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榎本優也調教助手

榎本優也調教助手(栗東・須貝厩舎)

3歳馬同士のG1では不完全燃焼に終わったものの、古馬相手の秋には進化を見せ付けたジャスタウェイ。新春は2つ目の重賞制覇を見据えて中山金杯への出走が予定されているが、この中間はゴールドシップの調教パートナーを務めるなど調整に抜かりはない。「トレセンLIVE!」で同コンビはすっかりお馴染み、榎本優也調教助手に縁起物レースへの意気込みを伺ってきた。

中間の併走相手はゴールドシップ

-:今週(12/19)は馬場が悪い状態で、ゴールドシップの最終追い切りの併走馬として、ジャスタウェイは走った訳ですけど、まず、馬場コンディションが雪でどれぐらい悪かったのかということを教えていただいて良いですか。

榎本優也調教助手:朝から結構、良い感じで雪が降っていたんで、開場前に1回、ハローが入ったんですよね。僕らは開場して、そんなに時間(7時5分ぐらい)を開けずにいったので、僕としてはそんなにムチャクチャ悪いなという感じはなかったですね。

-:ジェスタウェイの走りとしても、そんなに走りにくそうではなかったと。

榎:そうですね。シッカリ走っていたと思います。

-:逆にその後でオツウで坂路を走ったじゃないですか。その時の方が大分、悪くなっていたと。

榎:ヒドかったですね。

-:脚がメリ込んでいく感じ?

榎:すごく深くなっていましたしね、スタートの時は。



-:あの時の坂路を見る時というのは時計で判断というよりは、走った時間帯によって極端に違う。その中でゴールドシップとジャスタウェイはソコソコ悪くない馬場を走ったというわけですね。

榎:そう思いますね。

-:その時のジャスタウェイの動きなんですけど、どんな感じでした?

榎:馬場が悪いだろうなと思いながら乗っていたのもありますけど、思ったよりシッカリ走ってましたし、ゴールドシップに置いていかれるかなというつもりで乗ってたんですが、最後まで手応えはすごく良かったので、ビックリしましたね。

-:僕は正面からカメラを撮っているので、ゴールドシップとの着差まで分からないんですけど、どれぐらいの差でゴールしたんですか?

榎:ほぼ一緒です。ちょっと頭、ゴールドシップが出たぐらいで。

-:スゴく良いコンディションは保っているということですね。

榎:そうですね。

新年、厩舎の初重賞制覇はジャスタウェイで!

-:今回の中山金杯なんですけど、朝日チャレンジカップが延期になったことで、内田ジョッキーから「中山金杯で乗りたい」とオファーがあったということを先生から聞きました。ゴールドシップが皐月賞を勝った縁起の良い舞台でもあるんですけれど、中山の2000mについては、どういうイメージを持っておられますか?

榎:でも皐月賞は特殊なレースでしたもんね。僕のイメージとしてはやっぱり、コーナーを4つ回って、意外にタイトな感じで、あまり不器用な馬だと競馬がし辛いかなというイメージですね。

-:ジャスタウェイというのは自在性があったりだとか。

榎:う~ん、あまり上手ではないかなと、競馬は。

-:どちらかと言うと、毎日王冠の時のような終いの切れを活かした時に、すごく輝くというか、そういうイメージだったんでしたが、逆に天皇賞(秋)は先行して、意外ではあったんですけれど、若干、噛み気味のレースだったので、今回もある程度、流れた上で、ポジションを決めるという方が良いんですね。

榎:そう思いますね。今まで先行したレースを見てても、やっぱり少し力んでしまって、終いが甘くなるような印象を、見てて受けるので。今は昔ほど、ゲートが遅くもないですし、このまま行ったら良い具合に持っていけると思うので、それなりに行きっ振りも良くなっていると思うんですね、レースの時は。なので、ゲートを出した後は、ソロッと真ん中辺りに付けれたら……。

-:この馬の特徴としては馬の後ろにいた方が切れる脚を使っているというイメージがあるんですけど。

榎:はい。普段もやっぱり、前に馬がいると遠慮するというか、抑えやすいようなところがありますね。横に並ぶとやっぱり……。

-:それを道中、上手いこと使って、タメを作りたいとこですね。

榎:そうですね。

-:天皇賞(秋)以来ということですけど、体的な面と体重的な面の変化を教えて下さい。

榎:体重は増えて戻ってきてくれたんですけど、あまり太め残りだと動けないかという感じですが、間が開いてますけど、今週の動きも良かったですし、今日(12月20日)の時点で490キロ。毎日王冠の時がそれぐらいで、カイバもよく食べてくれるので、輸送分をこれから増やしていって、ちょうど良い感じで持っていけそうです。



-:じゃあ、今日の体重から輸送分を増やして、今日の体重ぐらいでレースに出れたら、490チョイとか488とか。

榎:もうちょっと良い肉が付いてきたら、増えてくるでしょうけど、今、490の後半までいくと、ちょっとポテッと見えちゃう感じがあるんで。

-:その辺は見え方と息遣いと考えながら調整していかないといけないですね。

榎:そうですね。

-:来年の緒戦の金杯に向けて、2012年に大爆発した須貝厩舎の初陣を飾るという責任感も結構。

榎:まあ、ハハハ(笑)。

-:1年を占ってしまうようなね。そこで、いきなりジャスタウェイが出てくる訳ですから、先生も結構、勝負に出ているなという気がしますね。

榎:そうですね、はい。

-:この後のローテーションは先生に聞かないと分かりませんが、距離的な面で、ジャスタウェイのベストの距離というのは、僕は昔から分からないと言ってきたんですけど、今の現時点ではどれぐらいがベストだと思われますか?

榎:やっぱりジョッキーの人からしたら、マイルから1800ぐらいが乗りやすいんじゃないですか。でも、天皇賞とかでも、あれだけ流れたりしてくれたら、良い競馬が全然、出来ると思うので。前に馬を置くだとか、ゲートをソロッととか、乗り方ひとつだと思うので。

-:終いの切れというか、瞬発力はすごいモノがありますからね。それを須貝厩舎の厩舎力で、来年、末永く使えたら良いですね。

榎:そうですね。



-:最後にジャスタウェイのファンに今、こんな具合だよというメッセージを。

榎:今年は色々ありましたけど、今は馬もスゴイを成長して、良い状態に持っていけそうなので、来年、何とか飛躍の年に出来るように、年明けから勝たしたいなと思ってます。

-:あとは寒い時期なので、雪の影響なんかで交通事情が悪くならないことを祈るだけですね、関西馬は。

榎:(高速道路の事故で渋滞に巻き込まれた)天皇賞の時はガックリきたんで……。

-:天皇賞(秋)の時は何時間乗ってたんですか?

榎:何時間乗ってたんですかね。もう福島行くぐらいずっと……。その内、4時間止まりっ放しですからね。まあ、馬はおとなしくしてたんで、それだけは良かったんですけど。

-:それだけに悔しかったですね。

榎:それだけじゃないですけどね。本当にあの時は全部、上手いこといっていて、どこに落とし穴があるのかなというぐらい自信というか、楽しみを持って行けてたんで、馬運車でガクッと。ハハハ(笑)。ここにあったと……。

-:ありがとうございました。また、よろしくお願いします。

榎:こちらこそ。ありがとうございました。


(取材・写真)高橋章夫


【榎本 優也】Yuya Enomoto

大の競馬ファンである父親の影響で、幼い頃から阪神競馬場、京都競馬場へ足を運んでいた。 武豊騎手に憧れてジョッキーを志すも、目の悪さで受験資格をクリア出来ず断念。 しかし、競馬関係の仕事に就きたいという思いに変わりは無く、牧場勤務を経て、25歳の時にJRA厩務員課程へ入学し無事卒業する。

しばらくの待機期間を過ごし、09年5月に須貝尚介厩舎で待望の厩務員生活をスタート。 7月には持ち乗り助手となり、それ以来、2頭の競走馬を担当している。

その後は、アスカクリチャン、アスカトップレディ、クリーンエコロジー、コレクターアイテムなど、厩舎の代表馬の育成を担当。2012年には担当するジャスタウェイがアーリントンC(G3)を制して人馬ともに重賞初制覇。NHKマイル、日本ダービーと駒を進め、自身も大舞台を経験した。