牡馬斬りで2つめのG1タイトルGETへ。2歳時から数え、4度の馬券圏内がありながら、昨秋のエリザベス女王杯でG1初勝利を挙げたリスグラシュー。以降も2度の香港遠征でいずれも上位入線と、もはや性別の枠を超えた走りをみせているが、今回は国内での牡馬混合G1挑戦は2度目となる。少数精鋭の一戦で勝機はあるのか。紅一点の挑戦に注目した。

力を再確認した金鯱賞 歯がゆさの残った香港

-:宝塚記念(G1)に挑むリスグラシュー(牝5、栗東・矢作厩舎)ですが、金鯱賞2着から振り返っていただけますか。

岡勇策調教助手:あの時は香港遠征帰りで、その時にメディアの方にもコメントしていたと思いますが、まだ本調子には達していなかったですね。追い切りはずっと動く馬で、やれば動くのですけど、常歩の雰囲気や乗った感覚がまだ良い頃の雰囲気にないのかな、という状態でしたね。

-:それは、3月という気候もあり、動きが硬かったということですか。

岡:秋はG1を勝って、香港まで行って、頑張ったじゃないですか。その疲れがあったのか、季節的なものはどうなのか分からないですけど、まだ良い時にはちょっと物足りないなという中での競馬ですから、やっぱりこの馬はすごいなと思いました。

リスグラシュー

▲1週前追い切りの手綱をとった攻め専の岡助手

-:レースに行って、負けたのはダノンプレミアムだけという内容でした。

岡:スタートも、ちょっと飛び上がるような感じで後方からになって、あれだけ後ろから行っていましたからね。ダノンプレミアムは内々の好位に付けて、本当にロスのない競馬をしていました。こちらは外を回って、一瞬差し切ったかなという勢いでしたので悪い内容ではなかったと思います。

-:仕上がり途上だったレース後というと、終わってからの反動や疲れも気になるところだったと思いますが、QEⅡ(香港・クイーンエリザベスⅡ世C)に向けて、どういう状況でしたか。

岡:いつも通り、レース後すぐに(ノーザンファーム)しがらきさんへ放牧に出して、向こうで疲れを取ってもらいました。あの馬場で走ったのですけど、思いの外、疲れがなかったみたいで、「あの馬場で走った割にはそんなに疲れもなく、すぐに次の調整に入れた」と、牧場の方からは聞いていました。レース後もカイバを増やしていたみたいです。

リスグラシュー

▲金鯱賞のゴール前

-:金鯱賞から1カ月半くらい。短いとは言え、香港への輸送もあり、輸送その他、検疫も含めて、香港に行ってからはいかがでしたか。

岡:QEⅡの時は香港も2回目だったので、もう慣れたものでした。僕は1度目の遠征には行っていないので、聞いた話ですけど、1回目ほど煩くもなく、落ち着きもあったのかなと。その辺は2回目の慣れというか、1回目と2回目の違いで、やっぱり馬の雰囲気も全然違ったと思いますしね。

-:香港の競馬場に入厩した後はこちらのトレセンで使っている坂路もなく、乗る環境がまたガラッと変わって、調教も苦労されたと思うのですが。

岡:普段から、こちらでも週に1回は馬場で乗るようにしていましたし、馬場で乗ることに対しては、そこまで苦労ということはなかったのですけど、馬場の違いですよね。調教の馬場(ポリトラック)が硬くて、本当に最初はアスファルトを走っているんじゃないかというくらいで苦労しました。脚元に関しての心配ですよね。ただ、何日かしたら、ハローをしっかり掛けてくれて、ちょっとほぐれたので、これならマシかなと。

-:ちょっとクッションが出てきたということですね。

岡:最初の何日間かは硬くて、これなら芝を走っている方がいいなという状態でしたね。最終追い切りは芝で、リスグラシューは普段グイグイ行く馬なのですけど、あの時の追い切りは、どちらかと言うとフワッとしてしまって…。逆に終いで気合いをつけたくらいだったんですけどね。

リスグラシュー

▲香港、シャティン競馬場のポリトラックで調整するリスグラシュー

-:気持ちとしては、もうちょっとやりきりたかったという感じでしたか。

岡:その辺がレースの結果に出たのかなと思うんですけどね。もう少し馬の気持ちを、アクセルを吹かした中でもう少し溜めて、溜めていきたかったのに、思いの外、フワフワしてしまったので。どちらかと言ったら、促しながらだったので、そこを僕がもうちょっとアクセルを強く押していければ良かったという最終追い切りでしたね。

-:このレースには3頭の日本馬が挑戦していて、リスグラシューが3着で、ウインブライトがめでたく1着でゴールした訳なのですけど、上がってきてからのオイシン・マーフィー騎手のコメントがあったら教えていただけますか。

岡:直接は聞いていないのですけど「4コーナー辺りでは、勝てるんじゃないかという手応えだった」みたいですね。そこからイメージより…。走っていない訳じゃないですし、頑張ってはいるんですけどね。

-:ファンからしたら、ちょっともどかしさが残ったかもしれないですね。

岡:僕が一番残っているかもしれないですね。ウインブライトに負けたのは位置取りの差もあるので。あの馬には、内々のコース取りで、上手く立ち回ってやられたのですけど、地元のエグザルタントに差されたので、あそこは差されたくなかったというのはありましたね。

-:力は評価しても、末脚自慢のリスグラシューからしたら、差されたくなかったということですね。

岡:後ろからの馬に差されたくなかったですね。そこら辺が、追い切りでもう少しグッと釘を刺していれば、という思いはすごくありますね。

リスグラシュー

-:そういうちょっとほろ苦い香港遠征から。

岡:3着という結果は納得がいかないというか…。

-:リスグラシューの力はこんなものじゃないと。

岡:こんなものじゃないですね。

-:それを宝塚記念でぶつけて。

岡:僕は余計にそういう思いがあったので、今回は納得出来るようにやろうかなと思います。

コース適性に不安なし さらなるG1タイトルを目指して
リスグラシュー陣営インタビュー(2P)はコチラ⇒