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変化2021から新年2022へ
2022/1/6(木)
皆様、こんにちは!そして、明けましておめでとうございます。新年寅年を迎えました。私は生まれが寅ということもあり年男となります。年男だけにトラブルも無く、当たり馬券を見事ストライクといきたいと思います(笑)。まずは2021年を振り返りましょう。

2021年は何と言っても競馬界が変化した年だったのではないでしょうか。今では当たり前となったドバイ遠征ですが、日本馬がブリーダーズカップを勝ちアメリカから香港に直接入って勝利するという快挙を成し遂げました。この快挙により今年度からも日本馬の可能性が広がるきっかけになったと思います。そして、外国人騎手が来日できない中、寅年生まれの新しいエース横山武史君がG1 5勝を挙げ、一気にトップ騎手の仲間入りを果たしました。直前で騎乗停止処分となるも有馬記念、ホープフルSの両方を勝利しました。反省するだけでなく、きっちり結果を出したことで、下がった株が一気に倍以上の評価へと変わったタイミングだったと思います。

その中でも、年末のグランプリ有馬記念を振り返りましょう。このレースは気持ち的に下がったところで武史君が自分の技術を全て出した最高のレースでした。スタートから初めての距離を考え、なおかつ道中のコントロールとクロノジェネシスの位置を確認できる最高の位置へと付けました。この1コーナーから2コーナーまでの作り方が非常に大事な要因となります。ここを100点満点で迎えたことがまずエフフォーリアと武史君にとっては最高でした。迎えた4コーナー、ルメールが一息入れてから追うことを理解した上で、馬の力を信じて早めに被せにいきました。
ルメールとクロノジェネシスとしては、一呼吸置いた後に追い出せなかったのは誤算だったと思います。ここのポジションの取り合いが勝因へと繋がり、見事エフフォーリアと武史君のコンビが勝利しました。レース後にはインタビューで騎乗停止の反省と更なる飛躍を述べ、意識の高さ、自分がしてしまった未熟さをしっかりと受け止めていることを発言しました。このインタビューが勝利しただけでなく、下げた評価をしっかりと倍返ししたように感じられました。本当に素晴らしい勝利だったと思います。

迎えた2022年最初の競馬では金杯が東西で行われました。特に目を引いたのは初日に4勝の固め打ちと京都金杯を制した松山君とコンビを組んだザダルの復活劇でした。直前10Rの3000mの長丁場を内から差してきて勝利した騎乗は初日の馬場を完全に読んでいたのだと思います。道中から直線までの運びも、このコースを通ってダメなら仕方ないと自信を持って騎乗してきたからの結果だったと思います。
松山君はデアリングタクトに出会い、腹を決めた騎乗ができるようになりました。昨年は自己最多の勝ち星を挙げましたが、今年はそれ以上を望めるかもしれません。また、お姉さんがバレットをされていると聞いていますが、お姉さんは1日になると神社へ出向き、勝負にひとつでも勝てるように、そして安全を願っているとも聞いたことがあります。本人は少しでも上手くなるため騎乗数を増やし、周りがサポートをし、チーム一丸でいるからこそ勝ち星が上がっていくのだと思いました。今年の活躍も期待しています。

早いもので8日,9日,10日と3日間開催が行われます。日曜日に今年も名馬誕生なるかシンザン記念、月曜日にはフェアリーSが行われます。特にシンザン記念に出馬してくるラスールからは目が離せません。鞍上のルメールが「グランアレグリア2世」と言ったように非凡な才能を持った一頭です。初戦はまだまだこれからと思っていましたが、それでも勝ち上がった走りは一流でした。ただ体に若いところがあるだけにどう走るか楽しみです。
ここに待ったをかけたいのが世界の川田君が騎乗するレッドベルアームです。少し前からこの馬は彼に合うのではないかと思って見ていただけに新コンビ誕生は楽しみでなりません。今年もリーディングと最高勝率のトップ2騎手がここから激突します。2022年は一体どんな競馬年になるのか!?寅年だけにどんどん世界へトライしてもらいタイな(ガ)ーと思います。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。