元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
エリザベス女王杯はMCCJ
2018/11/7(水)
皆様、こんにちは!野球の日本シリーズが終了しました。我が巨人軍は日本シリーズに進めませんでしたが、同じリーグの広島カープ、そして2位からの下克上ホークスの戦いでしたが、ソフトバンクホークスが逆転優勝を決めましたね。工藤監督の手腕が光った戦いであったと思うと共に、負けたとはいえ広島カープの粘り強さには、本当に大興奮しました。名勝負だったといっても過言ではないと思います。しかし、リーグ戦を戦ったあとの優勝チームではないチームが勝ち上がってくるのは、何か未だに違和感はありますけどね。しかし、その流れを味方につけ適応させる、それも今の野球なのかもしれません。
さて、競馬の話にまいりましょう。日曜日には初めての試み交流重賞JBCが京都競馬場で行われました。コースや馬場からも地方開催を願った馬や、逆に京都でやることでコースや馬場があった馬など、まさに明暗が分かれた京都開催だったと思います。しかし、かなりの売上アップに成功したようですね。ただ、馬のことを考えても、バランスを見ても、開催が成功だったか?と考えるとまだ分からないところではあります。
まずJBCスプリントが行われ、今年の競馬流行語「またまたルメール」が発動しました。1番人気に推奨されたマテラスカイがハナをいつも通り主張する中、ピッタリと後ろをマークしたのがグレイスフルリープでした。マテラスカイと言えば超高速ラップを刻み、最後まで止まらないレースをするのですが、まさかそれに付いていき、見事振り切ったのは少しびっくりしました。が、前走とその前くらいから馬がもう一段階上に上がった気がしていたのですが、まさにその通りの結果にダート短距離界はまだまだ難しくなりそうです。
メインに迎えたJBCクラシックではケイティブレイブと福永君が王者の競馬で全てをねじ伏せました。迎えた3~4コーナーでテイエムジンソクが少しコントロールをなくしながらも古川君が必死になだめながらハナを行くサンライズソアを捕まえにいくと、福永君も早めに動き出しました。これには騎手としての心理で、ルメールがいることも大きく影響したと思います。しかし、それでも相棒ならば捕まえられる、そう自信があったとも思います。調教よりスピードが必要になる中央開催に向けて仕上げてきた陣営の調整と馬の完成がかみ合ったということだと思います。次に新王者ルヴァンスレーヴにゴールドドリームとどう渡り合うのか、非常に楽しみになりました。
最後はJBCレディスクラシックが行われ、こちらは典ちゃんとアンジュデジールが見事な勝利を挙げました。勝負を分けたのは、まさに1コーナーでの入り。大外枠の馬があそこで最内に入れることができ、なおかつ他がラビットランに気を取られている中で最高のポジションを取りました。迎えた4コーナーではミルコとラビットランは、アンジュデジールの手応えの良さに焦りを覚えたと思います。そこで騎乗は4コーナーで入れ込みたいと先に動きました。しかし、そこでも手応えの違いから外に出したアンジュデジール。直線では二頭の競り合いになりましたが、典ちゃんとしては4コーナーで捕まえにきたのがミルコだけだったことからも勝利を確信していたと思います。まさに典マジックなレースでした。
交流JPN1の次は、またまたG1が始まります。今週は京都競馬場でエリザベス女王杯が行われます。注目はMCCJ ではないでしょうか。まずは去年の女王モズカッチャンとミルコ(M)のコンビ。前哨戦では、まさかの発熱でぶっつけ本番となります。不安材料としてはここになると思います。陣営としては札幌記念でも休み明けで動いたことからも大丈夫と思っていると思いますが、私としては本来この馬は叩き良化型と思っています。果たしてどうなのか、楽しみにしているところであります。
そして、(C).ルメールのノームコアは前哨戦を見事な勝利を挙げ、余裕をもったスケジュールでここに挑みます。ノーザンファーム天栄とルメールの最強コンビが、またもやルメールスケジューリングで結果を出すのか非常に楽しみです。そして、もうひとつの(C)でありもう一人のデムーロ、クリスチャンが騎乗するカンタービレからも目が離せません。前走後には疲れを抜くためプール調教など体をほぐすことをしっかりしていたことから今回も動けると思いますし、距離に関して少し不安があるも前走の競馬で抜くことを覚えていれば大きなチャンスがあると思います。
最後にブラジルからの刺客(J).モレイラ騎乗のリスグラシューもシルバーコレクターの名前を返還しにきます。前走は最高のレースをするも、化け物じみたディアドラの末脚にまさかの敗戦でしたが、内容は最高だっただけに今回こそとなっています。本当の牝馬女王を懸ける戦いに京都の淀はまだまだ熱く燃え上がります。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。