戸崎圭太×矢野貴之「馬券新格言100発売記念」SP対談(4P)はコチラ⇒

TCK新旧トップ対談もいよいよ最終章。お互いからみた騎手としてのセールスポイント、そして、2018年に懸ける思いを語ってもらった。

矢野貴之のセールスポイントはスタートセンスと「無欲」さ?

-:ジョッキーとしての矢野さんを評してもらえますか?

圭太:やっぱりスタートセンスがあるよね。それは地方競馬にとって、騎手にとっては武器かな。スタートは見ての通り、競馬のはじまりですからね。それで、ある程度のポジションも取れる。あとは短い鐙で格好良く乗ってくるね。

-:そういうのもあって、さっき「自分より外枠にいられると……」ということがあったわけですね。

圭太:そうそう。不思議と出ていくんだよね。やっぱり出られると、前に入られたりするし、乗りづらい印象はありましたね。

-:これも先程ですが「移籍する際に川島先生へ矢野騎手を紹介した」ということでしたが、数字だけを見ると、当時はそこまで勝っていなかったと。

圭太:そうです、そうです。

矢野貴之

▲戸崎騎手がJRA移籍時のエピソードを語る矢野騎手

矢:それなのに声を掛けてもらったというのがすごい。あと、今はエージェントがいるんですが、その方がエージェントを頼まれても断っていたみたいなんですよ。でも、圭太さんが移籍する頃って年間300勝以上しているわけじゃないですか。年間300~400勝近くが浮くわけですよね。それを何とも思っていなかったんです(苦笑)。

今のエージェントに頼んだ時に「圭太さんがいなくなった時に、エージェントを誰かに頼んだの?」とか言われたんですよ。「全然そんなことはしていないです」と言って、「恐ろしいやつだね」と言われて。「400浮くんだよ。そこは何とも思わないの」と。結果、受けてもらったんだけど「そういう欲のない人は初めて見た」みたいな。

圭太:大半はそうやって思う人が多いんじゃない?だって、当たり前のことでしょ。

矢:その時は一切思わなかった、ハハハ(笑)。

圭太:そこで焦って、それをやったがためにダメになっちゃったパターンもあったかもしれないからね。どっちが良いか分かんないけど、そう簡単に考えている騎手というのは、そういうのはあんまりいないよね。そこは、さっきの競馬の話じゃないけど、ズルさはないんだね。

矢:そこも欲しい。

圭太:大事なところだよね。

矢:その時は勝ち鞍云々よりも、やっぱり乗りたいというのがあったんでしょうね。

-:とはいっても、乗り数で言っても、けっこうな数でしょうからね。

矢野貴之
後輩リーディングジョッキーが評する先輩リーディングジョッキー

-:逆に矢野さんから、騎手・戸崎圭太を評してもらえますか?

矢:いや、インタビューは上手くなりましたね~。土曜日は(競馬中継を)観させてもらっているけど、なかなか面白くなったなと(笑)。

圭太:メールでもこうやって来るんですよ~(笑)。

矢:でも、去年リーディングを獲らせてもらって、ちょっと比べられるというか、そういう声も聞くんです。ただ、まだ足元にも及んでいないから、ちょっと比べないでくれとは思います。俺は圭太さんをそれくらいのジョッキーだと思っている。交流重賞でもパッと来るじゃないですか。パッと勝って、帰っていくんですよ。どれだけ格好良いんだ、コイツと思って。

-:たしかに交流重賞での活躍は目立ちますね。中央で乗ってらっしゃるところを観て、気になるところはありますか。

矢:僕はあんまり乗ったことがないので分からないですけど、地方のダートコースと中央の芝では確実に乗り方が違ってくると思うし、その中で移籍してすぐに結果を出したことがすごいですね。その対応力というか、それは僕には想像出来ないし、確かに持っていますわ。年明けの3日連チャン(重賞3連勝)もそうだし、リーディングを獲った時もG1を最後まで勝っていなかったじゃないですか。最後に有馬記念を勝つとは思わなかったよな。この人には追い付かないと思って。持っているというのはこういうことだなと言って、家族で話していました。

圭太:(2016年のリーディング争いで)クリストフ(ルメール)と1勝差の時も、あれも今思えば、ね。最近はあまり持っていたなというのはないけどな。地道に頑張っているんだけどな(苦笑)。

戸崎圭太

-:いま(2018年2月当時)は波がありますね。やっぱり戸崎騎手の結果は、南関東のサークルでも話題になるものですか。

矢:それは、もちろん話題にはなりますよ。特に大井ではそういう話になりますけど、僕はJRAをほぼ観ないですね。一応、大きいレースの結果や事故があったレースは、何でそうなったかは観るけど、自分のことで精一杯です。

圭太:俺も当時は観なかったかな。

矢:だから、もっとこっちで自信が付くくらい成績が出れば、観だすのかもしれないですよね。余裕が出るくらいのね。

圭太:でも、色々な馬がいて、面白いぞ。やっぱり競馬のパターンがすごい。だから、難しいし、本当に面白いよな。地方とはまた違った面白味というか。

矢:パッと見なんですけど、中山なんかガチャガチャしちゃって、イメージ的には乗れない。あれで18頭じゃ、どうやって捌くのみたいな。それで結果を出すんだから、やっぱり素晴らしいですよね。

-:逆に観ないというのは、忙しいというか、余裕がないということですか。

矢:それもありますし、去年、一昨年くらいは1年間通して乗せてもらって、競馬に向き合う時間が確実に延びたじゃないですか。そのまま通しで1年間は絶対に出来ないので、オフをどこかで作りたいというのがやっぱり土日なんですよね。JRAはやっていることは一緒だけど、地方はまた別の世界というか、私たちはこっちで頑張ります、みたいな意識もありますし。

圭太:俺もそうだったからね。

-:最近、南関東は土曜や日曜も開催がある時がありますからね。余計に大変ですよね。

矢:厩務員さんや仲の良い人に言うんだけど、「俺に芝乗せたら、多分メッチャ上手いぞ」と。実は芝に乗ったことは何回かしかないです、ハハハ(笑)。

リーディングを獲ったからこそわかる、レースへの向き合い方
戸崎圭太×矢野貴之「馬券新格言100発売記念」SP対談(6P)はコチラ⇒