味を活かしたレース

-:現時点での第一目標は天皇賞・秋ということですね。間隔的には中2週になりますが、間隔についてはいかがでしょう。

橋:この馬は、中2週での成績も良いし、去年も同じローテーションで、天皇賞(秋)でもすごく良いレースをしてくれたので、その辺りは心配していないです。

-:馬によっては、レースを使う毎に変わってくるタイプがいると思うのですが、クラレントは、万全の状態で毎日王冠を迎えて、さらにそこからまた良くなるタイプですか?

橋:あの馬は競馬を使って良くなるタイプですね。

-:そこは、先生が調教をされている上で、イメージを持たれていると。

橋:そうですね。それを考慮に入れてやっています。


「一番はやっぱりコース適性ですよね。左回りの東京では大体安定して走ってくれる」


-:今年の天皇賞・秋はなかなか強いメンバーになりそうですね。クラレントは幅のあるレースが出来るタイプだと思いますが、先生が理想とするレースを教えて下さい。

橋:やっぱり前々で粘り込むような競馬が一番合っていると思います。逃げても競馬が出来ますしね。

-:(昨年の)天皇賞・秋では逃げましたね。あのレースはクラレントの持ち味が出たレースでしたね。

橋:そうですね。あれは本当に良いレースでしたね。

-:それ以外に、先生の中でのクラレントの強みを聞かせて下さい。

橋:一番はやっぱりコース適性ですよね。左回りの東京では大体安定して走ってくれるので。あとは、使って良くなってくれる馬なので、今度1回叩いて状態も良くなるでしょうし、それで仕上げやすいといいますか。

-:中間に関しての調教や調整は、理想のままに持っていけるということで。

橋:はい。特に難しい事はせずに調整出来ると思います。

橋口慎介調教師

-:最後ですが、ファンに向けてクラレントの見どころを教えて下さい。

橋:去年の毎日王冠は、前が詰まってあんまり上手くレースが出来なかったのですが、何とかスムーズに走ってくれたら結果も出ると思います。天皇賞(秋)は去年も頑張ってくれましたし、今秋の最大目標は天皇賞・秋なので、そこで何とか良いレースが出来るように頑張りますので、応援よろしくお願いします。

-:ありがとうございました。