重賞で4戦連続連対中のゼーヴィントが、得意の福島で2つ目の重賞タイトルを奪いに行く。前走のAJCC2着後に脚部不安が出て大阪杯への参戦予定を取りやめたが、七夕賞に目標を切り替えてからの調整は予定通り。昨年7月にラジオNIKKEI賞で初重賞制覇を飾り、その後も強敵相手に互角の戦いを繰り広げてきた。今後の飛躍が期待される馬への手応えを、木村哲也調教師に聞いた。

素晴らしいバネ+高い操作性「騎手も自信を持って乗れる馬」

-:七夕賞(G3)ゼーヴィント(牡4、美浦・木村厩舎)ですけども、まずは前走のAJCC(2着)のレースを振り返っていただけますか?

木村哲也調教師:上手いこと立ち回ってくれたんですけど、それ以上に勝ち馬(タンタアレグリア)に上手く乗られてしまったなと思っていますけどね。

木村哲也

▲3角からマクって2着と中身の濃い一戦だった

-:レース後の馬の状態はいかがでしたか?

木:ちょっと前脚に不安なところが出たので、春のローテーションを白紙にして、体調の回復に努めてきたというところですかね。

-:当初は大阪杯を予定されていたということですが?

木:そうですね。

-:その辺りも含めて、AJCC後の中間の過ごし方を教えていただけますでしょうか?

木:ノーザンファーム天栄の方に移動しまして、ずっとそこで体調を整えて、今から3週間前ぐらいに美浦の方に戻してきまして、厩舎の方で管理しているというところですね。

-:この中間は坂路、ウッドを取り交ぜて調教されていると思いますけど、まずは今週行われた1週前追い切りの動きと評価をお願いできますか?

木:レース間隔がかなり空いているので、フィジカルもメンタルもちょっとノンビリしているところがあったので、1週間前でちょっとピッチを上げていきたかったというのがありました。稽古をシッカリ走ってくれる馬に誘導してもらって、追い切りをしたという感じなんですけどね。

木村哲也

▲奥を走るのがゼーヴィント。追走スタートからきっちり併入

-:動きの評価というのは?

木:先ほど申し上げたように、久しぶりの部分もあったので、まだちょっと体を持て余しているところはありました。それも分かってプランを立てたので、そういう意味では想定通りだし、逆にプラン通りやれたかと思っていますけどね。

-:この後、馬が無事だったらという前提だと思いますけど、現時点で来週の予定だとかはどのようにお考えですか?

木:昨日の今日で、まだ何とも言えないのですが、特に週末にかけて馬をチェックして、来週どういう風な形で最終追い切りをやるかというのは、馬を見ながらスタッフと相談しながらということになると思います。

-:今回の七夕賞の舞台が福島の2000mということで、2走前の福島記念(2着)でも走っている舞台ではあると思いますけど、この条件に関してのゼーヴィントの適性はどのようにお考えになられていますか?

木:個人的には左回りがダメとか、東京競馬場がダメとかいう風には全く思っていないんです。何と言うか、たまたま使っているタイミングが右回りであったり、中山あるいは福島だったりであって、数字的には結果を出しているという感じもあるから不安もないし、言い訳の利かないコース形態ではあるかなと思っています。

木村哲也

▲ちょうど1年前、ラジオNIKKEI賞で重賞初制覇

-:明け4歳のゼーヴィントですが、現状での長所、短所を先生はどのようにご覧になられていますか?

木:走りに対して基本的には前向きなところがあって、素晴らしいバネを持っている馬です。レースに行った時には、騎手の指示に対してはすごく従順なので、多分騎手も気に入ってくれているんじゃないかと思っているんです。そういう意味では逆に、どの騎手にとっても自信を持って乗れる、安心感のある操作性の高い馬なんじゃないかなと思っていますけどね。

-:さらに、こういうところが直ってきたら良くなってくるだろうなという、期待する面だとかはありますか?

木:いやいや、もう十分に馬はその都度、その都度ハイパフォーマンスをしてくれているんじゃないかなと思います。相手関係だとか展開だとかで勝ちあぐねている部分もあるし、当然その裏には私どもの管理の届かないところもあるので、何とか彼をサポートしていきたい気ではいるんですけどね。

-:最後に、今回の七夕賞への意気込みを聞かせて下さい。

木:実績のある部類に入ってくると思うので、久しぶりですけど、当然期待される形での出走になると思うので、何とかそういう期待に応えたいなと思っています。あと10日間あるので、シッカリ馬を見て仕上げていきたいなと思います。

-:ありがとうございました。