元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
大事なのは終わらせ方
2017/12/14(木)
皆様、こんにちは!とうとう栗東には雪が降りました。毎年のことですが、雪が降ると外出はしないと決めています。それは昔、雪で車がスリップしたことがあり、本当に怖かったからです。皆様も、雪が降ってもスタッドレスを履いているから大丈夫という過信はダメですからね!気を引き締めて、2017年を終わらせましょう。
そんな2017年で初めての2歳牝馬G1、阪神ジュベナイルFが行われました。1番人気には札幌2歳Sを制したロックディスタウンが選ばれ、2番手3番手にもサンデーレーシングの馬が入る形となりました。戦前から、同じ勝負服の馬が独占するのではと感じていましたが、レースはまさにその通りの展開となりました。迎えた4コーナーでは、絶好の手応えを見せていた川田君とリリーノーブルが早めに先頭に立つと、それを狙っていたように石橋脩君騎乗のラッキーライラックが後ろにつけると一気の脚で交わし去り、見事な勝利を収めました。
石橋君にとっては喉から手が出るほど欲しかった久しぶりのG1勝利になりました。しかし、この馬は言うことがありませんでしたね。コントロールも瞬発力も何をとっても強かったと言える内容でした。まだまだ伸びしろもあるように見えましたし、来年のクラシックでも主役の一頭になるような気がします。②着に敗れましたが、リリーノーブルも素晴らしい走りをしましたね。中1週という厳しいローテーションの中、バツグンの手応えでしたし、最後は止まったと言うよりは、離されて安全に終わったというところでしょうから。まだまだ、こちらも楽しみがありますね。しかし、今年は牡馬の割に牝馬が少し頼りないだけに、まだまだ本命はここから出現するからも知れません。何にせよ、無事に終了したことが一番大事なレースだったと思います。
そして、香港では8頭の日本馬が挑戦しましたが、残念ながら勝利することはできませんでした。特に期待していたキセキですが、やはり出ていた皮膚病の影響も少なからずあったと思います。一見、見た目だけに見えるものですが、皮膚病というのは血の巡りにも少なからず影響が出ると私は思っています。その上に、前回のハードな内容からも疲れが重なったと思いますね。あれだけの馬ですから、跛行の影響も心配されますし、まずはゆっくりと休ませ、立て直してくれることを願っています。
今回のレースを見ていて思ったのは、前回よりも馬場が硬そうに見えたことです。あれだけの馬場でスローな展開が続けば、おのずと勝ち馬と脚質が重要になってきますからね。それを踏まえるとトーセンバジルは本当に素晴らしい走りだったと思います。挑戦なくして勝利はありません。また来年、香港で日本馬が勝利するところを再度期待したいと思います。
今週は2歳G1、朝日杯フューチュリティSが行われます。1番人気にはまたもやルメール騎乗のタワーオブロンドンが選ばれると思います。今年ダービーにオークスと勝利した藤沢ルメールコンビが新たな記録を作るか非常に楽しみです。この間のように我慢させることができれば距離も大丈夫ですし、あとは控える際にどれだけ他馬がマークするのか、そして展開を作るのかが勝利へのポイントだと思います。
その他には、やはり今年の目玉ロードカナロア産駒に期待したいですね。その2頭ステルヴィオとダノンスマッシュも調子がよさそうですし、ダノンプレミアムもまだ底を見せていません。そして、北海道より中央入りしたダブルシャープも頑張ってもらいたい一頭ですね。まだまだ混戦の2歳戦を制するのは仕上がりと展開のハマり具合になるかも知れません。その結果は是非、阪神競馬場で!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。