復活を果たしたエイシンフラッシュが連勝狙う
2012/11/25(日)
藤原英昭調教師
疲労が最小限に抑えられた理由
-:天皇賞(秋)を使われてからのコンディション、今の状態というのはどんな感じですか。
藤:天皇賞を勝つことをある程度、目的にしていたから。去年はジャパンカップという感じで作っていたけど、今回は適性的に2000の天皇賞というのがアレでしたので、あとは馬の持つ精神力とか体力面とか、良いと思って賭けていくしかないですね。ケアしたり、色々持っていくのは一緒ですから。あとは馬の持つ能力、精神力を信じて作っていくだけです。そういう意味ではそんなにガタッときている訳でもないし、アイツの良い所はそう見せないところだからね。それが悪い所でもある訳ですけどね。
-:我慢してしまって、自分の内に閉じ込めてしまうところがあるから。
藤:それが良い所でもあるし、悪い所でもあるとこでもあるから、ちょっと掴み辛いところがあります。まだイケるのか、今シンドいのかというのが。
-:スタッフとか先生とかが、早めに感じとってやらないといけないですね。
藤:そう、感じとってやらないとね。それでも判らない馬です、結構。だから、反対に僕はスゴい馬だと思います。シンドい時もあるとは思いますよ。それを見せないで、常に追い切りは動くし、こっちの思い通りに調整はできるし、本当に違う意味でスゴい馬だと思います。
-:素人目に見てもすごくキレイな馬で、女性のファンにも人気がある馬だと思うんですけど。
藤:毎回、追い切りとか見たら、やっぱりホレボレしますから。そういう馬ですからね。
-:僕の所にも電話が掛かってきますからね。「フラッシュ良いんじゃない」って。
藤:毎回、良いですからね。そこら辺がスゴいですね。それはただ単にキチッとした精神力を持って、内に秘める男らしい、人間でいう日本男児みたいな。そういうのがあるような感じがするね。すぐに弱音を吐かないというような。
-:管理側からすれば、もうちょっと泣いてくれても良いと。
藤:もっと色々気を使ってやれるというところがあります。
-:毎日王冠で負けた割には天皇賞(秋)のオッズが5番人気ですか。かなりファンは見捨てないなと思ったんですけど。
藤:僕らもそうですけど、いつかダービー馬ですから、走りを見たいというファンも多分、多いと思うので。そういう意味の人気でしょうね。
-:生でフラッシュを見た人はそれだけ何かを感じているということですね。素人ながら。
藤:やっぱりあの強烈な末脚とかを見てるからでしょうね。幻想と言うか、余韻が残っているのでしょう。それをいつか見たい、見たいというところで。僕もそうですからね。僕らは見たいではなくて、それを引き出してやらないといけないという気で、ずっとやってきたので。それが天皇賞でやってくれたということです。

-:2着だったフェノーメノ陣営からしたら、内から突っ込んできたフラッシュということで「あんなとこ、内を開けておくなよ」という話が出ていたんですけど、そういうことではない切れでしたよね。
藤:だから、最内はどうでも良かったんです。4コーナーまでどこの位置を付けて、どこを通るかが一番重要であって。もっと、重要なことはゲートを切って、あの位置を取れるか取れないかが、最重要だった訳です。あれを取った時点で、間違いなく来るなと思いました。勝ち負けは別にして、あの位置を。だって、最内をあの枠からあそこに入る訳ですから。それはもう、テクニックもあるし、それに対応できる馬の能力もあるし。あそこである程度、来るなと思いました。それが最後の最内とか、そういう問題で僕は関係なかったです。
ミルコにも言いましたが、「4コーナーまでは絶対追わないでも持ってこられるから」と言って、ゲート切って、あの位置を取りに行って、何度もビデオでチェックして相談しましたから。その通りになっている訳ですからね。最終的に4コーナーでは分からない訳ですから、どこを通るかなんて。まして、イメージ的にはそこで力が溜まっている訳ですから、「そういう競馬と位置取りで、あとはどこでも行って」と最後はミルコに言って、たまたま最内が開いていたという話だけで、内が開いていなくても別に移動できる余力なんて全然残っていましたからね。
-:それだけ溜まっていますからね。
藤:溜まっていますから。それは見た目の判断、ファンの判断ですけど、こっちは言うほど、内が開いているとか、開いてないとかは。4コ-ナーを回ってきた時点でどこが開いてなくても行ける余力は残っていましたしね。
-:だから、フラッシュより内枠の馬で、同じポジションを取りたかった騎手もいたけれど、取れたのはフラッシュだったということですね。
藤:そうそう。でも、果たして他の陣営があそこを狙っていたかは分からない。僕らが徹底的に狙っているから、あそこが開いていたというのもありますし、みんなが行ったら開かないですし。そこら辺はこちらにも戦略がありますしね。でも内が開いていて、一番楽だったのはフラッシュでしょう。後のことを考えるとね。
-:同じ勝つにしても。
藤:そう、色んな外に持っていったり、色んなチェックをしたら、馬の疲労がありますから。今回の場合はそのままでしたからね。そういう意味ではジャパンカップに向けた疲労というのは、ちょっと軽減されたかなというのがありますね。
-:カレンブラックヒルに乗っていた秋山ジョッキーに聞いたら、レースであんなに瞬時に抜かされたことがなかった馬なので「ちょっとヒルんでいた」というコメントをしていたんですけど。今回はフラッシュの良さを引き出すということを考えて、そこに凱旋門賞帰りのオルフェーヴルがどういうコンディションで出てくるかというところで。
藤:まあ、オルフェーヴルは別に……。強い馬ですから。凱旋門賞馬もいる訳ですから、そこのステージに上がって、戦えること自体がスゴい光栄だし、おもしろいですね。
正解だったローテーション
-:そういう意味では、ファンも今回のジャパンカップは豪華メンバーなので、楽しみにしています。
藤:そういうメンバーが集まるということ自体が重要ですね。そこには当然、オルフェーヴルも出て来ないとアカン訳だし、凱旋門賞馬、天皇賞馬、牝馬3冠馬、スゴいですね。それだけで十分です。来週になれば、追い切りとか色々な所でそのメンバーを見ながら、勝ち負けをイメージして、やっていくということです。まあ、オルフェーヴルとかそういう問題ではなくて、出てくることはありがたいですね。ありがたいと言うか、みんな集結すると言うことが重要なことです。今の段階ではね。まだ、1週間以上時間があるからね。リラックス、リラックス。
-:来週は来週のコンディションを確認した上で、現段階で追い切り内容は決めないと?
藤:決めません。
-:応援しているファンも多いと思うので、豪華メンバーのジャパンカップに向けて、一言お願いします。
藤:本当にファンが多い馬というか、だんだん増えてきたように実感するので、我々スタッフにとってもありがたいし、馬が光を放っているからファンも付いてくるんだろうけど、そういう馬を預かっていると言うのはすごい光栄ですし、その光を放つ馬を何とかもうひとつジャパンカップで、天皇賞のような、ダービーのような切れを目指してやるようにこっちは最善を尽くしていきます。ジャパンカップまでちょっと馬の精神力であったり、体力であったりというのを持って欲しいなと。もうちょっと頑張って欲しいなと。
-:それが上手いこといけば、この間のようなグッとしたパドックで、落ち着いた感じで堂々と回っている。
藤:来るな。それがジャパンカップで、ちょっとリズムが狂ったり、色々苦しい所が出たら、やっぱり天皇賞の疲れがあるのかなという判断もする場かなと思っています。
-:それだけ前回も走っていますからね。
藤:前回だけじゃなくG1ばっかり使ってきている訳ですからね。まして、今年だってドバイに行って走っている訳ですから。だから、常に機械じゃない訳ですから、ドンドンとこっちも行って欲しいけど、そんなに簡単ではないと分かっていますのでね。だから、このジャパンカップの結果というのは、今後を見る重要なレースになってくると思います。

-:キングズベストというのはワークフォースが種牡馬入りしていますが、フラッシュもやっぱりいずれは。
藤:やっぱりそれぐらいの価値はありますし、ワークフォースよりフラッシュの方がみんな競馬も見ているし、日本人だって理解しやすいですからね。同じキングズベストでもフラッシュの方が見ている分、付けやすいと思います。ワークフォースはもう一つ判らないですね、僕も。フラッシュだったらみんな見ている訳ですから、すごい計算しやすい馬ではあるでしょうね。ダーレーだって、キングズベストそのものをこっちに持ってくる訳ですから。お父さんを持ってくるんですよ。スゴいでしょ。それぐらいやっぱりエイシンフラッシュというのはキングズベストが日本の馬場に適性を持っているというところで、ダーレーを動かした訳ですからね。大したもんですね。
-:振り返れば、ダービーでキングズベスト産駒のエイシンフラッシュが勝ち、その翌週ぐらいにはワークフォースがイギリスダービーに勝ちました。
藤:何かやっぱり無視できない血統なんでしょうね。キングズベストって。
-:あの日の府中でも7レースでスミヨンが乗って、シャドウパーティーがキングズベストですものね。
藤:この前も強かったですね。距離も持ちますしね。だから、何かメッセージですよね。日本での血の発展ということで。今回のジャパンカップはさっきも言った通り、人馬一体のリズム、課題さえクリアできれば良い勝負ができるでしょう。
-:分かりました。ありがとうございます。
(写真・取材)高橋章夫
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■最近の主な重賞勝利 |
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07年・08年と2年連続でJRA賞(最高勝率調教師・07年は優秀調教師賞とダブル)を受賞。平場・重賞とレースを問わずに勝利を積み上げる『一戦必勝のポリシー』はホースマンの間で崇められ、藤原英厩舎流の調教は栗東トレセンでもトレンドになりつつあるほど。現在のG1レースにおいてこの厩舎の名は欠かせない。 |







