重賞初勝利へ。昨年の朝日杯フューチュリティステークスでは9番人気の低評価ながらグランアレグリアに先着したクリノガウディー。年明けの春3戦は果敢にG1戦線へ挑んだが、いずれも掲示板を外す結果。中でも中山コースは2度続けて結果が残せていない。今回は皐月賞以来となる中山遠征。春からの変わり身はあるのか。陣営を訪ねた。(取材=競馬ラボ・小野田)

古馬混合重賞でも好走 朝日杯2着の地力示した前走

-:京成杯オータムハンデキャップ(G3) に挑むクリノガウディー(牡3、栗東・藤沢則厩舎)ですが、前走の中京記念(G3)は惜しい競馬でしたね。

丸田知毅調教助手:気で走るようなところがありますが、急仕上げの面もありましたから。

-:NHKマイルCが終わって、短い間でしたが、放牧に出ていたのですね。

丸:トモが疲れたので、信楽牧場さんの方へ出ました。1カ月以上は出ていたはずです。やっぱりスプリングSから長距離輸送が3度続いて、ちょっとイライラしていたのですが、だいぶ大人しくなってきたというか、落ち着いてきましたね。(前走の中京記念で)体は-8キロ減っていたのですが、時季的なものもありますから。追い切りでは動けていましたからね。

クリノガウディー

▲ハナ差2着惜敗の中京記念

-:前走の最終追い切りは、テンは抑えている感じでしたが、最後の動きは良い感触にみえました。

丸:終いは切れましたね。1週前にだいぶやったので、当該週はあれで十分。今回もそうなると思いますね。

-:その今朝(8月28日)も速いタイムでしたね(4F51.6-37.7-24.4-11.9秒)。追い切りの時間帯は雨もずいぶん降っていて、馬場にも影響があったと思います。

丸:けっこうやりましたね。ハロー明けなので時計は出るのでしょうが、やっぱりやれば動きますからね。

-:今朝はどなたが乗られていたのですか。

丸:今日は森(裕太朗)ジョッキーが乗っていましたね。「追い出したら切れた」と言っていたので、好感触だったと思いますね。

クリノガウディー

▲28日、栗東坂路を駆け上がるクリノガウディー

-:2週前の追い切りにも乗っていましたね。

丸:ええ。普通のところから毎日、乗ってくれていて、ありがたいですね。

-:春と追い切りの動きが変わってきた部分はありますか?春といっても、そこまで時間も経ていませんが。

丸:春も追い切りは動いていましたけど、トモがちょっとシッカリしてきた感じはありますね。当時はトモが緩かったですからね。

-:前回のレースを終えられて、ジョッキーの感触はいかがでしたか。

丸:「やっぱり終いを活かした方が良いですね。1回使って良くなると思います」ということでしたね。レース直後は、次走が関屋記念という話だったのですが、中2週ということ、暑い時季なので、中山(京成杯AH)に行こうということになりましたね。レース前も時計こそ出ていたのですが、休み明けかなという感じでも話していましたからね。今回の方が上向いていますよ。

レース後は短期放牧で精神面のケア 調整スタイルも手の内に

-:以前もお伺いしましたが、この春は、レース前のコメントでは「控えた競馬を」というプランながら、積極的な競馬になってしまっていましたね。

丸:前回もちょっと行きたがっていましたからね。やっぱり溜めていった方が良いのかなと。

-:東京スポーツ杯2歳Sの時は外枠ということもあったので、やっぱり必然的に壁になるくらいの方が。今なら古馬相手で周りも速いでしょうからね。

丸:その方がいいですね。京成杯はハンデ戦ですが、(騎乗予定の)戸崎さんは体重が軽いですか?

-:52キロまで乗っていますね。

丸:分かりました。秋競馬になるのでハンデは増えると思いますが、今回も軽いハンデになりそうですからね。

クリノガウディー

-:前回の競馬は特殊な馬場でしたが、レース運びで感じられるところはありましたか。

丸:もうちょっと乾いていた方が良いかと思いましたけど、あれをこなせたので、少々悪くなっても大丈夫かなと思います。最後の直線は外が伸びづらい馬場だったと思いますが、よくあそこまで来たと思いますよね。

-:そういう意味では、馬場差的にもけっこう頑張った方なのかなと。しかも、序盤はポジションを取りたいところで外から入られて、ちょっと下げている感じもありましたから、細かい点を言ったら、タラレバになっていまいますが。

丸:そうですね。前走は上手く乗ってくれたと思いますけどね。

-:ジョッキーは悔しがっていたんじゃないですか。

丸:すぐに上がってきて「(勝ったのは)どっち、どっち?」と言っていましたからね。見た目は2着だと思いましたが(苦笑)、あそこまで行ったら、乗り役も勝ちたかったはずです。

-:「一時期、関屋記念というプランがあった」ということでしたが、僕はその報道を見て、じっくりいっても良いのに、とは思っていたのですが、見送った甲斐はありましたか。

丸:そうだと思いますね。夏場に2戦とも勝負しにいくのはちょっとしんどいですね。

-:体力的なものもあるでしょうけど、やっぱり気が入ってしまいがちな馬ですよね。

丸:イライラしてしまうので。今回も中京記念の後、2週間ちょっと放牧に出していたので、落ち着いていますからね。少しでも放牧に出してあげた方が良いですね。

-:それこそ今の競馬界じゃないですけど、短期放牧を挟みながらの方が良いと。

丸:ずっといたら、厩でイライラしてくるのでね。

-:最初に僕がクリノガウディーを来させてもらった時は、朝日杯の後でしたが、馬房でのイライラ度はMAXでしたね。

丸:扉を閉めているので、余計に。前が開いていたら、脚をガンガン鳴らすので、閉めているんですけどね。馬房内で寝違えることもあるくらいですから。

-:その点、この中間は精神面も良くなっているのですね。

丸:落ち着いていると思いますね。

クリノガウディー

▲担当の丸田助手とクリノガウディー

-:中山コースはどうでしょうか。

丸:コースは大丈夫だと思いますが、ちょっと長距離輸送で結果が出ていないので…。輸送は大人しいですし、もともとはうるさい馬じゃないんですけどね。ただ、皐月賞と休み明けのスプリングSでしたからね。そういう意味では、見直しの余地はあるかなと思いますが。

-:今はマイルで結果が出ていますけど、今後はどんな馬になっていきそうでしょうか。

丸:折り合いさえつけば、もう少し長くても。新馬みたいなレースをしてもらいたいんですけどね。後ろから行ってああいう競馬を覚えてくれたら。どうしてもガッとなっちゃいますからね。

-:普段の調教でもそういうところがあるのですか。

丸:いや、普段は全然掛からないですけどね。パドックも最初の1~2周はちょっと煩いですけど、返し馬で馬場に入った後もダクをしているくらいなので。

-:レースへ向けて、意気込みをお願いできますか。

丸:前回で古馬相手でも走れるということが証明できたと思います。同じマイルなので頑張ってもらいたいですね。

-:ありがとうございます。