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長岡禎仁騎手

長岡禎仁騎手(美浦・小島茂之厩舎)


東京競馬場の模擬レースからの上達

-:模擬レースの映像がユーチューブであって、見たんですけれど、府中でやったレースは覚えていますか。

長:はい。覚えています。

-:菱田騎手が逃げて、あの時は、たしか最下位でしたね。

長:あの時と比べたら、本当に大分、上達したと思うんです。

-:どこが今までより良くなった部分?

長:あの時は何回もアクセルを踏んで、何回もブレーキを掛けて、自分が行きたい位置取りに行きたいがために、そういう動作の多さがあったんです。そうしていたら、そのレースは全然ダメで。流れに乗るためには1回のアクセル、1回のブレーキみたいな感じをいかに少なくするかという運び方はちょっと上手くなったのかなと。

-:人気薄で上位に持ってこようと思ったら、究極のノーブレーキ戦法しかないですからね。

長:はい。

-:自分のレースも含め、他の人や先輩のレースも含め、パトロールフィルムとかレース映像は熱心に研究する方ですか?

長:そうですね。自分の動き方というより他の人の動き方を見て、あの時はこうやって動いてたんやという、同じ立場で併走している馬がいたら、ああ、こうやって動いてたんやというのを同じレースとかではよく見ていますね。

-:パトロールをずっと見るのも良い勉強になりますよね。

長:はい。最初の頃はそれを見ても分からないですけどね。ただ、見ているだけ、みたいな感じで。でも、レースで数を乗ってくると、自分が失敗していた所を上手い人は失敗していないというのに気付くんですよ。『俺やったら、ココ失敗しているのにな』というのを見て、気付いて、そういうのは勉強になりますよね。



-:この人のこのレースはスゴかったというレースはありますか?例えば、ノリさんの京成杯オータムHでレオアクティブが内から来たレースとか。個人的にはありえないレースですけれど、後方からインを縫って抜けて来るとか。この人の勝負勘がスゴイとかいう自分が確認したレースというのは?

長:あることはあるんですけれど、そんなに覚えてないですよ。レースを見る前、パッと京都競馬場ならどんな競馬をしているんだろうとチェックするじゃないですか。その距離で、みんなどういう競馬をしているのかなと見てた時に、ユタカさんの馬が最内にいて、入着する時は3馬身ぐらい外にいるんですよね。コレ、どうやって出てきているのかなと思って、ずっと画面を見てたら、やっぱり、ユタカさんは上手いなというのが。馬の脚があたらないギリギリの所をスッと避けて。ああ、やっぱりこういうのが上手さなんだなと。

-:自分がいたら、前の馬に触れて、突っ掛けてしまうと。

長:はい、転んじゃいますね。

-:変に動いたら怒られますし、制裁も付きますしね。これからどんなジョッキーになりますか?

長:技術はトップレベルを目指して頑張ること。そして、技術が付いてきても、みんなに否定されるような人柄だったら意味がないと思うんで、人柄でも信頼されるようなジョッキーを目指して、トップジョッキーになりたいですね。小島先生も「いくら成績が良くなっても、人柄やマナーができていなければ一流ではない」とよく言うんですよ。「禎仁にはそうなって欲しくないから、そういうマナーもキッチリとしたジョッキーになって欲しい」と。

-:良い先生ですね。

長:はい。そういうジョッキーを目指していきます。

-:でも、正直、そういう人ってなかなかいないんですよね。

長:偏りのない騎手になりたいです。

長岡禎仁はこの条件で狙え!

-:ちなみにダートの場合というのは、その日の馬場状態を気にしますか?

長:やっぱり気にしますね。

-:京都競馬場は特に直線に坂もないし、行ったもん勝ちみたいに思いますけれど、実は追い込みが効くレースもあって、それはもちろんペースも関係あって、馬場状態もすごく関係してくると思うんですよ。冬場は不凍剤を撒いて、気温と不凍剤の量を想像して、もうちょっと下げといた方が良いなとかは考えますか?

長:馬場状態の重さよりも、馬の気持ちを考えて乗っています。不凍剤を撒いたら、砂がゴーグルに付きやすいんですよ。イコール馬も嫌がるんです、馬の目に不凍剤が混じった砂が入ったら嫌ですよね。そういうのもあって、できるだけ砂を掛けないようにとか、不凍剤を撒いている時期のダートでは気持ちの面で走る気をなくしちゃう馬が多いので、そこは気を付けて、乗ってますけどね。

-:どれぐらいの距離の、どんな条件のレースが好きですか?

長:正直、1800とか……。ダートの方が好きですね。芝ではそんなに乗ってないというのもあるので、ダートの方がイメージが付きやすいです。ダートの長いところだったら、色々なことができますし。

-:馬券ファンの僕らは、長岡騎手のダートの1700mとか1800m!それぐらいの距離で、穴を待っておいたら良いですね。

長:去年も2着、3着が多かったのも、だいたい長い所でしたから……。

-:馬券ファン的には大穴ジョッキーになって欲しいです。トップジョッキーになるまでには、考えられない人気薄を持ってくる人として目立ってください。

長:はい、頑張ります。



-:それでは、長岡騎手を応援してくれているファンにメッセージをお願いします。

長:今回の栗東滞在をこれからの人生の糧にできるような、今年の夏に繋げられるような結果を残して、そこから止まることなく、成功の道に進んでいきたいと思いますので、応援のほど、よろしくお願いします。

-:自分のココを見て欲しい。長岡騎手のセールスポイントを教えてください。

長:僕は先生に「お前、アンちゃんらしくないぞ、落ち着き過ぎている」と、言われるんですよね。アンちゃんだったら、前に先行して、ガムシャラにというのがあるんですけれど、そうではなくて後ろで構えて、みんなが動いている所を動かなかったり。そういう冷静な所ですかね。

-:後方でジッとしているということ、動いてないということは脚もあるということだから、着順は別にして、終いは伸ばしてくれるジョッキーだと思っておいていいですね。

長:そうですね、はい。

-:ちなみに今年の目標は?

長:関西の同期に追い付く、もしくは抜かすぐらいの勢いで。

-:関西の同期と言ったら、去年も大活躍した菱田騎手と中井騎手。彼らとは仲が良いのですか?

長:仲は良いです。だから、余計に悔しいです。2人共、スゴいですもんね。

-:長岡騎手も栗東に来たことがきっかけになって、楽しみな1年になると良いですね。ありがとうございました。

長:ありがとうございました!



長岡禎仁騎手インタビュー(前編)
「栗東滞在での勝負を選んだ理由」はコチラ→

前編 | 後編


(写真・取材)高橋章夫

≪関連リンク≫

長岡騎手と同期の中井裕二騎手インタビュー →

同期の菱田裕二騎手インタビュー →





【長岡 禎仁】Yoshihito Nagaoka

1993年 和歌山県出身
初騎乗
12年3月3日 1回阪神3日5R ナイク
初勝利
12年12月9日 3回中京4日8R トップストライド
JRA通算成績は1勝 (13/3/3現在)


競馬とは縁のない過程に育ったが、ふとしたことから乗馬の経験を持ち、2006年のエリザベス女王杯を京都競馬場で観戦。その華やかさに影響を受けて騎手を志すことに。 中学校時代はテニス部のかたわら、地元のグリーンオアシス乗馬クラブで経験を積み、競馬学校へ。卒業時にはアイルランド大使特別賞を受賞した。 そして、昨年、美浦の小島茂之厩舎所属としてデビュー。デビューイヤーは99戦して1勝のみと、苦杯を嘗める1年となったが、今年は活路を求めて栗東に滞在。減量騎手が重用される関西圏に活路を求めている。