ディフェンディングチャンピオンが新たなチームで連覇に挑む。目野哲也調教師の引退に伴い、今年3月から杉山晴紀調教師の下で管理されることになったケイティブレイブ。昨年の帝王賞、今年の川崎記念を制するなど、言わずとしれたダート界のトップホースだが、ダイオライト記念を勝利した後はひと息入れられて、帝王賞へ挑むことになった。先日も目黒記念を制した新進気鋭のトレーナーの手腕で新星ケイティブレイブ誕生をアピールする一戦となるのか。上半期の総決算へ向けて、手応えのほどを伺った。

転厩直後にダイオライト記念を使ったワケとは?

-:帝王賞(Jpn1)に出走するケイティブレイブ(牡5、栗東・杉山厩舎)についてお聞かせください。以前に管理していた目野哲也先生が引退されて、こちらへ転厩してきて2戦目になりますが、最初にご覧になった印象を教えていただけますか?

杉山晴紀調教師:よろしくお願いします。どうしてもJpn1レースを勝っているという眼で見てしまうのですが、馬格に恵まれて雰囲気のある馬だと第一印象としてありましたね。

-:血統的に見たら、父がアドマイヤマックスなのですが、やっぱり母系のサクラローレルのスタミナが良く出ているのでしょうか。

杉:おそらく大いにあるんじゃないかなとは思いますね。

-:目野厩舎時代に見せていただいた時は元気一杯の馬でした。現在はどうですか?

杉:それは今でもそうですね。油断していると、人に乗っかかってきて遊ぶようなところがありますし、気の勝ったようなところは見せますね。

ケイティブレイブ

▲開業3シーズン目、BIGタイトル獲得のチャンスに挑む若きトレーナー

-:去年の帝王賞でもゲートのタイミングが合わなかったようなところがありましたけど、そんなところはやっぱり気性の面も多少は影響していると思いますか?

杉:当初は「ハナを切ったらモノ見をして進んでいかなくなったり、馬の後ろに付けたら、我慢が利かないで掛かり気味になったりするなど、精神的な課題で力を出し切れないところがあった」と聞いていました。(昨春の)福永ジョッキーが乗る頃くらいには、競馬にも慣れてきて、福永ジョッキー自身が競馬を教えていった甲斐もあり、ようやくどのポジションからでもスムーズに行けるようになってきたようですね。よって、ウチに来た段階では、操縦性が高いところまで来ていました。

-:目野厩舎所属としてはフェブラリーSまで走って、その後のダイオライト記念から杉山厩舎ということだったのですが、フェブラリー後からダイオライト記念までの調整はいかがでしたか。

杉:そこまでけっこう詰めて使ってきていたので、本来であれば、フェブラリーSの後は少し間を空けるということも考えたのですが、すると、どうしても放牧に出さなければいけないし、引き継ぎのタイミングで放牧になると、目野先生のところにいた時の状態が把握できないまま放牧に出すことになってしまいますからね。今後、この馬を扱っていく中では状態面も知っておきたいと思い、敢えて放牧に出さずに在厩させて、そのまま目野先生のやり方を踏まえながら、競馬に向かっていこうと思いました。レース間隔的にダイオライト記念がちょうど良かったので、オーナーと相談して向かうことになったんですけどね。

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▲移籍直後の挑戦となったダイオライト記念を見事に制した

-:そのダイオライト記念を見事に勝たれましたが、レースをご覧になっていかがでしたか?

杉:人気もしていましたし、僕自身緊張していました。序盤にマイネルバサラが馬の視界に入るところでずっと突いてきていたので、消耗しているように見えたんですよね。単騎で逃げている状況ではなかったですし、後々に影響がないか、その時点ではすごく心配していました。でも、残り3Fあたりで後続が来たら、いい反応をみせてくれたので、大丈夫かなと見ていました。

-:馬に乗らない人間が素人目で見たら、マイネルバサラがいてくれたから、集中力が保てたのかなという風に見えたのですが。

杉:そうですね。ケイティの今までの精神状態であったり、そういう風になった時に馬がどういうように感じるかというのは、僕も正直分からなかったので。確かに見方を変えるとそうかもしれないですね。

-:さっきもおっしゃっていたように、もともと逃げてもソラを使うようなところがありましたからね。ただ、上がりが掛かる展開で、最後は流す余裕があるくらいセーフティリードでゴールしましたからね。

杉:この馬のスタミナを活かした内容だったんじゃないかと思いますね。

今回が実質的な転厩初戦 乗り込み量に不足ナシ!

-:今回はすこし間隔が空いて、ややリフレッシュされた状態で帝王賞に挑む訳ですけど、去年が意外な勝ち方だったレースですね。他に人気を集めていた先行馬もいましたから。

杉:そうですね。意外でしたよね。ジョッキーも「ああいう競馬ができたのは収穫だったし、色々なポジションで競馬ができるように段々なってきているので、今だったら自信を持って、どこででも競馬ができる」と言っていましたので。

-:ただ、ああいう形でも勝てたということは、僕らファンからすると、今回はどうなるのだろう、というところで決められないというか、展開予想もしにくくなりますね。

杉:それは言えますね。何が何でもハナとはならない気もするし、枠順もまだ決まっていませんし、ゲートを出てみないと。

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▲坂路で1週前追い切りを行ったケイティブレイブ

-:追い切りに関しては、今週(6月20日)、坂路で福永ジョッキーが乗られていましたけど、動きはいかがでしたか?

杉:けっこう雨が降っていて、だいぶ深い馬場でした。その中でも53秒台(53.5-38.9-25.2-12.7秒)で終いもまとめてきて「強めと一杯の間くらいの負荷を掛けた」と言ってくれていました。一杯に追えば、もう少し動いたんじゃないかなという感触でしたね。時間帯(7時26分)を考えたら、かなり優秀なんじゃないでしょうか。

ジョッキーも上がってきて「休み明け特有の動けない感じもないし、硬さもないし、状態としては良い」と言ってもらえたので。厩舎としてこの間隔ながら、今のところ上手く調整ができてきたのかなというように思いますね。

-:今週の追い切りに至るまでは、けっこう乗り込まれていたのですか?

杉:そうですね。本来ならダイオライト記念から3カ月弱あるので、普通だったら2カ月くらい放牧に出して、1カ月で仕上げというスタンスで入厩となりますね。今回はこの馬にとって初めての放牧ですし、どう変わるかというのが予測できなかったので、放牧期間を1カ月くらいに留めておいて、5月上旬には戻してきて、ジックリと乗り込んできたので、調整としては入念に入念を重ねてやってこられたかなと思います。

-:実質、字面的には休み明けですけど、仕上がり的には十分に乗り込んでいるということですね。

杉:これ以上ないくらい乗り込んできて、それに対して馬も疲れることなく乗り越えて、競馬の時には、出来上がった状態で臨めるんじゃないかなと思いますけどね。

ケイティブレイブ

-:仕上げ方に関しては、目野厩舎との違いは意識されていますか?

杉:強いて言えば、2週前、1週前とCWで長めからやったというくらいだと思いますが、当然カイバも違うでしょうし、調教の乗り方も違うでしょうし、そこはやっぱりダイオライト記念と違うところですよね。あの時は以前の流れを邪魔せず、環境の変化があったので、馬にストレスを掛けないことを目的とした調整だったのですが、今回はウチの厩舎のやり方というか、スタイルを馬に求めていってのレースになるので。そこで馬がどう応えてくれるか、ジョッキーがどう乗ってくれるかというのは、前回と今回と、大きな違いがあるんじゃないかなと思いますけどね。

-:正味、今回が転厩初戦みたいな感じですからね。

杉:僕の中ではそうですね。前回は前回でまあまあプレッシャーがありましたけど、そういう意味では、今回は緒戦と言っても良いくらいですね。

-:馬体の見た目、体重に関してはどうでしょうか?

杉:馬体重は特に太目ではないですね。前走とほぼ一緒くらいじゃないかなという気はします。

-:それは輸送するのを考慮した上で、でという狙いでしょうか。

杉:そうですね。520キロ前半くらいですかね。ダイオライト記念の時もそうでしたけど、だいたい南関東へ行くと10キロくらいは減るんですよね。それを考慮すると、馬体重自体もそんなに大きな変動はないんじゃないかなと思っています。ただ、見た目は今回変わったと思うんですよね。

-:それは締まって見えるということですか。

杉:そうですね。臨戦状態といいますか、先週くらいから一気に競馬前のシルエットになってきたので、僕の見た感触では印象としては良いですよね。

-:これがレースに繋がれば、より素軽く動けるはずということですね。

杉:そうですね。何とかそうなって欲しいですね。あとはジョッキーに任せるだけなので。

厩舎で取り組んできたことを体現する帝王賞へ

-:どこでも結果は出していますけど、大井の2000mという舞台に関しては問題ないですか?

杉:問題がないというより、福永ジョッキーが「とにかく一番合うコースが大井だ」というのはけっこう言われていたので。コースもそうですし「大井のダートの砂質がこの馬には一番向いている」とも言っていたので。どう表現して良いのか難しいですが「大井の砂が中央と比較すると全然違う」ということは聞いていますね。

-:地方は開催によって良い場所があったりしますし、それも枠が出てみないと分からないですからね。

杉:難しいですよね。そこを上手く通れるか、というところもあるでしょうしね。

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▲過去の戦歴からは一転 追い込んで勝った昨年の帝王賞

-:レースが水曜日(6月27日)なので、最終追い切りはいつになりますか?

杉:本当に時計を出すという意味では、今週の日曜日(6月24日)になりますね。でも、正直やらなくても良いくらい、もう出来上がっているので、あとは普通のところを乗った状態で、最終的にどれくらいやるかというのは直前に判断したいなと思いますけどね。あとは微調整ですね。

-:JRAの方は、宝塚記念で一区切りという印象なのですが、それが終わった後にまた帝王賞があるということですからね。

杉:そうですね。年末みたいなものですよね。厩舎としては、やってきたことが身になってくれたらという気持ちでいますね。

-:どんな競馬になるか、ヒントだけでも教えていただけますか?

杉:いや、分からないですね。どう乗るかというのもまだ話をしていないですし、直前になってジョッキーと話をするかもしれないですけど、こればっかりは分からないですね。あくまで僕の印象では、逃げない気もするな…という。そうして欲しいというわけではないですがそこは本当に全部ジョッキーに任せているところですので。

-:それは天候というか、馬場状態にもよりますからね。

杉:そうですね。それも大いにありますし、枠順にもよると思いますしね。

-:去年のレースを観たら、けっこう泥だらけになって、最後外に出して追い込んできたように、ハートは強い馬なんですね。

杉:そうですね。そこも含めて、レースを使ってきたことで馬の精神面の成長というか、競馬に慣れてきたという表れじゃないかと思いますけどね。

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▲杉山師自身も5月の目黒記念でJRA重賞初勝利 波に乗っている

-:トレセンでのああいう気性の激しそうな動きからしたら、レース内容はとっても優等生ですよね。

杉:それはやっぱり経験でしょうか。多くのトップジョッキーが馬をつくっていったと思いますし、それに応えるだけの気性面でのポテンシャル、肉体的なところも含め、高かったということでしょうね。走る馬というのは、どこかでそうして覚えていくことはけっこうあるんじゃないでしょうか。

-:お父さんのアドマイヤマックスにとっても、いきなりタイトルホースが出たということですもんね。なかなか珍しい配合ですからね。

杉:そうですね。けっこうマニアックというか、父がアドマイヤマックスで、母父がサクラローレルですよね。それで、ああいうタイプの馬が出るという、なかなか面白いなと思いますよね。

-:何か、なかなか理論上出てくると想定しにくい現実ですよね。

杉:そうですね。この地方交流で走るというのは。

-:ゴールドドリームなどG1馬が揃って出てきますから、多分それぞれのファンがいると思うのですが、ケイティブレイブにも応援しているファンがいると思いますので、最後ファンにメッセージをいただけますか。

杉:今まで強いケイティブレイブを目野先生がずっと管理されていたのですが、今回からといいますか、前回からですけど、自分のところで長く置いて調整してきました。新たな一面が出て欲しいというつもりでやってきましたので、そんな競馬を見せられるように頑張ってきましたし、強いブレイブがまた走ってくれるんじゃないかと思います。競馬場に来て応援してくれるファンに応えられるように頑張りますので、応援よろしくお願いします。

-:ありがとうございました。

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