新人ジョッキー特集②
2010/3/5(金)
平野優騎手×高橋摩衣
高:平野騎手、よろしくお願いします。
平:よろしくお願いします。
高:平野騎手は東京出身ですよね。東京のどちらですか?
平:府中市です。府中競馬場の近くです。
高:結構小さい頃から競馬に馴染みはありました?
平:はい。父親も競馬好きでしたし、僕も競馬ゲームをやったりしていましたから、競馬は好きでした。
高:割りと小さいうちから「ジョッキーになろう」と思っていました?
平:いえ、背が小さかったので「やってみたら?」という感じで、周りから冗談ぽくは言われていましたけど、それほど真剣には考えていませんでした。
高:背は小さかったんですね。
平:はい。僕、野球を小学校と中学生の2年生ぐらいまでやっていたんですけど、背が小さかったから他の子にどんどん抜かれていくんですよ。
高:体格でハンデが。
平:そうなんです。
高:じゃあ「将来ジョッキーになりたいな」と思ったのはいつ頃ですか?
平:中学2年生から東京競馬場の乗馬センターで乗馬を始めてからですね。
高:なんで乗馬を始めようと思ったんですか?
平:中学校の時に転校してきた子の影響です。同じ学校に、東京競馬場の乗馬センターで乗馬をするために引っ越してきたっていう子が来たんです。その子がたまたま同じクラスになって、名字が「中野」だから50音順で僕の前になったんですよ。それで仲良くなって話して、初めて乗馬センターの事を知ったんです。
高:それまで乗馬センターの事もよく知らなかったんですね。
平:存在は知っていましたけど、そこで乗馬が出来るとは知りませんでした。それで話を聞いているうちに「僕もやってみよう」と思って。
高:それがキッカケだったんですね。平野騎手は競馬学校に入学されたのは24期なんですよね。
平:はい。三浦皇成、伊藤工真、大江原圭たちと一緒です。入学して1年半学校にいて、2年生の秋から1年間トレセン実習になるんですけど、その1年間の実習が終わった時に二ノ宮先生が「もうちょっと勉強しなさい」という事でもう1年トレセン実習をしたんです。
高:そうなんですか。
平:そして2回目のトレセン実習の後に「もう1年勉強しなきゃいけないことがある」という事で、次に牧場へ8ヶ月くらい研修に行ったんですよ。
高:どちらの牧場に?
平:北海道の千代田牧場です。短期的には社台ファーム、ノーザンファーム、下河辺牧場、ファンタストの中にある木村牧場に日高育成牧場でもお世話になりました。あと、道営競馬の厩舎でも研修させてもらいました。
高:結構下積みが長かった分、学んだ事も多いんじゃないですか?
平:はい、そうですね。競走馬がレースに出走するまでの過程も牧場で体験出来て、1頭の重みも感じましたし、貴重な勉強をさせてもらいました。
高:これまで師匠の二ノ宮先生から言われて嬉しかった事はありますか?
平:名前で呼んでもらえるようになったのは嬉しいですね(笑)。先生は口癖が「あんたね」なんですけど、僕はもう「あんた」から「優」って呼んでもらえるようになりました。先生は怒る時には「あんた」ってなるんですけど、怒る時でも「優」になったんで(笑)。
高:相当ステップアップされましたね(笑)。先生との距離がグッと縮んで。でも二ノ宮先生は「勉強し直しなさい」というアドバイスをされたり、結構厳しい感じの面がおありなんですね。
平:やっぱり中途半端な形でデビューするのではなくて、しっかりした形でデビューした方がいいっていうのをおっしゃっていますから。
高:模擬レースの時に競馬場で配られた資料の中にも「感謝と礼儀を忘れずにしたい」と書いてありますけど、そういうところも先生から指導されているんですか?
平:そうですね。人間的にしっかりした人になってほしいという風に言われます。
高:長い期間を経てようやく今週デビューになりますけど、今の気持ちはどうですか?
平:今の気持ちは本当にワクワクしていますし、本当に「ようやくデビューできるんだなあ」という風に思います。一緒に入学した同期が凄く活躍していますし、そういうのを見て僕も「頑張ろう」って刺激を受けていたので、彼らに負けないように頑張っていこうと思っています。
高:ようやく同じ土俵に立てますね。
平:そうですね。でも時間はかかりましたけど、むしろいろいろな経験をさせてもらえましたし、僕は「回り道をした」という風には思っていません。回り道というよりも、僕は人よりも準備期間が長かっただけで、それが僕の道だったと思っているので。
-:損しちゃったな、とか。
平:全然!
高:準備に時間をかけた事が、これからいい形で活きてきてくれるんじゃないのかな、と。
平:はい、そうですね。5年間でいろいろ学ばせてもらいましたし、大勢の方と知り合えましたから。同期で卒業した他の子よりも、そういう所が僕の強みだと思います。
高:それ以外に自分が騎手として向いていそうだなって思うところはありますか?
平:体格的な事だとしたら、背が高くて手足が長いので、それを活用した騎乗方法が出来るという点ですね。あとは性格的な面では、どちらかというと社交的な方だと思うので、それが上手く活かせればいいなと思います(笑)。
高:平野騎手、確かに取っ付きやすいです(笑)。よく周りから「話しやすい」とか言われません?
平:そうですね。逆に「喋りすぎる」って言われるくらいです(笑)。
高:喋らなくてもいい事まで喋っちゃったりして(笑)。取材受けるのは嫌いじゃないですか?
平:今のところは嫌いどころか、むしろ好き、ですね(笑)。
高:良かった(笑)。ちなみに平野騎手が「ジョッキーとして成功するために必要だ」と思っている事ってありますか?
平:やっぱり気持ちですね。気持ちで負けないっていう事だと思います。勝負事ですから、気持ちで負けていたら勝てないと思います。諦めないで最後までやり遂げて、負けないっていう強い気持ちを持つ事が大切だと思います。
高:強い気持ちですか。平野騎手の見た目の柔らかさから、あんまりそういう言葉が出てくるとは思わなかったので、若干意外でした。
平:先生にもよく言われていたんですよ「気持ちで負けるな」って。馬に乗っていても、気持ちで負けるなって。例えば引っかかる馬に乗っている時に、気持ちで負けたらバーッて持っていかれちゃったりしますし。
高:なるほど。あとは、テレビで観ていた人たちと一緒にレースに出るというのでドキドキする事もあると思いますけど。
平:そうですね。
高:でもそれでもビビらずに行く、と。
平:はい。「他の人を上手いなと思っても、自分も上手いっていう風に思うように」って今日、西田(雄一郎)さんに言われました。
高:もう全ての騎手がライバルですもんね。平野騎手は目標としている騎手はいますか?
平:武豊さんです。体格も近いですし乗り方が綺麗ですから。
高:なるほど。ちなみに好きなタイプの馬はいますか?
平:好きなタイプはやっぱり素直な馬ですね。
高:今まで乗って来た中で「この馬、素直で良かったな」って思い出す馬はいますか?
平:前にフラワーカップを勝ったショウナンタレントですね。凄く乗りやすくて素直だなあって思いました。まだ経験が浅くてよく分からない頃でしたけど、良い走りだなって思ったから厩舎の人に「3つか4つは勝てるんじゃないですか?」なんて話したんですよ。そうしたら本当に勝ってくれて。
高:自分が「この馬いいな」って思った馬が実際に結果を出すと自信に繋がりますよね。
平:そうですね、嬉しかったです。是非、自分もレースでそういう馬に乗れたらいいなと思いますね。
高:いよいよ実戦ですね。
平:レースと調教は全然違うっていう風に聞きますし、僕らも模擬レースをやってそう思います。まだレースの技術は身に付いていないので、そういう所を身に付けていきたいですね。
高:応援しています。では最後に抱負をお願いします。
平:30勝以上してJRAの新人賞を取りたいです。30勝といわずに、皇成の新人最多勝記録を抜くくらいの気持ちでやっていきます。
高:おおー、頼もしい!活躍を楽しみにしています。今日はありがとうございました。
平:ありがとうございました。
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師匠である二ノ宮調教師の教えを胸に、同期入学をした三浦騎手、伊藤工騎手、大江原騎手を超える活躍を目指す。 |
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■出演番組
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2006年から2008年までの2年間、JRA「ターフトピックス」美浦担当リポーターを務める。明るい笑顔と元気なキャラクターでトレセン関係者の人気も高い。2009年より、競馬ラボでインタビュアーとして活動をスタート。いじられやすいキャラを生かして、関係者の本音を引き出す。 |