今週で中京、福島、函館の3場は終わり。毎週のようにPOG人気馬がデビューした中京は、最終週も楽しみな馬がスタンバイしている。

その代表格が、土曜日の中京芝1600m戦に出走するロードカナロア産駒・トゥザフロンティア(牡2、栗東・池江寿厩舎)。母はトゥザヴィクトリー(エリザベス女王杯)、半兄にトゥザワールド(有馬記念2着)、トゥザグローリー(重賞5勝)と活躍馬がズラリ並び、POGでもお馴染みの人気血統だ。「上とはまたタイプが違うが、バランスが取れているし、そのあたりは母系の良さが出ている。血統的にも期待は大きい」と池江師。鞍上はホワイト騎手。

1週前調教(以降も調教時計は主に1週前のもの)はCWで6F82秒台、5F66秒後半で、上がりは1F12秒を切る速い時計をマークし、古馬のエアカミュゼに約2馬身先着と動きも上々。一つ上に半兄トゥザクラウンはPOGで1、2の人気だったが、ノド鳴りで現状は未勝利。兄を指名して泣いた人は、弟で鬱憤を晴らしたい。

同じレースに出走予定のアップファーレン(牝2、栗東・友道厩舎)は、近親にアメリカンボス(有馬記念2着)。CWで5F68秒台、上がりも12秒ソコソコでまとめており、トゥザフロンティアに迫りたい。

同日の中京には、芝1400mの牝馬限定戦も。こちらで注目はプリュス(牝2、栗東・松永幹厩舎)。母のサラフィナはフランスオークスなどGⅠを3勝し、全欧3歳牝馬チャンピオンに輝いた名牝。一つ上のジェニアルがセレクトセールで1億7280万円(税込)の高額となったのも分かる。当初は調教時計が遅かったが、ここへ来て変わり身をみせ、坂路54秒8-12秒1(一杯)。兄はPOG期間内に勝つことはできなかったが、妹は早くに1勝目を飾れそうである。

アーデルワイゼ(牝2、栗東・池添学厩舎)は、祖母がビワハイジ(阪神3歳牝馬S)、母のきょうだいにブエナビスタをはじめ、ジョワドヴィーヴル(阪神JF)、アドマイヤジャパン、アドマイヤオーラ、サングレアルと重賞勝ち馬が5頭いる。CWで6F83秒台、5F67秒台、上がり12秒前半と水準の時計が出ており、上位争いに食い込める。

トゥンバドーラ(牝2、栗東・庄野厩舎)は、半兄にPOGで大人気だったグッドネイバーがいる。坂路54秒6-13秒5で併せたタガノイチベエ(新馬)に遅れ。もう少し時計を詰めたい。

福島では芝1800mの牝馬限定戦。調教が目立つのはナスノシンフォニー(牝2、美浦・武井厩舎)で、美浦ウッドで6F81秒台は、この時期の新馬ではなかなか出ないもの。初戦から有力だ。

ヴェロニカグレース(牝2、美浦・武市厩舎)は、母の兄がフサイチホウオー(重賞3連勝)、母の姉がトールポピー(阪神JF、オークス)、アヴェンチュラ(エリザベス女王杯)。美浦ウッドで5F66秒後半の時計を馬ナリでマークしており、この馬も上位候補。

ダノンポピー(牝2、美浦・尾関厩舎)は、半姉がミッキーロケット(日経新春杯)。美浦ウッドを馬ナリで68秒台なら悪くない。プトラナ(牝2、美浦・相沢厩舎)は、半兄がゲシュタルト(京都新聞杯)。1週前の時計は目立たないが、2週前に美浦ウッドで68秒前半の時計を出しており心配ない。

日曜日は、中京で芝1400m戦。アントルシャ(牝2、栗東・池添学厩舎)は、近親にフサイチコンコルド、リンカーン、アンライバルド、ヴィクトリー、そして先のダービーで3着したアドミラブルと一族にはGⅠ級の馬も多い。CWで6F83秒台、5F67秒台、上がり12秒前半と水準の時計をマークし、順調に調整が進んでいる。

トーセンアルタイル

▲2015年セレクトセールで落札されたトーセンアルタイル

福島芝2000m戦は、セレクトセールで1億円以上の値がついたトーセンアルタイル(牡2、栗東・佐々晶厩舎)が出走。全兄にトーセンバジル(阪神大賞典3着)、母の弟にトーセンジョーダン(天皇賞・秋)、トーセンホマレボシ(ダービー3着)がいる。「まだこれからだとは思うが、芝の実戦にいって良さそうなタイプ。長めの条件が合うと思うし、距離は2000m以上あっていい」と佐々木師。鞍上は戸崎騎手。調教は動かなかったが、1週前にCWで6F82秒、5F66秒と、ようやく時計が出るようになってきた。初戦向きでは無いと思うが、先々楽しみな一頭だ。

ラカージェ(牡2、美浦・大竹厩舎)は、母がリトルアマポーラ(エリザベス女王杯)。美浦ウッドで6F82秒台、5F66秒台とデビューへ向けて準備はできている。ギルトエッジ(牡2、美浦・中川厩舎)は、半姉に阪神JFで1番人気に推されたロカがいる。美浦ウッドで4F53秒前半、上がり13秒と目立った時計ではないが、動きはいいいようだ。

函館芝1800m戦は、話題のジェネラーレウーノ(牡2、美浦・矢野英厩舎)が注目。セレクションセール出身で、非社台の馬だがノーザンFで育成。吉田勝己氏が高く評価したこともあり、POGでは上位人気に推された。「美浦から時間をかけてしっかり乗ってきたし、仕上がりに関しての不安はない。能力を感じており、期待の1頭」と矢野英師。鞍上はルメール騎手。1週前は軽めだが、それでも函館ウッドで上がり12秒前半の時計をマーク。ここまで美浦でも坂路やウッドで好時計を連発しており、仕上がりは文句なし。評判は頗る高いが、正体はどんなものなのか楽しみである。

ハッピーオーキッド(牝2、美浦・手塚厩舎)は、ノーザンF生産馬には珍しい庭先取引馬。馬主は馬運がいいことで知られる馬場幸夫氏で、手塚厩舎とのラインは10頭おり、6頭が3勝以上。その中にはG1馬アジアエクスプレスやベストマッチョもいる。活躍ラインを背景に持ち、この馬も先への展望は良好だ。

ノストラダムス(牡2、栗東・鈴木孝厩舎)は、母が新馬勝ちで函館2歳Sでも3着したソムニア。函館ウッドで5F65秒台と速い時計を出し、母同様この馬も初戦から勝負だ。

新規入厩は藤沢勢がメイン。サトノテラスは、朝日杯FS勝ち馬サトノアレスの全弟。オブセッションはディープインパクト産駒で、募集価格が1億円とシルクR期待の馬である。他厩舎では、パクスアメリカーナ。全姉にG1馬ホエールキャプチャがいる。

再入厩は、モーリスの全弟ルーカス(牡2、美浦・堀厩舎)。5月に美浦・堀厩舎に入厩し、ゲート試験後にしがらきで放牧されていた。再度美浦に入った後、函館へ移動。札幌でデビューするかは当地の調整次第となるようだ。