日本馬のエースとして負けられないオルフェーヴル
2012/11/25(日)
川合達彦調教助手(栗東・池江泰寿厩舎)
栗東トレセン帰厩からJC出走に向けて
－：あの凱旋門賞を使った後のオルフェーヴルはどんな様子だったか教えていただけますか？
川：それがですね、そんなに疲れている様子はなかったんですよ。確かに走った後、すぐは息が乱れていましたけど、厩舎に帰ってからは全然、ケロッとしていましたね。次の日も想像以上に元気でした。
－：何かイメージではロジユニヴァースが走ったダービーでもそうでしたけど、故障馬が続出して、やっぱり重馬場というのは思っているより馬には負担がなるんだなと思っていたんですが、疲れが残るほどではなかったんですか？
川：あったかどうか判らないですけど、あの馬は別格ですね。はい。
－：基礎体力が違う？
川：心肺機能が抜けているんでね。
－：抜けているからレース後の疲労回復も長けているということなんですね。
川：はい、それとJCに向けて帰って来たんですけど、馬体も全然減っていなくて、先週は僕が乗って、2週前追い切りになるんですね。いつも通り坂路で軽く53秒ぐらいという指示だったので、それに合わせて乗りました。ところが最初の1ハロンで、「あ、コレはヤバイ」と思いましたね。手応えがもう違ってました。
－：持っていかれる感じが？
川：そんな感じです。何とか抑えて我慢して。それで最後の100ｍぐらいですね。パッと手綱を放しました。オルフェに乗るのは宝塚記念以来だったんですよ、僕は。乗った瞬間にスゴい肩の幅が出たな、という印象を受けました。
－：跨って上から見るまでもなく、足を置いている感じでちょっと幅が出たということを感じられたということですね。
川：まあ、そうですね。今週は池添騎手が跨ったんですけど。
－：併走相手(バトードール)には川合さんが乗って。
川：僕が先に行きまして、今週の追い切りはオルフェーヴルは抜け出してから、他の馬に頼らずの単走で真っ直ぐ走らせるというテーマでした。
－：ずっと併せっぱなしで追い比べをするんじゃなく、あえて早めに抜け出して単走で走らせる、と。
川：そういう追い切りを心掛けたんですけど。ちょっと時間的に後半になって馬場が重かったんですよ。
－：正確に言うと9時半ぐらいでしたね。
川：はい。そんなに目立った時計(坂路4F52.9－38.7－25.3－12.6)じゃないですけど、池添騎手の顔を見たら、すごく満足気でしたね。
－：それはオルフェが自分に戻ってきたということよりも、良いコンディションで戻ってきたということですね。
川：「やっぱりスゴいわ」と。最初の2ハロンまでは僕が先導しているので、ちょっと引っ掛かるんじゃないかと僕は心配したんですけど、全然、音も聞こえず、スーッと上がって、楽そうに折り合いを付けながら上がっていきましたので。
－：坂路をゴールしてから逍遥馬道に帰ってくるじゃないですか。あそこで2人で会話されていたと思うんですけど、その時に「違うわ」という感じだったんですか？
川：そうですね。彼の笑顔を見てホッとしましたね。
－：凱旋門賞から帰ってきて、帰国緒戦になります。やっぱり海外からの帰国緒戦というのはどんな馬でも不安視する向きがあると思うんですよ。そういう心配はしなくて良い感じですね？
川：確かに凱旋門を使う前の状態は一番良かったです。でも、宝塚記念を勝った時の調教と比べると、全然良いですよ。
■｢凱旋門ですごく貴重な経験しました。そこでまたスケールアップしたオルフェーヴルを見て欲しいですね｣
－：じゃあ、かなり楽しみな。
川：今週終わって、来週の追い切りで完璧に近づくと思います。後は、来週の追い切りでさらに良くなるんじゃないでしょうかね。
－：オルフェーヴルぐらいの馬になると、ファンは出てきたら勝つぐらいのイメージを持っていると思うんですよ。
川：それはもう、十分承知しております。
－：逆にスタッフとしてもそれに応えるというか、その期待がプレッシャーになったりしませんか。
川：これまで通り、チーム一丸となって仕上げていきます。まあ、池添騎手が一番プレッシャーを感じると思いますけど。
－：プレッシャーを感じるけども、はね退けれるだけの馬に乗っている訳ですからね。
川：はい。彼はそのものすごいプレッシャーを任せられた事に喜び楽しんでいるところも感じられます(笑)。今までのように自信を持って欲しいですね。
－：体重は今のところ出走はどれぐらいのイメージですか？
川：宝塚記念と同じくらいで出走できそうです。
－：それでは、かなり楽しみなジャパンカップになりそうですね。あと来週の追い切りなのですが、どういう予定かというのを教えてください。
川：坂路で池添騎手が追走で、また早目に追い越して、今週と同じテーマだと思いますね。
－：それは直前になってから先生と相談されて決める感じでしょうか。
川：はい、正確に決まるのは当日に指示を受けます。我々、できるだけ調教師の思い描くイメージを、再現できるよう心掛けています。その為にも普段どうゆう調教を求められているのか意思の疎通と理想の調教を思い描く事は日々欠かせません。追い切りは、坂路で併せ馬でする事は間違いないです。
－：オルフェーヴルにとってJCの不安点というのを敢えて挙げてもらうとするならばどこでしょうか。ここをチェックして見て欲しいというのがあったら。
川：まあ、前半でしょうね。前半いかに折り合いをつけて抑え込むか。車でどんな素晴らしいターボエンジンを積んでても、使い過ぎては燃料が切れますからね。
－：なるほど、最後にオルフェーヴルを待ち望んでいたファンにメッセージをお願いします。
川：みんなが待ち望んだことだと思うので。しかも凱旋門賞馬のソレミアが出てきますし、悔しい思いをここで晴らせたらと思います。
－：ソレミアだけではなく、ジェンティルドンナという牝馬の3冠馬や天皇賞(秋)で復活したエイシンフラッシュもいれば、それと同世代のルーラーシップなどもいます。多彩な顔触れでJCが盛り上がると最高ですね。
川：まあ、オルフェは、その中で昨年の日本代表に選ばれた馬ですから。
－：日本を代表するというか、世界クラスの馬ですからね。
川：凱旋門ですごく貴重な経験しました。そこでまたスケールアップしたオルフェーヴルを見て欲しいですね。
(取材・写真)高橋章夫
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