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中2週でも攻めの姿勢を貫いたことが勝利に

-:それは分からないですもんね。先輩方のアドバイスというのはやっぱり大きかったですか。

米:今回はすごく助けられましたね。調教に関しても、ポイント、ポイントでアドバイスをいただきました。中2週ということで、どうしても気持ちで守りに入っていこうと思ったけど、京都新聞杯が終わって、1週間後の日曜日の調教の時に、僕は62~3秒くらいの普通キャンターで行こうと思ったけど、(調教助手の)辻野さんと小滝さんが「ここは大きめで行きましょう」ということで、59~60秒で行きました。

翌週の1週前追い切りで、55くらいで乗ろうかなと思っていたのですが、先生から「来週もし軽くなったら取り返しがつかないから、シッカリやった方が良いよ」と言われましたね。僕は完全に守りモードに入っていたので、“そうか、そうだよな”と思って。そこでシッカリやって、ポイント、ポイントで僕が迷って、守りに入ろうとした時に、先生や先輩たちの経験を教えてもらって、そこで修正をして、仕上げて行きましたね。

ロジャーバローズ

▲レース当週、ロジャーバローズの調教に騎乗する米林調教助手

もし、あの時、日曜日に軽いキャンターをやって、水曜日に55ということで、ビビって守りに入って57とかになったら、多分、最後のあの二枚腰も使えなかったでしょうし、最後にクビ差凌ぐことも出来なかったでしょうからね。メンコの話だってそうだし、メンコだって外していたら、競馬にならなかったと思います…。

-:やっぱりあの大歓声が沸いた時には、メンコを着けていって良かったなと感じましたか。

米:そうですね。本当に良かったですね。返し馬の時に外しておいて。

-:そういう人間がした対策もすごいんですけど、それを耐えきった馬もすごいですね。

米:あのメンタルはすごいなと思いますね。メンタルがすごく強くなって、日々成長していく感じでしたね。

-:これまでもダービーと言ったら、重賞未勝利馬も何頭か勝っていますけど、フサイチコンコルド以来だそうですね。それくらい3歳世代の2冠目のレースというのは、重賞未勝利馬にとってはハードルが高いレースでしたけど、それだけのモノを秘めていたのですね。

米:そうですね。

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-:晴れの舞台が終わって、厩舎に帰られた後の馬の様子はいかがだったですか。

米:意外と元気だったですね。レース直後はさすがにカイバを食べなかったですけど、馬運車に乗って、輸送中のカイバは全部食べていましたしね。それで、帰ってきてからも、“早くカイバを寄こせ”という感じでしたからね。

-:あれだけ土日も暑いというか、5月じゃなくて真夏に近い気温だったじゃないですか。それを克服したのですね。

米:そうですね。それは、やっぱり前年度の新潟の経験が活きているんじゃないですかね。酷暑の中、新馬戦を勝っていますからね。

-:浜中君も言っていたんですけど「人気薄で勝ったのに、お客さんがけっこう好意的な反応だった」ということでしたね。

米:そうですね。意外と。

-:口取りの時とか、その声は冷静に聞こえていましたか。

米:そうですね。けっこう、罵声を浴びせられるかと思いましたけど、「おめでとう」と言ってくれましたね。馬を曳っ張っていて、浜中君以外に、僕にも「おめでとう」と言ってくれたので、恐縮しちゃいましたね。

-:2人きりになって、何か馬に声は掛けましたか。

米:帰りもみんなが写真を撮るので、アイドルやなと言いましたね、ハハハ。

-:(サートゥルナーリアを担当する)滝川先輩からも一言何かありましたか。

米:おめでとうと。

-:同厩舎で負けた馬がいると、なかなか難しいですね。

米:そうですね。サートゥルナーリアの手入れをさせてもらったこともありますけど、やっぱりすごい馬ですよね。このレベルになると、ちょっとしたことの差なのでしょうね。

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▲日本ダービーの表彰式にて

-:大一番でどうして出遅れるのだ、みたいな。一発勝負の大一番の怖さですね。これからも凱旋門賞挑戦や、秋のローテーションについてはまだまだ未定なところ(その後、凱旋門賞参戦が決定)もありますけど、まずはユックリ休んで、ダービーの疲れを癒してもらうということですね。

米:癒して欲しいですね。よく頑張ったから、よく休んでもらいたいですね。

-:ダービーの2~4着まで、上位3強と言われていた馬が揃って入った訳なんですけど、3強を振り切った気持ちを、改めてファンに伝えていただけますか。馬券を獲った人もいるわけですからね。

米:本当に最後クビ差で勝てたのも、応援のおかげかなと。応援が後押ししたのかなという気がしますね。それに対して感謝をしていますし、本当にこの勝利はみんなの勝利だなと。

-:遡れば、セレクトセールで落札された馬ですね。

米:この馬はすごく人懐っこいんですよ。人懐っこいというのは、生産牧場である程度、決まるので、そこからスタートですので、生産牧場の方々が人懐っこい馬をつくってくれました。育成で捻くれたところのある性格で、走るのが大好きな馬を、ウチのチームが育てていくという。

-:セレクトセールで、猪熊オーナーにこの馬を紹介したのが角居先生だった訳ですね。

米: 2人で選んだみたいですね。過程を経て、走ることが大好きな馬になって、実際に最高のレースであの接戦。その中で応援してくれた人の声援が、最後に力となって後押しされたと思いますね。

ロジャーバローズ

▲セレクトセール当時のロジャーバローズ

-:オーナーにとっても初めてのG1ですからね。米林さんにとっては、重賞初勝利が日本ダービーですからね。

米:オーナーにとっても初のダービーとなって嬉しいですし、自分はあり得ないですね。

-:「おめでとうございました」じゃ済まないくらいの大快挙ですからね。

米:本当にみんなスタッフを初めとして、オーナーがこうやって預けてくれて、こちらに任せてくれて、先生が信頼して、僕を乗せてくれましたし、スタッフがポイント、ポイントでアドバイスをしてくれて。

-:本当に、米林さんの人柄をみんながかわいがってくれたというか、バックアップをすごくしてくれて、チームで勝ったという感じですかね。

米:そうですね。みんなサートゥルナーリアの方も応援していたし、滝川さんもとんでもないプレッシャーが掛かっていたでしょうし、その中でも僕は本気で勝ちに行って、みんなも助けてくれました。結果的には僕の馬が勝ちましたけど、本当に周りの助けがあって、勝てたということですね。周りの助けと、最後はみんなの応援で、最後は一完歩のクビ差凌いだということですね。ああいう応援がないと、多分勝てなかったでしょうからね。

-:素晴らしい仲間の中で仕事が出来て良いですね。

米:良い関係で、本当にありがたいですね。

-:元気に帰ってきて、また取材させていただけるように、応援しています。ありがとうございました。

米:ありがとうございました。

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