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古小路重男調教助手

古小路重男調教助手

春は牝馬ながら日経新春杯、京都大賞典と二つのGⅡを制したメイショウベルーガ。牡馬一線級を相手に天皇賞(春)、宝塚記念にも挑戦。春にはない古馬牝馬の中距離GⅠエリザベス女王杯を控えたメイショウベルーガについて担当の古小路重男助手を訪ねた。

-:いよいよエリザベス女王杯が迫ってきましたが夏の新潟記念④着を振り返っていただけますか?

古:今年の夏は暑かったでしょう?だから牧場から栗東ではなく函館で調整したんですよ。新潟記念は函館から新潟に輸送するちょっと変わったパターンだったんです。暑い栗東にいるより函館の方が涼しいですからね。別に坂路がないと調教できない馬でもないし函館での調整もいつも通り上手くいきました。レースでは内枠で中団につけていったけど一旦後方まで下がってしまってどうなるかと思ったけど、最後の脚には見所があったでしょう?やっぱり走る馬だなって思いましたよ。

-:その新潟記念を使って京都大賞典は馬体重も10㎏増えて504㎏での勝利でした。

古:函館から帰って来ても馬は元気だったし、状態は新潟記念の時と変わらず良かったけど…。504㎏はちょっと太かったかもしれませんね(笑)。ベルーガはとにかく食うんだよね。牝馬っていうと飼葉を食わなくて心配したり、難しい面がいろいろあるものですが、ベルーガはそういう心配が全くない。その辺がこの馬の強みなんでしょうね。ただエリザベスでは少し絞っての出走になるでしょう。それでも太かった京都大賞典で牡馬相手に勝つんですから。

-:食いしん坊のベルーガの好物はなんですか?

古:ニンジンが大好きです。本当に良く食べるよ。

-:この馬の魅力は、最後に必ず伸びる末脚ですが、切れる瞬発力タイプなのか長く良い脚を使うスタミナタイプなのか見る人によって違います。古小路さんはどう感じていますか?

古:難しいこと言うねぇ~。切れもあるしスタミナも牝馬にしてはトップクラスのモノがある。牝馬で中距離路線って馬自体が少ないから比較しにくい面もあるけど…。どちらかと言うと長く良い脚を使うタイプだと思いますよ。だって牝馬特有の切れる馬ってもっとビュっと切れるでしょう?ベルーガの切れはそこまでじゃないから。

-:古小路さんがベルーガの担当(持ち乗り)になったのはいつからですか?

古:たしか秋華賞で前の担当厩務員さんが定年退職してベルーガは放牧に出たんだよね。それで4カ月くらい休んで帰って来てからベルーガを担当するようになった。その頃、僕も攻め専(調教助手)を辞めて持ち乗りになったんですよ。

-:古小路さんは99年に騎手を引退して調教助手になって、そこから持ち乗りに変わったわけですが騎手や調教助手と違って持ち乗りは日々の馬の世話がありますよね?いきなりの転職のようなイメージがあるんですが苦労しませんでしたか?

古:そりゃあ、めちゃくちゃ悩んだよ。毎日、馬の脚を気にしなきゃいけないし、一から勉強し直しでしたから。おかげで4㎏ほど痩せたけど(笑)。特に冬場のコースには不凍液をまくから小さな擦り傷でも炎症を起こしてフレグモーネになる。心配の連続ですよね。

-:騎手時代にも86年にフレッシュボイスでシンザン記念(GⅢ)を勝っていますが、騎手で勝つ重賞と担当馬で勝つ重賞の違いはありましたか?

古:フレッシュボイス…。古い話だね~知ってるの?後はアラブのユーショウマンナで福島のセイユウ記念、タマトップで金杯も勝たせてもらいました。調教助手からベルーガを担当させてもらって初めて勝った重賞が日経新春杯(GⅡ)。あの時はうれしかったな~。入厩当初から走ると思っていたけど重賞、それも牡馬に混じってのGⅡだから本当にうれしかった。うまく言えないけど騎手で勝った時とは違う感じですよね。

-:ということは担当される以前からベルーガを知っていたんですか?

古:最初は調教助手として毎日ベルーガに乗っていました。その頃から良い雰囲気の馬だなって印象はありましたよ。だからいきなり担当になっても馬の癖なんかは知っていたわけです。



-:ベルーガは父フレンチデピュティですが、フレンチの産駒には硬い馬が多いと思います。脚元の心配などはありませんか?

古:フレンチってそうなの?ベルーガは脚元が本当に丈夫なんでちょっと意外です。これだけコンスタントに使えるのは脚元の心配がないからですよ。馬場が良くても悪くても気にしないし、そんなに注意することはない馬。ただ運動中に他の馬が暴れるとびっくりするタイプだからそこだけ注意しています。

-:エリザベスでは人馬ともに初のGⅠ制覇がかかりますが仕上がりはどうでしょうか?

古:京都大賞典は少し太かったから日曜日の調教前に体重を計ってメニューを決める予定です。まだ太かったら少し時計を出すかもしれないし、絞れていれば軽く流す程度にして追い切りに備えます。

-:ではエリザベスの馬体重は少し減っていると思って良いんですね?

古:6~10㎏くらい絞れていると思ってください。パドックではいつも通り落ち着いて周回していると思います。僕はいつも通りやるだけだから。京都はベルーガが全7勝中5勝している相性のいいコースなので何も心配していません。

-:お忙しい時間に本当にありがとうございました。

古:こちらこそありがとうございます。ベルーガの応援よろしくね!




【古小路 重男】 Kosyouji Shigeo

騎手として78年にデビューすると、障害レースを中心に、重賞11勝、通算1,961戦166勝をマーク。現在は池添兼雄厩舎で、メイショウベルーガを担当している。