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大井で勝って来年ドバイで雪辱へ

-:富岡さん自身にとって、G1は格別でしたか?

富:本当に、それは興奮しましたね……。まさか勝てるとも思っていなかったし。

-:しかも、年末に馬運車に乗って遠くまで行って。

富:本当にね。今年も無事に行けば、そうなるとは思うのですがね。

-:今年はJBC(クラシック)、チャンピオンズC、東京大賞典という感じですか。

富:正直な話、僕の意見としては、早い内にどちらかを勝って欲しいんですよね。難しいことだけど、そうすると休ませられるじゃないですか。それで、また来年ドバイに行きたいなと。今年は思うような状態で送り出せなかったので……。G1をあと1個勝てば、絶対に勝ったら選ばれるだろうし。勝たなくても選ばれるかもしれないですけど、主催者のサジ加減が分からないじゃないですか。

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▲今春はドバイ遠征も敢行 「リベンジしたい」と富岡助手も語る

-:今でこそ言えますが、前に仁川ステークスで1回乗った小牧さんが「脚元は大丈夫かな」という話をされていたのですが、そういう心配はないですか?

富:あの時は本当に成長していて、体が追い付いていかなかったというのもあると思います。そんなことを言っていましたか。ただ、あのレースの勝ち方が一番強いなと思ったんですよ。今でも言うのだけど、この馬の一番良かったレース、一番この馬が走ると思ったのが、あのレースでしたね。本当に相撲取りだったら横綱みたいに押し切って、スピードでも圧倒していたし、パワーでももちろんそうだけど、“コイツ、走るわ”とつくづくあの時は思いましたね。そして、もう今は大丈夫ですね。確かにその2~3走前も、勝って上がってきたら、歩様が硬い兆候もあったんですよね。ただ、見付けられなくて、原因が分かれば治る箇所だったので。

-:当時(2着の)ドコフクカゼも決して楽な相手ではなかったのに、アッサリ退けましたよね。

富:ええ、あれは走ると思っていましたけど。

-:ブラジルC(8着)の敗因というのは、いま思うと、どう感じられますか?

富:(戸崎)圭太が乗って、ハミを取らずに終わってしまいましたね……。あの時は休み明け2走目で2走ボケというか。今回も2走目ではありますが、今はそんなこともないかな。だから、今の段階でもボケないように、ちょっと気合いは付けているのですがね。あの時は別にどこが悪いとかは全くなかったです。あの時は勝ったミツバにまんまと展開やられましが、時計的には走っていない訳じゃないです。ただ、結果はあんな結果で、時計を見たら別にそうでもなくて、普通にそれなりに走っていましたね。今でも何とも言えないですけどね。

「(外枠)そういう時の方が勝っているんだよね。普通ならロスがあるのに。そういうところはコイツの強さでしょうね。かと言って、内の方ではあんまり良い結果が残っていない」


-:帝王賞(5着)は遠征帰りの影響もありましたか?

富:パクさんもそう言っていたのだけど、それだけじゃないと思うんだよ。結局使っている馬がワンツーでしょ。あとは休み明けでしょ?それは使っている方が強いですよね。動けるもん。特に大型馬なんて、なんぼ(調教を)やっているって言ったって、あの時もピリッとしなかった。やっていたのはやっていたのに。

-:休み明けというよりは臨戦過程ですね。

富:そうですね。コイツももともと外車(外国産馬)だし、飛行機なんかにも慣れているだろうし、大人しかったですよ。

-:けっこう大型な馬で調整の難しさはないですか?

富:今のところは大丈夫ですね。けっこう太りやすいのだけど、輸送をしちゃうと減っちゃうんですよね。意外と気が小さいんですよ。だから、この間は1800だし、故意に減らすつもりでやりました。太かったら動けないじゃないですか。そういうイメージを持って、つくって行ったのですが、意外や-4キロで、“これだったら良いわ”くらいしか考えてなくて、まさか勝つとは思っていなくて“これやったらちょうど良いや”と。だから、体重に関してはあまり気にしないで、単純に10キロくらい、逆に輸送を計算しないといけないので。今日(10/18)量ったら、今でも578ありますから、それ以上増やさないようにはしていますけどね。当日は良くても+2くらいで、同じような体重では出せるんじゃないかなと。

-:ある程度。外枠の方が良いタイプですか?

富:この間も新聞記者さんに言われたけど、そういう時の方が勝っているんだよね。普通ならロスがあるのに。そういうところはコイツの強さでしょうね。かと言って、内の方ではあんまり良い結果が残っていない。

-:気性的に内で揉まれた時の弱さはないと。

富:特にそういうことはないと思いますけどね。

大型馬特有の性格「けっこう怖がり」

-:この秋は大井で2回使える可能性がある訳で。

富:このまま無事に行って、頑張ってもらわないと。

-:金曜日開催ですけど、日曜日に最終追い切りという感じですか。

富:そこは調教師が決めますね。考えているはずよ。

-:普段の性格はどんな子ですか。

富:ビビリで気がちっちゃいんです。それは大型馬特有なんですよ。

-:そんなにビビリなんですか。

富:けっこう怖がりですよ。さっきも運動をしていたら、何が怖いのか、暗い時のバイクの光をムッチャ怖がるんですよ。異常に敏感ですね。

-:ダートの交流だと、そこら中に光がありますが、そういうのは大丈夫なんですか?

富:そういう時は大したことないね。意味が分からない。何で怖がっているのかも分からない(笑)。

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-:ダート馬というのは前脚が発達している印象がありますけども、これだけお尻も付いてくるとスゴイですよね。

富:すごいね。だから、走るんだろうけど。もともと、最初からは僕やっていなくて、2~3走後にたまたま回ってきて、本当に背はこれくらいあったけど、幅が全くなくて、現に520~530しかなかったのです。今は競馬で560超えとか、結局30キロ近く筋肉が付いたということでしょ。ちょうど3連勝した時くらいから、見る見る良くなってきて、腹がボテッとしている訳でもないのに絶対にプラス体重で、やっぱり筋肉なんだろうな。別に何かをした訳でもないのだけど、馬が成長していったんだよね。

-:けっこう大型馬って、小回りのダートを回るのに苦労しますけど、何かそういう感じがしないのですが。

富:この間の競馬を観ていたら、意外とそういう感じではなかったですね。僕も一番気にしていたのは、距離が短くなるのと、小回りだったんですよ。調教師もそれを嫌っていて、結局使いに行かなかったんですよ。だけど、意外と走れるやんと。頭数が少なかったですけどね。結局(実質は)4頭立てでしょ。それも良かったのかな。外枠も味方したんだろうね。次もあんな競馬になれば、良い勝負はすると思う。

-:1年を通じて、この馬、季節的にアップダウンはありませんか?

富:暑い時よりは良いですね。基本休んでいるから。帝王賞の時はメチャクチャ暑くて、湿気がすごくて、あの時は引っ張っているだけで人間も具合悪くなって。気持ち悪くて、馬もしんどいやろなと。これくらいの時季が一番良いかもしれないですね。ちょっと暖かくなってきた春先とか。

-:普段、何か変わった癖はありますか。

富:これと言って癖はないですね。馬房から出したらカッとなるけど。調教前も調教後も暴れますよ。イレ込んだりする時は自分でスイッチを入れるんですよ。何かが怖いのか、何かが嫌なのか。

-:全くそんな感じには見えないくらい大人しいのですが。

富:これでも、競馬の時にゲートで立ち上がったからね。1回縛ってからやり直したから。

「パクさんは分かっているから、あの人には何も注文いらないです。どうするかというのを自分で分かっているから、大したもんだわ。天性だわ」


-:JBC(クラシック)~チャンピオンズC~東京大賞典と連戦になりますけど、何かJBCへの意気込みはありますか。

富:無事に走ってきてくれれば、自ずと何か良いことが付いてくるんじゃないですか。とりあえず無事に行ってもらいたいですね。

-:地方はその週によって、内が良かったり外が良かったりしますからね。

富:大井なんか特にそうでしょ。今度はどうするんだろうな。確かあの時も「大賞典の前の日に砂を替えた」と言っていましたよ。そんなんアリなん?みたいな。今回もそういう風になるかもですね。

-:馬の優劣も考えないといけないし、馬場の傾向もチェックしておかないといけないですね。

富:そうなんですよね。ましてやそうなったら内枠はアカンしね。そういうところもパクさんは分かっているから、あの人には何も注文いらないです。どうするかというのを自分で分かっているから、大したもんだわ。天性だわ。やっぱりそういうところはすごいんだなと思いますね。本当に尊敬しますね。

-:最後に何かファンへメッセージはありますか。

富:無事に一戦一戦やっていければ良いですね。無事じゃないと競馬を見せられないので、みんなが応援してくれることはありがたいですけどね。

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